今回の記事では、Google が Pixel 9 シリーズとともに2024年8月に発表したワイヤレスイヤホンの新モデル Google Pixel Buds Pro 2 の実機レビューをお届けします。なお、購入してから2ヶ月以上使用した状態でのレビューとなります。
新しい Pixel Buds Pro 2 は、前世代からケースの見た目は大きく変わりませんが、Android の「デバイスを探す」ネットワークに対応したことで充電用 USB-C ポートの横にスピーカーが搭載されました。イヤホンは形状が変更されたことがひと目でわかり、小さめながらウイングも復活しています。さらにイヤホンで初めて Tensor チップセットを搭載し、前世代からアクティブノイズキャンセリング性能と音質を向上させ、バッテリー駆動時間も延長しました。
前世代 Pixel Buds Pro も、初めて ANC を搭載するなど2020年モデルから格段に進化した印象ですが、新しい Pixel Buds Pro 2 は性能や機能に加えて装着感など使いやすさの面でもしっかりと改善・進化している印象です。
仕様
まずは Google Pixel Buds Pro 2 の仕様について簡単にまとめます。
- オーディオ
- Google Tensor A1 チップ
- Silent Seal 2.0 によるアクティブノイズキャンセリング
- 会話検知
- 圧力自動調整
- 外部音取り込みモード
- 11mmダイナミックドライバー
- ヘッドトラッキング対応空間オーディオ
- 低遅延ゲーミングモード
- Bluetooth 5.4 / LE Audio
- 「デバイスを探す」対応スピーカー
- ワイヤレス充電対応
- マルチポイント接続
- リアルタイム翻訳
- Gemini アシスタント
- 防滴・防水
- イヤホン : IP54
- ケース : IPX4
- バッテリー駆動時間
- ANC オン : 最大8時間 / ケース込み 最大30時間
- ANC オフ : 最大12時間 / ケース込み 最大48時間
- サイズ
- イヤホン : 22.74 mm × 23.08 mm × 17.03 mm
- ケース : 49.9 mm × 63.3 mm × 25.00 mm
- 重さ
- イヤホン : 4.7 g
- ケース : 65g
前世代 Pixel Buds Pro から見ると共通点も多いですが、アップデートされた点をざっくりまとめると、ノイズキャンセリング機能、Bluetooth バージョン、ゲーミングモード、イヤホンとケースの防滴・防水仕様、バッテリー駆動時間、デバイスを探すへの対応、イヤホン本体の軽量化などがあります。
デザイン
Pixel Buds Pro 2 のケースの見た目は前世代から大きく変わりません。卵の殻のようなサラッとした触り心地やペアリングボタン、LED インジケーター、USB-C ポートの位置なども変わりませんが、少しだけスリムになっていて USB-C ポートの横にスピーカーが搭載されました。
これにより Android の「デバイスを探す」アプリを使って、音鳴らしてイヤホンのケースも探すことができるようになりました。ケースは引き続き Qi ワイヤレス充電をサポートしており、ケーブルを使わずに手軽に充電ができます。
イヤホンはケースを開けたときにすでに形状が変わっていることがわかり、とくに側面に大きなグリルが追加されています。
取り出すと、前世代のようなメントスっぽさは少し控えられ、くびれやウィングが追加されています。これにより以前よりも装着感が良くなり、長時間の装着でも負担になりづらく、落ちたりズレたりしにくくなりました。なお、イヤホンも「デバイスを探す」を使って音を鳴らして探すことができます。
本体の「G」ロゴがある部分はタッチコントロールセンサになっており、ここでタッチやスワイプをして音楽や音量などの操作を行うことができます。タッチ操作はこれまでの Pixel Buds シリーズと変わらず、スワイプで音量の増減、タップで再生/一時停止、ダブルタップで次のトラック、トリプルタップで前のトラック、長押しは左右でカスタマイズ操作を割り当てることができます。
使用感
実際に数ヶ月使ってきましたが、装着感に関しては前世代よりも格段に良くなりました。以前は耳にハマる、乗っているという感じですしたが、Pixel Buds Pro 2 はちゃんと耳に入っているという感じになりました。そのため動いていてもホールド感は増していますし、周囲から入ってくる音も少し軽減されたように感じます。
形状が変わってウィングが付いたことによるものですが、長時間装着していても以前より快適ですし、動いていても落ちたりする心配が減ったことは大きな進歩だと思います。
耳にしっかりと入ってホールドされるようになったことで、アクティブノイズキャンセリング(ANC)の効果も確かに向上しているように思います。特に低音部分のカットが改善されたように感じ、新幹線に乗って音楽を流していれば、トンネルに入ったときの音や列車のすれ違いのときの音などが前世代よりも小さく、気付きにくくなりました。
とは言え、公称のように2倍の変化があるかと言われるとそこまでではありません。しかし、もともと ANC の効果を確実に実感できるレベルから改善したと感じられるので優秀です。
ANC も自宅やカフェ、移動中、コワーキングスペースなどいろいろな場所で試してみましたが、ANCは十分な性能だと思います。当然、オーバーイヤーヘッドホンなどに比べると劣りますが、コンパクトな本体でこれだけ効けば十分といったレベルでした。
外部音取り込みモードに関しても使って見た感じでは、そこまで違和感があるようには感じませんでした。会話検知を有効にしていれば音楽も自動的に止まるため、イヤホンをしたままの急な会話や店頭でのオーダーでもそこまで困ることはありませんでした。
音質についても前世代より低音がよく響くようになりましたが、劇的な変化ではありません。おそらく以前よりも耳にフィットするようになったことで、抜ける音が少なくなったためだと思います。音質にそこまでこだわる方ではありませんが、少なくとも音に不満はありませんでした。
また、Pixel Buds Pro 2 も設定(Pixel 以外はアプリ)からイコライザー(EQ)をカスタマイズすることができます。ここではデフォルトと最後に保存した設定を含む7つのプリセットと、超高音、高音、中音、低音、超低音をスライダー式で調整できるカスタム設定が可能です。
また、音量が小さい状態での低音と高音を強調するボリューム EQ という設定もできます。音にこだわりのあるユーザー以外であれば、ほとんどのユーザーはこれらの設定でも十分だと思います。
ちなみに Pixel Buds シリーズは、Android デバイスだけでなく Chromebook などからウェブアプリ(PWA)を経由して設定を変更することができます。PWAに対応しているイヤホンはかなり珍しいので、Pixel (Android)ユーザーかつ Chromebook ユーザーであればより便利に使うことができます。
この他に Pixel Buds Pro 2 もマルチポイントペアリングに対応しており、2つのデバイスに接続して通話またはメディアの再生でデバイスが自動的に切り替わります。同じ Google アカウントにペア接続している必要があるものの便利です。
Pixel Buds Pro 2 のメリットの1つは、前世代よりもバッテリー駆動時間が延びたことです。以前のモデルでは、静岡(藤枝)から新大阪までの3時間半程度の ANC オンで Spotify 連続再生をしたときに残量が30%程度になりましたが、Pixel Buds Pro 2 は63%の残量がありました。Pixel Buds Pro 2 だけで午後の仕事をフルで乗り切るくらいなら余裕です。充電も USB-C 経由だけでなくワイヤレス充電も引き続き利用可能なので、こまめに充電していればそこまで困ることはないはずです。
一方で、Pixel Buds Pro 2 の新機能として導入された Gemini ですが、案外使う機会がありません。リリース直後は Gemini Live を利用することもできなかったことが大きいです。アシスタントとしても機能も、例えば操作方法が変更されたことで長押しによる通知の読み上げなどが廃止されたこともあり、わざわざ Pixel Buds 経由で機能を使うことはほぼありませんでした。
ここでマイクについてですが、Pixel Buds Pro も案外悪くないと感じましたが、Pixel Buds Pro 2 はさらに良くなっていると感じました。自宅の静かな環境であれば通話や会議でも十分に使えますし、少し騒がしいカフェでも周りの音をうまくカットしており、話している声をちゃんと拾って届けられています。
カフェでは少し声が小さくなってしまいますが、ちょっとした通話や会議で利用するだけであれば大きな問題にはならないと思います。ただ、長時間の場合や事前にわかっている会議の場合には、ちゃんとしたヘッドセット(Jabra Evovle2 65 Flex のような)を使うべきですね。
AI については今後に期待ですが、ANC、音質、マイクなど全体的に前世代よりも改善されていると感じ、Pixel Buds Pro 2 はさらに完成度が高くなったイヤホンです。ただ、その分は価格に反映(為替の影響も)されており、36,800円とプレミアムラインの価格となりました。
この価格になると、様々なハイエンドでプレミアムなイヤホンが競合することになり、音質やANCなどに関しては他ブランドのほうがより良い性能を持つものもあることは事実です。何を重視するか次第ですが、Google Pixel デバイスや Chromebook を使っていて、シームレスな連携と使いやすさを重視するのであれば Pixel Buds Pro 2 は良い選択肢になると思います。
まとめ
今回は Google Pixel Buds Pro 2 のレビューをしてきましたが、確実に前世代よりも改善されており、予算さえ許せば Pixel と Android ユーザーの誰にでもおすすめできるワイヤレスイヤホンとなりました。
とくに Pixel ユーザーは、他のコダワリがなければまず最初に検討してみてはいかがでしょうか。