Google は、Android スマートフォンを外部ディスプレイに接続して使用する「デスクトップモード」向けに、Chrome ブラウザの新機能をテストしていることが報じられました。
この機能により、外部ディスプレイ接続時に Web サイトが自動で PC 版レイアウトで表示され、より自然なデスクトップ操作が可能になります。
Android デスクトップモードの課題
Android 16 QPR1 で導入されたデスクトップモードでは、Pixel などの対応スマートフォンを外部ディスプレイに接続すると、単なるミラーリングではなく、Samsung DeX のようにアプリを自由に配置できる PC のようなインターフェースを利用できます。
Chrome もこの環境に最適化され、タブバーがウィンドウ上部に統合されるなど、タブレットや PC に近い表示が実現しています。
ただし現状では、ブラウザがサイトに対してスマートフォン用の「ユーザーエージェント(UA)」(Web サイトにブラウザの種類などを伝える識別情報)を送信するため、一部のサイトがモバイル版レイアウトのまま表示される問題があります。そのため、ユーザーは都度「PC 版サイト」を手動で選択しなければなりませんでした。
新機能でユーザーエージェントを自動切り替え
この問題を解消するため、Google は Chrome に新しい実験的フラグ「Request Desktop User-Agent on external displays」を追加しました。
このフラグを有効にすると、外部ディスプレイ接続時に UA が自動的にデスクトップ用に切り替わり、YouTube や Reddit などのサイトが PC 版レイアウトで表示されます。
たとえば、YouTube ではナビゲーションが画面下からサイドパネルに移動し、Reddit では検索バーや投稿レイアウトがデスクトップ版と同じ構成になります。

この機能はまだデフォルトでは無効ですが、chrome://flags にアクセスし、「Request Desktop User-Agent on external displays (#desktop-ua-on-connected-display)」を検索・有効化することで試すことができます。

Android を PC 代替へと進化させる一歩
この変更は小規模ながらも、Android をより本格的なデスクトッププラットフォームへ発展させるうえで重要な要素とされています。
Samsung の DeX など一部メーカーはすでに独自のデスクトップモードを提供していますが、Google が OS レベルで最適化を進めることで、Android エコシステム全体の一貫性が高まります。
また、この動きは Google が ChromeOS と Android を統合を進め、PC 向け Android OS として拡張する戦略の一環とみられます。
今後、折りたたみスマートフォンやタブレットなどでも統一された操作環境が実現される可能性があります。