先週、Google が ChromeOS 116 で ChromeOS と Chromeブラウザの分離させる Lacros プロジェクトが導入される可能性があることを伝えていますが、Googleは開発者向けにChromebookにおけるLacrosについての説明を行い、これに基づくと、Lacrosへの移行計画はすでに開始しているが、完了はすぐに実現しない可能性があるようです。
2024/07/13 更新 : Google が正式に Lacros プロジェクトの終了を発表しました。詳細はこちら。
最近、GoogleはChromeの開発者と企業内でGoogle Chromeを管理する開発者を対象としたウェビナーの動画を共有しています。
この動画によれば、Googleはすでに信頼できるテスターにChromebookでLacrosを使用できるように開放していることを伝えています。また、移行期間中は組み込まれたChromeブラウザとLacrosの両方がChromebookに搭載されることも示しており、Lacrosで問題が生じても、組み込みChromeブラウザに戻して作業できるようになっているようです。
ChromebookにおけるLacrosはテスタープログラムが開始されており、事実上移行計画は始まっていると言えますが、動画のなかでは今後数ヶ月以内にLacrosの展開を開始する予定であることを伝えています。具体的にどのバージョンで行われるかは言及していませんが、ChromeOS 116 CanaryではフラグによってLacrosへの完全置き換えが試せるようになっています。
Googleはこの移行は慎重に行うとしており、年末から2024年にかけてChromebook上にLacrosの提供を開始し、そこからさらに数ヶ月かけてバグや問題を解決することになるため、実際にユーザーが安定版として利用可能になるまでは1年ほどかかる可能性があることを伝えています。
Lacrosとは、ChromeOSと統合されているChromeブラウザを、独立したアプリケーションに切り分けようとする計画です。
現状では、Chromeブラウザにセキュリティパッチなどのアップデートを行いたくでも、ChromeOSと統合されているためアップデートを展開するためにはChromeOSのアップデートも必要になります。これは、単独のアプリケーションである他のOSのChromeブラウザよりも手間がかかるだけでなく、アップデートをすぐに展開することができません。
そのため、ChromeOSからブラウザを切り離すことで、他OSと同様にアップデートが迅速にできるようになるというメリットがあります。さらに、ChromeOS(Chromebook)の自動更新ポリシーの期限が過ぎたとしても、Chromeブラウザは切り離されていることでブラウザのアップデートは受け取り続けることができる可能性があります。
つまり、期限切れのChromebookでも延命できるようになる可能性がありますが、これはあくまで予想であり公式の見解ではありません。
もう1つのメリットは、ChromeOSと切り離されることでデスクトップ版Chromeなどと同じようにユーザープロファイルを簡単に切り替えられるようになります。今のように毎回ChromeOS側のユーザーを切り替える必要がなくなるため、複数のGoogleアカウントを使い分ける人には良い変更です。
とは言え、見た目に何か大きな変更が加わるわけではないため、細かい点を除きユーザーには違いは特に感じないと思います。
いずれにしてもChromeOS 116あたりからテストできるようになるけど、実際に広く展開されるまでは1年ほどかかりそうなので、長いですが期待して待ちたいですね。
via About Chromebooks