今回の記事では、Ryzen 7 8845HS を搭載したハイスペックな静音ミニ PC の「Beelink SER8」の実機レビューをお届けします。なお、本レビューにあたり実機の提供を受けています。
Beelink はコストパフォーマンスに優れたミニPCをいくつもリリースしていますが、今回のモデルは Ryzen 7 8845HS と 32GBRAM を搭載したハイスペックでありながら静音性が重視されており、熱対策もしっかりと考えられているため高負荷な状態でも静かなファンの音をキープできる優秀なデバイスです。
今回もブログ関連の作業を中心に、仕事関連のいくつかの業務でも「Beelinkg SER8」を使って試しています。
デザイン
「Beelink SER8」のデザインは金属製の筐体を採用しており、静音性を高めるとともに剛性と高級感もあります。とくにサイドパネルに通気孔がないため、スッキリとした見た目になっている点も良いですね。底面から吸気して背面に出すというエアフロー設計になっており、内部のファンもブレードの設計やモーターのアップグレードにより、熱をうまく処理しながら静音を保っています。
また、底面から吸気することによるホコリの吸い込みを防ぐため金属製のダストフィルターが搭載されているため、長時間・長期間使ったときでもホコリによるパフォーマンスの低下を極力防ぐ設計になっています。
本体のサイズは約135×135×44.7mmとなっていて、少し高さがありますが邪魔になるような大きさではないため、机の上に置いったりないと思います。ただ、天板のロゴは好みが分かれそうなので、もう少し地味なロゴでも良かったかもしれません。
前面には USB-C (10GBps) ポート、USB-A (3.2) ポートがそれぞれ1つずつあり、3.5mm オーディオジャックがあります。背面には USB-C (USB4/TB3) ポートが1つ、2つの USB-A (2.0) ポート、USB-A (3.2) ポートと HDMI 2.1 ポート、DisplayPort 1.4 ポート が1つずつ、2.5G Ethernet ポートと 3.5mm オーディオジャックも搭載されています。最大3台のディスプレイに出力することができます。
これまで背面に2つの USB-C ポートがあるミニPCをいくつかレビューしていますが、やはり前面に1つあると便利です。ただ。気になった点としてデバイスを起動したときに前面ポートに接続しているデバイスが認識されないことがあり、一度接続しているデバイスの電源を入れ直すか、機器を差し直す必要がありました。
また、背面の USB-A ポートは1つが 3.2 ですが残りの2つは 2.0規格となっている点も少し残念です。おそらくストレージなど速度を必要とするデバイスは前面に接続し、背面は周辺機器などを接続することを想定しているようですが、もう少し高速なポートでも良かったと思います。私の場合は Web カメラとマウスのレシーバー、マイクを USB-A ポートに接続し、USB-C ポートは外部出力かその他の周辺機器を適宜切り替えています。
なお、Beelink SER8 に付属している電源がスリムかつコンパクトなため、コンセント周りをスッキリとさせることができる点もメリットです。プラグ部分も日本向けになっていたため、変換コネクタを用意しなくても普通に使えます。
パフォーマンス
今回レビューしている「Beelink SER8」の構成とスペックは次のようになっています。
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 8845HS |
GPU | AMD Radeon 780M |
RAM | 32GB DDR5 5600MHz |
内部ストレージ | 1TB M.2 2280 PCIe 4.0 (最大8TBまで拡張可能) |
外部ストレージ | – |
前面ポート | USB-C (10Gbs, データ専用) ×1 USB-A (3.2 10Gbs) ×1 3.5mm オーディオジャック |
背面ポート | USB-C (USB4 40Gbps) ×1 USB-A (3.2 10Gbps) ×1 USB-A (2.0) ×2 HDMI 2.1 (4K/120Hz) ×1 DisplayPort (4K/144Hz) ×1 2.5G Ethernet LAN ×1 3.5mm オーディオジャック |
ネットワーク | Wi-Fi 6E (Intel AX200) Bluetooth 5.2 |
サイズ | 135×135×44.7mm |
デフォルトで Windows 11 Pro で動作し、AMD Ryzen 7 8845HS と 32GBRAM、高速な1TB M.2 2280 PCIe 4.0 SSD を搭載しているため、ミニPCのなかでも最上位クラスのハイスペックとなっています。また、本体内部にアクセスしてストレージを交換することもでき、その場合は最大8TBまで拡張することができます。とは言え、32GB RAM もあれば通常の使用には十分ですし、搭載されているストレージも高速なので購入直後の状態でもグラフィックスを酷使するような作業をしない限りはそのままで問題はないと思います。
実際のデバイスでいくつかのベンチマークを実行してみましたので、そのスコアを参考に紹介しておきます。
ベンチマークソフト | スコア |
---|---|
Geekbench Single | 2,642 |
Geekbench Multi | 13,033 |
Geekbench OpenCL | 32,365 |
Geekbench Vulkan | 35,579 |
PCMARK | 7,392 |
Passmark | 8,334 |
FF14 (高品質 デスクトップ 1920×1080) | 5,020 (普通) |
FF14 (高品質 ノートPC 1920×1080) | 5,647 (普通) |
FF14 (標準品質 デスクトップ 1920×1080) | 5,755 (普通) |
FF14 (標準品質 ノートPC 1920×1080) | 5,902 (普通) |
BlueProtocol (最高画質 1920×1080) | 5,102 (設定変更を推奨) |
BlueProtocol (高画質 2560×1440) | 4,597 (設定変更を推奨) |
BlueProtocol (中画質 2560×1440) | 5,370 (設定変更を推奨) |
BlueProtocol (低画質 2560×1440) | 9,931 (とても快適) |
BlueProtocol (高画質 1920×1080) | 6,960 (普通) |
BlueProtocol (中画質 1920×1080) | 7,904 (やや快適) |
BlueProtocol (低画質 1920×1080) | 14,708 (とても快適) |
Octane v2 Plus Single | 91,562 |
Octane v2 Plus Multi | 745,892 |
JetStream2 | 337 |
Speedometer 3 | 23 |
モバイルデバイス向けプロセッサでも上位に位置するスコアとなっていて、シングルコア、マルチコアとも非常に高い結果を残しています。ソフトウェア、ブラウザのどちらのベンチマークでも優れた結果だと思います。
ブラウザベースの作業や Lightroom と Photoshop を使った軽めの写真・画像編集も問題なくこなすことができました。特に Chrome ブラウザを使った作業ではタブを50個程度開いていても不安定になることはなかったため、事務作業など比較的軽めな作業やエクセルなどを使ったデータ分析系の作業であっても安定して使うことができます。
一方、グラフィックス性能も内蔵グラフィックスとしては優れていて、例えば BlueProtocole の最高画質や WQHD 表示は厳しいものの、フルHDで中画質程度であれば負荷のかかるシーンでも安定してプレイすることが可能です。FF14 も全体的に安定したプレイが可能でした。
この他にも Steam でプレステ時代のリメイクであるスターオーシャンセカンドストーリーRやSO6をプレイしてみましたが、こちらもほぼ問題なくプレイすることができました。若干PS4以降のゲームはもたつくシーンが出てくるかもしれません。
あとはグラフィックスを酷使するような最新の AAA タイトルは厳しいですが、それ以外のゲームでは画質などを調整すれば十分遊ぶことができます。これ以上を求めるのであれば、素直にコンシューマー機やゲーミングPCを買ったり、Xbox Game Pass や Nvidia GeForce Now などのクラウドゲームサービスでプレイするほうが良いでしょう。
本体の静音性も非常に優れており、ベンチマークで負荷をかけているときでもファンの騒がしさというのはほぼ気になりません。ファンレスではないので無音というわけではありませんが、わずかな駆動音が聞こえる程度で、一般的なノートパソコンを使っているときのほうがファンの音が気になるレベルで静かです。隣で動かしていた Chromebook のファンの音のほうが大きく聞こえるくらいでした。熱に関しても負荷をかけたあとに本体を触ってみても筐体が熱くなりすぎることもなく、内部的にも温度は安定しており動作に影響はありませんでした。
ここまで静音を保ちながらパフォーマンスは申し分ないため、日常使いや事務作業、写真編集や画像編集、軽めのゲームプレイ、配信用のデバイスとしても「Beelink SER8」は非常に優れたデスクトップミニ PC です。
まとめ
最後に価格についてですが、「Beelink SER8」は公式サイトのプレセールでは32GBRAMと1TBストレージモデルが102,060円で販売されています。Windows 11 Pro を搭載してこの性能を詰め込んだデバイスは10万円ちょっとで買えるので、コストパフォーマンスも非常に優れています。
静音性とパフォーマンスのバランス、そして価格を重視するのであれば「Beelink SER8」はとても良い選択肢です。コンパクトなデスクトップ PC で性能と静音性を求めているのであれば「Beelink SER8」をぜひ検討してみてください。
詳細は Beelink 公式サイトの製品概要をご覧ください。