Google は公式ブログで、英国ウェスト・ミッドランズ警察が Android Enterprise を導入し、セキュリティと生産性を両立させた事例を紹介しました。
この取り組みでは、将来的に Gemini などの AI を活用し、警察業務をさらに効率化することも視野に入れています。
導入の背景: セキュリティと生産性向上の両立
イングランドで約 300 万人の住民の安全を担うウェスト・ミッドランズ警察は、警官が地域社会でより多くの時間を活動できるようにするため、モバイルデバイスの活用が不可欠でした。
しかし、現場で扱う機密データの保護という堅牢なセキュリティ要件と、警官の業務効率を高める生産性の向上を両立させることが大きな課題となっていました。
この課題を解決するため、同警察は管理の容易さ、セキュリティ、互換性に優れた Android Enterprise を選択しました。
Android Enterprise によるメリット
導入により、セキュリティ、生産性、IT 部門の運用の各面で大きな効果が現れています。
堅牢なセキュリティで市民と証拠を保護
警察業務では、市民のプライバシーを保護し、裁判で有効な証拠を保全するために、大量の機密データを安全に管理する必要があります。Android Enterprise の導入により、以下のセキュリティ対策が実現されました。
- データの暗号化: 全ての通信はエンドツーエンドで暗号化。
- 不正アクセスの防止: デバイスが改ざんされた場合、アプリのプライベート証明書が自動的に失効。
- 安全なアプリ利用: Managed Google Play ストアを利用することで、許可されたアプリのみダウンロード可能になり、セキュリティリスクを低減。
これらの機能により、外部のセキュリティアドバイザーが設定した高い基準も満たしており、非常に安全なソリューションであると評価されています。
AI 活用も見据えた生産性の向上
ウェスト・ミッドランズ警察は、AI の活用が組織全体の生産性を飛躍的に向上させる可能性があると考えています。
将来的には、Gemini や NotebookLM といった AI 技術を活用し、従来は複雑で時間のかかっていた手続きガイドを、より直感的で使いやすいものへと変革することを目指しています。これにより、警官は署内での管理業務に費やす時間を削減し、地域社会で市民と直接関わる時間を増やすことができるようになります。
IT 部門の運用負担を大幅に軽減
Android Enterprise は、IT 部門の運用効率も大幅に改善しました。Android Enterprise OEMConfig ツールを活用することで、セキュリティポリシーや機能設定を容易に適用できます。
これにより、新しいデバイスの展開や再割り当てにかかる時間は、従来の 3 時間からわずか 15 分へと劇的に短縮されました。さらに、導入後はシステムに関する問題報告が減少し、サポートへの問い合わせの多くが新機能の要望に変わるなど、システムの安定性も示されています。
Vodafone との強力なパートナーシップ
14,000 人以上の職員を抱える同警察は、この大規模なモバイル環境の構築と管理において、10 年以上にわたり通信事業者である Vodafone と協力してきました。
Vodafone は、Google がその専門性を認める Android Enterprise Gold Certified Partner の認定を取得しており、英国の救急サービスの77%が利用する高速かつ安全なネットワークを提供しています。
このパートナーシップにより、警官は現場で目撃者の証言や証拠をデバイスに直接記録できるようになり、事務作業を削減して本来の任務に集中することが可能になりました。
この事例は、公共機関が直面するセキュリティと生産性の課題を、AIなどの最新技術を組み込んだモバイルプラットフォームでいかに解決できるかを示す好例です。
出典: Google