Intel N50 を搭載する新しい「ASUS Chromebook CX14 (CX1405CTA)」は、Celeron N4500 モデルの後継として 2025 年 10 月 に日本で販売を開始した 14 インチ Chromebook です。
デザインやディスプレイなどの基本構成はそのままに、CPU 性能とポート構成が改善され、より快適に日常作業をこなせるようになりました。
今回の記事では、筆者が実際に使用し、測定したデータをもとに、「ASUS Chromebook CX14 (CX1405CTA)」の実機レビューをお届けします。
なお、レビューしている機種は Intel N50 と 8GB RAM を搭載しているモデル(CX1405CTA-S60592)で、メーカーから実機の貸出を受けています。
デザインと質感
外観は前世代モデルと同様、樹脂製ながら「和紙」から着想を得た独特のテクスチャ加工が施されています。マットな質感で指紋がつきにくく、手触りもサラッとしており、見た目以上にしっかりとした印象です。

本体のサイズは 324.5 × 214.4 mm、厚みは 17.0 〜 19.9 mm です。重さは約 1.38kg と比較的軽量で、MIL-STD 810H 準拠の堅牢性を備えているため持ち運びのしやすいモデルです。
ポートは増えて扱いやすくなった
Celeron N4500 搭載モデルからの大きな変化は、USB-C ポートが 1 つから 2 つに増えた点です。そのほか、USB-A、HDMI、3.5mm オーディオジャックも引き続き搭載しています。

拡張性は向上しましたが、すべてのポートが左側面に集約されているため、使い方によっては不便に感じる場合もあります。できれば、USB-C ポートは左右に 1 つずつ設置してほしかったですね。
ディスプレイは価格なりだが、日常使いには問題なし
ディスプレイは 14 インチ FHD(1,920×1,080)ノングレア仕様で、非タッチ対応です。

視野角は広く、文字や資料の閲覧には十分な品質ですが、全体的にやや白っぽく発色し、色再現性は価格相応です。しかし、一昔前の角度によって白っちゃけてしまうディスプレイではないため、ブラウジングや動画視聴など普段使いであれば問題ありません。

もう一つ気になるとすれば画面の明るさです。最大でもやや暗めに感じますが、ノングレアのおかげで明かりの映り込みがあっても画面はまだ見やすい方です。しかし、その分画面の明るさを最大近くまで上げるシーンも多いため、バッテリー駆動時間にわずかに影響する可能性があります。
キーボードは ASUS らしい配列、良くも悪くも
日本語配列キーボードは ASUS らしい構成で、¥キーはかなり小さめですが、Backspace キーの幅と Enter キーの幅も確保されています。また、英数・かなキーはスペースキーの幅を削って追加しているため、その左右にある Alt キーのサイズに影響はありません。

軽めの打鍵感ながらクリック感があり、文字入力は快適です。また Delete キーが独立している点も便利で、資料作成や文書入力などの用途に適しています。しかし、「¥」の入力頻度が高いユーザーはややストレスがかかるかもしれません。
ちなみに 2025 年以降となる新モデルのため、キーボードには「クイックインサート」キーと「G (ランチャー)」キーが搭載されています。
スペックシート
ここでスペックシートを紹介しておきます。
| 型番 | 4GB RAM モデル: CX1405CTA-S60604 8GB RAM モデル: CX1405CTA-S60592 |
|---|---|
| ディスプレイ | 14 インチ TFT 1,920 × 1,080 ノングレア |
| CPU | Intel N50 |
| RAM | 4GB / 8GB LPDDR5-4800 |
| 内部ストレージ | 64GB eMMC |
| 外部ストレージ | – |
| ウェブカメラ | 2MP 720p プライバシーシャッター |
| ポート | USB-C ×2 USB-A ×1 HDMI ×1 |
| ネットワーク | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.3 |
| バッテリー | 最大 11 時間 |
| その他 | MIL-STD 810H 日本語配列キーボード |
| サイズ | 324.5 × 214.4 × 17.0 ~ 19.9mm |
| 重さ | 約 1.38kg |
| 自動更新期限 | 2035 年 6 月 |
| ボード名 | telticn50 (Nirva) |
依然としてエントリークラスという立ち位置ですが、Celeron N4500 よりもパフォーマンスは改善し、USB-C ポートを 2 つ搭載しているという点がメリットと言えます。
パフォーマンスとバッテリー
今回の ASUS Chromebook CX14 CX1405CKA は Intel N50 を搭載したことで、Celeron N4500 モデルと比べて性能が大幅に向上しました。
以下は筆者が実際に測定したベンチマーク結果と、Celeron N4500 モデルとの比較です。
| ベンチマーク | Celeron N4500 | Intel N50 | 向上率 |
|---|---|---|---|
| Geekbench 6 (Single) | 467 | 1,010 | 約 2.2 倍 |
| Geekbench 6 (Multi) | 756 | 1,379 | 約 1.8 倍 |
| Geekbench 6 (Vulkan) | 1,663 | 1,851 | 約 1.1 倍 |
| PCMark (Android) | 8,099 | 9,784 | 約 20% 向上 |
| Octane 2.0 Plus Single | 28,180 | 49,149 | 約 1.7 倍 |
| Octane 2.0 Plus Multi | 123,317 | 144,437 | 約 17% 向上 |
| JetStream 2 | 115 | 169 | 約 47% 向上 |
| Speedometer 2.0 | 104 | 182 | 約 75% 向上 |
| Speedometer 3.0 | 5 | 11 | 約 2.2 倍 |
Geekbench と Octane 2.0、Speedometer のスコアからも分かるように、シングルスレッド性能が大きく向上しており、ブラウザ操作や Google ドキュメント、スプレッドシートなどの作業が体感でも明確に軽快になりました。
タブを 10 個ほど開いても安定して動作し、N4500 モデルで感じられた“もたつき”が大幅に軽減されています。
ただし、再起動後の「おかえりなさい」を使ってタブを復元するときなど、一気に負荷がかかるときには 5 個ほどのタブでももたつきがありました。
参考までに、実際に様々な Chromebook 実機で測定した Geekbench および Octane 2.0 Plus のベンチマークスコアとの比較です。


いくつかのベンチマークスコアは Kompanio 838 や Intel N100 に近いスコアのため、ChromeOS の一般的な用途には十分な性能です。
しかし、マルチタスクや Linux など負荷の高い作業には向いていません。そのため、ブラウザベースで一つの作業をするユーザー向きです。
バッテリー駆動時間はまずまず
バッテリー駆動時間は、ディスプレイ輝度 70%、Wi-Fi・Bluetooth・NordVPN 拡張機能を有効にした状態で、Gmail とチャットを固定タブに表示し、Gemini に相談しながら Google ドキュメントやスライドでの資料作成、といった使い方で 1 時間あたり約 15% の消費でした。
この条件での実働時間はおおよそ 5 〜 6 時間で、公称値(最大 11 時間)の半分程度です。
筆者はこれまでに様々な Chromebook を使用してきましたが、ほぼ同じ条件で作業をすると公称値の半分程度のバッテリー駆動時間が平均となります。そのため、今回のモデルもほぼ予想どおり(ある意味で公称値どおり)となりました。
Chromebook としては平均的なバッテリー駆動時間なので、実用的な範囲と言えます。ただし、比較的シンプルな作業が中心なので、Google Meet などでのオンライン会議参加、グラフ・図形の多いスプレッドシートや Looker Studio など負荷がかかる作業の場合、さらに短くなる可能性があります。
実際の使用感
実際の使用では、Google Workspace(ドキュメント、スプレッドシート、スライド)や Gmail、Gemini といったブラウザアプリを中心に快適に動作します。タブを 5〜6 枚開いた状態での作業は安定しており、一般的な学生や在宅ワーカーの用途には十分です。

しかし、8GB RAM を搭載した本モデルでも、Google Meet で仮想背景を有効にした状態でマルチタスクをしたり、Android アプリを複数同時に動かしたりすると、CPU だけでなく RAM の使用率もかなり上がり不安定になります(Meet 起動時の CPU 使用率はだいたい 60 〜 75% を推移)。

また、重たいスプレッドシートやスライドの読み込み、高解像度の画像などの取り扱いはモタつきなども出てきます。とはいえ、Celeron N4500 を搭載するモデルよりは安定しています。
ブラウザを中心として、調べものやメール、動画視聴、文書作成やスライド作成、スプレッドシートで簡単な表計算が中心であれば問題はありません。1 つのタスクに集中したり、軽作業向けに割り切って使うつもりなら、アリです。
まとめ
Intel N50 を搭載した ASUS Chromebook CX14 (CX1405CTA) は、Celeron N4500 モデルから着実に進化したエントリー向け Chromebook です。
USB-C ポートの増加や動作の安定性向上により、日常のブラウジングや文書作成には十分な快適さを備えています。一方で、ディスプレイ品質や高負荷作業は引き続き割り切りが必要です。
4GB RAM モデル(34,800 円)は価格と性能のバランスが良く、Chromebook を初めて使うユーザーや、リモートワークなどでブラウザ中心の業務を行うユーザー、手頃な価格でサブデバイスを探しているライトユーザーにおすすめです。
ちなみに 8GB モデルもありますが、CPU 性能の限界を踏まえると、コストパフォーマンス的には 4GB モデルが最も現実的です。
一方で 8GB RAM モデルの価格帯になると、より高性能な Intel N150 と 8GB RAM を備えた ASUS Chromebook CX14 (同名なので分かりづらい) も選択肢に入ります。8GB RAM が必要な用途であれば、そちらを検討することをおすすめします。
このほか、HelenTech では多数の Chromebook のレビューを公開しています。


