予告されていたように、Microsoft は 2025 年 5 月 5 日 (米国時間) をもって Skype のサービスを正式に終了し、今後は Microsoft Teams に注力すると発表しました。
かつて、ピーク時に 3 億人ものユーザーを抱えましたが、直近の 2023 年の発表ではデイリーユーザー数が 3,600 万人以上となっており、Zoom や他のメッセージングツールとの競争の中で、その役割を終えました。
Skype サービス終了の背景
Microsoft が Skype のサービス終了を決断した背景には、Microsoft Teams の重要性の高まりがあるとしており、Microsoft 365 共同作業アプリおよびプラットフォーム担当プレジデントの Jeff Teper 氏は TechCrunch に対し、「現時点では、Teams に全ての焦点を当てることで、よりシンプルなメッセージを発信し、より速いイノベーションを推進できる」と語っています。
Skype 終了への流れは、2016 年の Teams 登場以降、段階的に進められてきました。
- 2016年: Microsoft Teams が登場。当初は Slack の競合と見なされていましたが、Microsoft はより広範なコラボレーションとコミュニケーションのプラットフォームを目指していました
- 2017年: Skype for Business の段階的廃止計画を発表(2021 年に完了)
- 2021年: Windows 11 の統合コミュニケーションアプリとして Teams を選択。Skype は主要な位置から外れることになります
- 2024年12月: Skype クレジットの追加購入や Skype 番号の新規購入を停止し、ユーザーを月額サブスクリプションや Skype-to-Phone プランへ誘導
これらの動きを経て、今回の Skype サービス完全終了の発表に至りました。Microsoft は、再構築された Teams アプリの個人利用が十分に拡大したと判断し、Skype から Teams への完全移行を進める決断を下しました。
今回の Skype サービス終了は、2025 年 2 月 (米国現地時間) には、Skype のコード内にサービス終了を示唆する記述が見つかっており、その後に Skype の公式サイトや Microsoft 365 Blog でも 5 月 5 日にサービス終了と Teams への移行に関する案内が掲載されました。
ユーザーへの影響
2025 年 5 月 5 日(米国時間)以降、Skype アプリは利用できなくなり、Microsoft は Teams の無料版 (Teams Free) への移行を推奨しています。しかし、Teams Free では、Skype の機能である固定電話や携帯電話との通話機能は提供されません。
また、これまでに特にアクションを起こしていない場合は、2025 年末まで Skype のデータは保持されますが、その後削除される予定です。必要であれば Skype の組み込みアプリを使ってデータをエクスポートすることができます。
一方、Skype クレジットを利用した通話は 2025 年 4 月 3 日 (米国現地時間) をもって終了しましたが、サービス終了後もアカウントに残っている Skype クレジットは、Skype Web ポータルおよび Microsoft Teams 内に設けられる Skype ダイヤルパッドを通じて、無期限に利用できるとしています。
まとめ
Skype は、インターネットコミュニケーションの可能性を広げた画期的なサービスでした。しかし、スマートフォンの普及や新たな競合アプリの登場により、その役目を終えることになりました。
Microsoft は今後、ビジネス用途から始まった Teams を、個人利用も含む統合コミュニケーションプラットフォームへと発展させる方針です。Teams という名称が個人利用にどこまで浸透するかは未知数ですが、Microsoft は Word や Excel のように、仕事やプライベートで広く使われるツールとなるか注目されます
旧 Skype ユーザーの方は、必要に応じて Teams へのデータ移行が完了しているか確認し、重要なデータのバックアップを行っておくことをお勧めします。
とはいえ、そもそも日本国内において、様々な競合サービスがあるなかでわざわざ Teams を使って個人間で通話をする理由がどれほどあるかはわかりません。無料版では固定電話や携帯電話への連絡もできないため、課金ユーザーも含め、日本でどれほど利用者が増えるかは注目です。
出典: TechCrunch