今回の記事では、手頃な価格のミニPCを数多くリリースしている GEEKOM の Ryzen 7 5800H を搭載した「GEEKOM A5」の実機レビューをお届けします。なお、レビューにあたり実機の提供を受けています。
ちなみに前回はインテル第13世代 Core i9-13900H を搭載した「GEEKOM IT13」のレビューをしていますが、発売時期的には今回レビューする「GEEKOM A5」のほうが前のモデルとなります。インテルモデルよりも性能は控えめになるものの、価格も抑えられているためより手頃な価格で購入することができます。
「GEEKOM A5」のスペックは次のとおりです。
スペック
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 5800H |
RAM | 32GB DDR4-3200 SODIMM (最大64GBまで) |
内部ストレージ | 512GB NVMe PCIe Gen3 (最大2TBまで) |
追加ストレージ | 2.5インチ 7mm SATA HDD (最大2TBまで) |
外部ストレージ | SDカード |
ポート | [前面] USB-A (3.2 G2) ×2 3.5mm Headphoneジャック [背面] USB-C (3.2 G2) ×2 USB-A (3.2 G2) ×1 USB-A (2.0) ×1 HDMI 2.0b ×2 Ethernet (2.5G) ×1 |
ネットワーク | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.2 |
その他 | VESA対応 独自耐久試験クリア |
サイズ | 117×112×49.2mm |
重さ | 約652g |
OS には Windows 11 Pro を採用、プロセッサは AMD Ryzen 7 5800H、最大64GBRAMと最大2TBのNVMe PCIe Gen 3 ストレージと2.5インチ 7mm SATA HDDを搭載することができます。
今回レビューしている実機は、公式ストアで販売されている32GBRAMと512GBストレージを搭載したモデルです。
実機レビュー
「GEEKOM A5」の本体サイズは117×112×49.2mmとコンパクトサイズで、VESAマウントに対応しています。筐体は高強度メタルフレームとプラスチックを組み合わせており、落下や圧力による変形を防ぎ、独自耐久試験(振動、落下、温湿度、ポート、騒音、塩霧)をクリアした堅牢性を備えています。
GEEKOM A5 は本体カラーが桜色?となっており、いわゆるミニPCにしてはカジュアルな印象です。机のセットアップ的に合う合わないはありそうですが、たまにはこういう色も悪くはありません。
ポートは前面に USB-A ポートが2つとヘッドホンジャック、背面には2つの USB-A ポートと2つの USB-C ポート、2つの HDMI ポート、Ethernetポートが搭載されており、側面にはSDカードスロットとケンジントンロックホールがあります。
ミニPCながら充実したポートを備え、何より GEEKOM A5 の大きなメリットはUSB-C ポートが2つあるという点です。ほとんどのミニPCは前面もしくは背面にUSB-Cポートが1つしか搭載されていませんが、USB-Cポートが2つあることで周辺機器との接続がしやすくなります。
ただ、このUSB-Cポートは画面出力も兼ねていますので、HDMI接続を選ばない場合や3枚目以上の画面に出力したい場合には1つ(または2つ)が埋まってしまうというデメリットはあります。また、USB-Cポートは転送速度10Gbpsに対応する USB 3.2 Gen 2 となるので Thunderbolt 3/4 や USB4 ではないことに注意してください。
ちなみにHDMIは2.0b規格で4K/60Hz出力に対応、USB-Cは4K/60Hzまたは8K/30Hz出力に対応しています。筆者はWQHD(2,560×1,440)の3枚に出力して試してみましたが、目立つ遅延や負荷などはなく快適に作業ができました。
ポート周りでもう1つ注意点(不満)を挙げるとすれば、背面のUSB-Aポートの1つが2.0を採用していることです。これは前回レビューした「GEEKOM IT13」も同様でしたが、どうせなら新しい規格にしてほしかったですね。
本体底面からは内部にアクセスすることができ、RAMの増設やストレージの増設を簡単に行うことができます。ただし、蓋には2.5インチ HDD 用のケーブルが接続されているので開けるときに引っ張らないように注意してください。
GEEKOM A5 は最初から32GBRAMが搭載されていますが、ストレージは512GBとなっているため増やすのであればストレージになるかと思います。
ベンチマーク
ここで実機で測定したベンチマークのスコアとその他の機種のスコアを紹介します。一部で比較機種が異なっていますが、諸事情により測定できない(していない)ためです。ご了承ください。
同じ AMD Ryzen 7 5800H を搭載した別のミニPCをテストしたことがありますが、それに比べてRAM容量が多いためか、GeekbenchやPASSMARKで良い結果を残しています。CPU周りのスコアとしてはインテル第12世代 Core i5-1245Uと同等以上の結果となっており、グラフィックス周りのスコアはインテル第13世代 Core i9-13900Hよりもわずかに上のため、価格を考えればやはり Ryzen 7 5800H は優秀ですね。
GEEKOM A5 のみのスコアは次のとおり。
ベンチマークソフト | スコア |
---|---|
Geekbench Single | 2,017 |
Geekbench Multi | 9,632 |
Geekench OpenCL | 17,576 |
Geekbench Vulkan | 16,945 |
PASSMARK | 10,924 |
PCMARK | 6,302 |
Octane | 75,650 |
JetStream2 | 271 |
Speedometer | 277 |
Ryzen 7 5800H 自体も優秀ですし、32GBRAMを搭載している影響もあると思いますが「GEEKOM A5」はかなりバランスの取れた良いモデルだと思います。
使用感
筆者が普段から行っているブラウザベースの業務であればタブを30個ほど開いても特に問題なく動き、Lightroomで簡単なRAW編集やPhotoshopで1~3レイヤーくらいの画像編集でも安定して動作しました。1つの画面でYouTube動画を流しつつ、残り2つの画面で作業をしていても特に動作に不満はありませんでした。
一方、Photoshopを含めグラフィックス性能に左右されるアプリケーションなどはアプリの立ち上げや読み込み時に待ち時間が発生するため、性能が高めといっても過信はできません。ゲームに関してもレトロゲーなど2Dや軽めの3Dゲームであれば大丈夫ですが、外部グラフィックスが必要になるようなAAAタイトルや3D系は厳しいです。
ファンに関してですが、先にレビューしているIT13は常時ファンがブン回っているため音が気になっていました。しかし GEEKOM A5 は比較的静音で、アイドルのときは低負荷の状態であればそこまで気になる音ではありません。
アプリを立ち上げたときなど負荷がかかったときにはハッキリとファンの音が聞こえますが、YouTubeを流しつつブラウザで作業をする程度であればほぼ音は聞こえません。もちろん無音ということではありませんが、耳を近づければ聞こえてくる程度で済みます。
常に負荷がかかる作業をするのであればIT13などファンが常時回るデバイスのほうがかえって安心ですが、ブラウザベースの作業やたまにしか高負荷の作業をしないというのであれば、GEEKOM A5 は静かで良いですね。ファンの音が気になってしまうユーザーで、ブラウザベースでの作業やオフィスソフトの利用、たまの画像編集や写真編集といった使い方であれば Ryzen 7 5800H と32GBRAMを搭載する GEEKOM A5 は良い選択肢になると思います。
気になることと言えば、USB-Aポートの1つが2.0なことやできることなら前面にももう1つUSB-Cポートが欲しかったことくらいです。それ以外の点では目立った不満や問題はありませんでした。
まとめ
最後に価格についてですが、公式サイトでは通常88,600円のところ24,800円オフで63,800円になっていて、さらに期間限定でクーポンが提供されているため最終的に60,300円で購入することができます。しかし、Amazonでは割引によって60,000円ジャストで購入できるため、状況によってはそちらが良いでしょう。
いずれにしても6万円という価格なら悪くはなく、手頃な価格で Windows 11 Pro が動作するPCをお探しであれば良い選択肢です。
なお、同じプロセッサを搭載するミニPCはいくつかありますが、「GEEKOM A5」は32GBRAMを搭載していてUSB-Cポートが2つあるという点が強みですので、数千円高くなってもここにメリットを感じるのであればおすすめです。
- 公式ストアクーポン : helentech3500
ちなみに2024年1月25日までの期間、GEEKOM 日本公式サイトでは数量限定の福袋を購入することができます。これは76,000円で福袋を購入すると、78,480円~125,800円までのミニPCがランダムに購入できるというものです。詳細については公式サイトの特設ページをご覧ください。