Google は昨年、Cameyo と提携して ChromeOS 上の Windows レガシーアプリの統合の強化を進めていましたが、今回 Google は Cameyo を買収して ChromeOS エコシステム内における Windows アプリの仮想化機能の統合をさらに強化することを発表しました。
これは Google がレガシーアプリケーションとウェブベースのアプリケーションの両方を利用する企業ユーザー向けに、シームレスで効率的な体験を提供するという取り組みによるものです。
Google が委託した Forrester の調査によれば、90%の回答者がアプリケーションがデスクトップではなくクラウドで使える世界を思い描いていることがわかり、78%の回答者はウェブを採用した企業は取り残されるだろうと考えているようです。
ウェブベースのアプリケーションを導入することで、セキュリティの向上やコストの削減、ユーザーエクスペリエンスの向上などのメリットを得ることができますが、調査では50%がいまだにクライアントベースであることが明らかにされました。
Forrester の調査ではレガシーアプリにアクセスする方法として、従来は仮想デスクトップ インフラストラクチャ (VDI) ソリューションを利用されていましたが、この方法は「専門的なスキル セット、ユーザー エクスペリエンスの遅延、セキュリティと管理の難しさ」などの課題があるとしています。そのため、同調査ではギャップを埋める方法として仮想アプリケーション配信(VAD)が推奨されています。
Google はこれまでに ChromeOS で仮想アプリケーションの提供に注力しており、昨年 Google は Cameyo と提携して ChromeOS と統合されたシームレスな仮想アプリケーションの配信を開始しています。これにはローカルファイルシステムの統合と仮想アプリケーションをプログレッシブウェブアプリ(PWA)として配信する機能、クリップボードのサポートなどが含まれています。
そして今回、Google は Cameyo を買収したことで仮想化アプリが ChromeOS にさらに深く統合されることになります。これにより次のようなメリットを得ることができます。
- アプリケーションの展開の簡素化:仮想化されたアプリケーションは、デバイスや場所に関係なく、組織全体に簡単に展開してアクセスできます。
- セキュリティの強化: ChromeOS と Cameyo はどちらもゼロトラスト セキュリティを提供し、連携してデータとシステムを脆弱性から強力に保護します。
- 生産性の向上:従業員は、互換性の問題、パフォーマンスの低下、仮想デスクトップの操作に煩わされることなく、ChromeOS シェルフから直接 PWA として必要なアプリケーションに迅速かつ簡単にアクセスできます。
- IT コストの削減:アプリケーション管理、サポート プロセスを合理化し、インフラストラクチャ要件を排除することで、長期的には大幅なコスト削減につながります。
いままでアプリケーションの問題で ChromeOS への移行ができなかった企業も、VADという選択をすることでクラウドの利便性と ChromeOS / Chromebook のセキュリティやコスト削減のメリットなどを受けられるようになります。レガシーアプリが足かせだった企業にとっては非常に魅力的なものとなりそうです。
現時点では企業ユーザー向けの機能として提供されるので個人ユーザーへの展開は未知数ですが、いつか展開されることを期待したいですね。