ASUS Zenfone 12 Ultra 実機レビュー。順当にアップデートされたフラッグシップモデル

当サイトは Google Adsense、Amazon アソシエイト等 アフィリエイト広告を利用して収益を得ています.

今回の記事では、ASUS JAPAN が 2025 年 5 月 28 日に日本投入を発表した「ASUS Zenfone 12 Ultra」の実機レビューをお届けします。

なお、本レビューにあたり ASUS JAPAN より実機の貸出を受けていますが、内容についてメーカーからの関与はなく、実際に使用したうえでの率直な感想をまとめています。

目次

ASUS Zenfone 12 Ultra とは?

「ASUS Zenfone 12 Ultra」は、前世代の Zenfone 11 Ultra のコンセプトを引き継ぎつつ、最新のプロセッサー「Snapdragon 8 Elite」を搭載し、さらに AI 機能を大幅に強化したことが大きな特長です。

前モデル同様、大画面ディスプレイや高性能カメラ、大容量バッテリーを備え、日常使いからゲームまで快適にこなせる一台となっています。

もちろん、IP65/IP68 の防水・防塵性能やおサイフケータイ (FeliCa) 対応といった、日本のユーザーに求められるであろう機能もしっかりと搭載しています。OS は Android 15 ベースの Zen UI で、独自の便利機能も健在です。

ASUS Zenfone 12 Ultra は、グローバルで 2025 年 2 月初めに発表され、日本では 2025 年 5 月 28 日に発表、5 月 30 日から販売開始となります。

ASUS
¥149,800 (2025/05/28 12:10時点 | Amazon調べ)

ASUS Zenfone 12 Ultra のスペック

まずは、「ASUS Zenfone 12 Ultra」の主なスペックです。

OSZenUI
based Android 15
ディスプレイ6.78 インチ LTPO AMOLED
2,400 × 1,080
1〜120Hz (最大 144Hz) リフレッシュレート
Gorilla Glass Victus 2
CPUSnapdragon 8 Elite
RAM12GB / 16GB LPDDR5X
内部ストレージ256GB / 512GB UFS 4.0
外部ストレージ
リアカメラ50MP メイン (Sony Lytia 700, f/1.9, OIS, 6軸ジンバルスタビ)
13MP 超広角 (f/2.2)
32MP 望遠 (f/2.4, 3倍光学ズーム)
フロントカメラ32MP (f/2.0)
ポートUSB-C
3.5mm イヤホンジャック
バッテリー5,500mAh
最大 65W 有線充電
最大 15W ワイヤレス充電
ネットワーク5G/4G-LTE
Wi-Fi 7
Bluetooth 5.4
eSIM
NFC
おサイフケータイ (Felica)
その他画面内指紋センサ
IP65/IP68 防塵・防水
Hi-Res、Hi-Res Wireless
サイズ163.8 × 77 × 8.9mm
重さ220g

基本的なハードウェア構成は Zenfone 11 Ultra に近い部分もありますが、CPU が最新の Snapdragon 8 Elite にアップグレードされています。また、メインカメラのセンサーも新しい Sony LYTIA 700 に変更され、ジンバルスタビライザーも強化されています。

日本向けモデルとして FeliCa / おサイフケータイに対応している点は引き続き大きなポイントです。さらに、従来の物理 SIM に加えて eSIM もサポートされるようになりました。

国内向けには、RAM とストレージ容量が異なる 2 つの構成で展開されます。なお、貸出機は 16GB RAM / 512GB ストレージモデルです。

デザインとディスプレイ

ASUS Zenfone 12 Ultra のデザインは、前モデルの Zenfone 11 Ultra を踏襲しており、ゲーミングスマートフォンの ROG Phone シリーズとは異なり、派手さはないものの、落ち着いて洗練されたデザインで日常使いしやすい見た目です。

ASUS Zenfone 12 Ultra のリアパネルの写真
ASUS Zenfone 12 Ultra のリアパネル

背面には「ASUS – Zenfone」 のロゴが控えめにあしらわれています。カメラ部分はジンバルスタビライザー搭載の影響もあり、やや厚みがあります。

ASUS Zenfone 12 Ultra のリアパネルにある「ASUS Zenfone」ロゴの写真
ASUS Zenfone 12 Ultra のリアパネルにある「ASUS Zenfone」ロゴ

サイズ感は Zenfone 11 Ultra とほぼ同じで、大画面モデルのため手の小さな人には片手で扱うには少し大きいですが、一般的な大きさなら取り扱いは難しくありません。若干滑りやすいので、両手で扱うよう気をつけたりケースを着けるほうが無難です。

本体右側面にはボリュームボタンと電源ボタン、下部には USB-C ポートと 3.5mm イヤホンジャックが配置されています。イヤホンジャックが残されている点は、有線イヤホン派には嬉しいポイントです。

ASUS Zenfone 12 Ultra の下部側面にあるポートの写真
ASUS Zenfone 12 Ultra の下部側面にあるポート

USB-C ポートの位置は左下に来るので、右手でスマートフォンを操作するユーザーには充電しながらの縦持ち操作を妨げにくくなっています。横持ちすると少しだけ気になるかもしれませんが、L字タイプのケーブルを使うと、中央にポートのある一般的なスマートフォンよりも邪魔になりにくいです。

ディスプレイは 6.78 インチ 2,400×1,080 解像度 AMOLED を搭載。ゲーム中には最大 144Hz のリフレッシュレートと、表示内容に応じて 1Hz から 120Hz まで自動調整する LTPO 技術に対応しており、滑らかな表示と省電力性を両立しています。

ASUS Zenfone 12 Ultra のディスプレイの写真
ASUS Zenfone 12 Ultra のディスプレイ

実際に見てみると、発色も明るさも非常に良く、動画視聴やゲームプレイでもスムーズな描画で特に不満はありません。ベゼルも細めなので、特に違和感もなく扱いやすいです。

なお、本体は IP65/IP68 防塵・防水性能を備えており、水場やアウトドアでも使いやすく、ディスプレイもフチもフラットに近いデザインのため、落下しても側面からなら画面に影響が出にくくなっています。

実際の使用感

まずは ASUS Zenfone 12 Ultra のパフォーマンスについてですが、ROG Phone 9 シリーズと同様に現状最高峰のフラッグシップチップ Snapdragon 8 Elite を搭載しています。参考までにいくつかのベンチマークスコアを紹介しておきます。

なお、以下のスコアはシステムモードを「ダイナミック」で測定したものです。

ベンチマークソフトスコア
Geekbench Single1,973
Geekbench Multi7,394
Geekbench OpenCL12,549
Geekbench Vulkan14,802
PCMARK15,040
Octane 2.0 Plus Single65,146
Octane 2.0 Plus Multi413,119
JetStream2213
Speedometer 2400
Speedometer 324
3DMARK (WILD LIFE Extreme)5,162
3DMARK (SOLAR BAY)8,748
3DMARK (Steel Nomad Light)1,891

これらのスコアが示すように、パフォーマンスは現行スマートフォンの中でもトップクラスの性能となっています。ブラウザや SNS、動画視聴などから本格的な 3D ゲームまで非常に快適に動作します。

実際にいくつかのゲームをプレイしてみましたが、動作が重くなるようなシーンはほとんどありませんでした。

ASUS Zenfone 12 Ultra で原神をプレイしている写真
ASUS Zenfone 12 Ultra で原神をプレイ

軽くプレイする程度であれば、デフォルトの設定のままでも十分遊べますが、より高いパフォーマンスが必要な場合はシステムモードを「高性能」に切り替えることも可能です。

なお、この変更は Android の [設定] > [バッテリー] > [システムモード] から変更することができます。

Zenfone 12 Ultra のシステムモード設定画面のスクリーンショット
Zenfone 12 Ultra のシステムモード設定画面

また、ゲームプレイ中は ASUS 独自の「Game Genie」を利用でき、通知制御や画面録画などの便利な機能にアクセスできます。

ASUS Zenfone 12 Ultra で「原神」をプレイ中に Game Genie を起動したところのスクリーンショット
ゲームプレイ中に Game Genie を起動したところ

高負荷なゲームをプレイしたときや動画撮影時には、本体はそれなりに熱くなります。

専用の冷却システムを備える ROG Phone 9 シリーズと比較すると、やや熱を持ちやすいかもしれませんが、短時間のゲームプレイが中心の場合やガチ勢プレイでない限りは、さほど問題にはならないと思います。

バッテリーと充電

5,500mAh の大容量バッテリーを搭載しており、バッテリーは比較的長持ちします。Snapdragon 8 Elite の電力効率の良さもあり、通常の使い方であれば 1 日中バッテリー切れを心配する必要はないと思います。

ゲームをプレイする場合にはそれなりの消費電力になりますが、最大 65W の有線高速充電に対応しており、約 43 分でフル充電が可能です。最大 15W の Qi ワイヤレス充電もサポートしており、バッテリーに関しては取り回しのしやすさがあります。

カメラ性能 (LYTIA 700 と強化ジンバル)

カメラは、メインカメラに新しい 50MP の Sony LYTIA 700 センサーを採用し、2倍ロスレスズームに対応。さらに、OIS /EIS 手ぶれ補正に加えて、6 軸ジンバルスタビライザーもアップグレードされ、従来の ±3 度から ±5 度のブレまで補正できるようになりました。これにより、手ブレ補正性能がさらに向上しています。

ASUS Zenfone 12 Ultra のリアカメラのアップ
ASUS Zenfone 12 Ultra のリアカメラ

望遠カメラは 32MP で 3倍光学ズームに対応し、最大 30 倍のデジタルズームに対応しています。また、光学式手ぶれ補正 (OIS) も搭載しています。

今回は主に写真ですが、実際に撮影してみると、メインカメラや超広角カメラでの発色も良く、精細な写真を撮影できました。

メインカメラは 2 倍のロスレスズーム、望遠カメラは 3 倍光学ズームに対応しているため、等倍から 3 倍まではかなり綺麗に撮影することができます。Hyper Clarity 機能により 10 倍ズームでも使い所によっては十分綺麗に撮ることができます。一方、最大 30 倍のハイブリッドズームは、記録用と割り切るのが良さそうです。

動画撮影の場合、強化されたジンバルのおかげで歩きながらの動画撮影でも非常に滑らかな映像が得られます。写真撮影の場合、基本的には等倍、または 2 倍での撮影がメインでたまに10倍程度の望遠、あとは動画撮影(特に移動しながら)が多いユーザーにおすすめです。

さらに、AI 機能の強化により、カメラ体験も向上しています。

  • AI トラッキング: 被写体を自動追尾し、常にフォーカスを合わせ続けます。
  • AI 消しゴム: 写真に写り込んだ不要なものを自然に消去します。
  • AI ピンボケ補正: 背景を自然にぼかし、被写体を際立たせます。
  • ポートレート動画: 背景をぼかした映画のような動画撮影が可能です。

これらの AI 機能により、誰でも簡単にクオリティの高い写真や動画を撮影できるようになっています。

その他の便利な AI 機能

Zenfone 12 Ultra は、オンデバイス AI とクラウド AI を活用した多彩な機能を搭載しています。特に新しい機能として、次のような機能が挙げられます。

  • AI 通話翻訳: 通話中にリアルタイムで音声を翻訳します (ベータ版)
  • AI ドキュメント要約: 対応するドキュメントを選択時、要約を作成する機能
  • AI 記事の要約: Web ページやドキュメントの内容を AI が自動で要約します(ベータ版)

AI 通話翻訳は、リアルタイムで音声を翻訳することができるため、海外からの通話を受けるときなどに便利です。また、AI ドキュメント要約や AI 記事の要約といった機能も利用できます。

実際に AI 記事の要約を試してみましたが、ブラウザで要約したいウェブページにアクセスしたあと、一度共有シートを開き、[AI記事の要約]をタップし、記事の内容にもよりますが数十秒待ってから、要約されます。

若干時間と手間はかかりますが、共有シートから直接要約することができる点はメリットかもしれません。ただ、要約するコンテンツによってはうまく要約されないこともありますが、現状ではベータ版なので今後に期待です。

その他の便利な追加機能

このほか、日本市場向けのモデルとして、おサイフケータイ (FeliCa) に対応している点は、ROG Phone 9 シリーズと同様ですが、引き続き重要なポイントです。スマートフォンでキャッシュレス決済(とくに Suica など交通系 IC カード)をメインにしているユーザーにとってはほぼ必須です。

将来的にはマイナンバーカード機能 (スマホ用電子証明書) にも対応予定とのことです。

また、eSIM にも対応したため、物理 SIM をわざわざ用意する必要がなくなったことや、海外などで現地の通信プランをオンラインで手軽に契約・利用できるメリットがあります。これにより、物理 SIM カードを探したり交換したりする手間が省けます。

国内においても、オンライン手続きだけでキャリアの乗り換えや、物理 SIM と併用してデュアル SIM 運用(仕事用とプライベート用など)が可能になるため、より便利になります。

Zenfone 11 Ultra からの進化点

昨年の Zenfone 11 Ultra は、それまでのコンパクト路線から一転し、ROG Phone に近い大画面モデルへと舵を切りました。今回の Zenfone 12 Ultra は、その路線を継承しつつ、主に以下の点で進化しています。

  • プロセッサー: Snapdragon 8 Gen 3 から最新の Snapdragon 8 Elite へアップグレード。
  • AI 機能: カメラ系 AI や AI 翻訳などに加え、AI 要約、かこって検索など、機能が大幅に拡充。
  • カメラ: メインセンサーが Sony LYTIA 700 に変更され、ジンバルスタビライザーも ±5 度へと強化。
  • ネットワーク: eSIM に新たに対応。

デザインや基本的な機能は Zenfone 11 Ultra を踏襲しつつ、中身、特にパフォーマンスと AI 機能が順当に強化されたモデルと言えます。

価格について

最後に価格についてですが、「ASUS Zenfone 12 Ultra」は 2 つの構成が選択でき、価格は以下のようになっています。

  • 12GB RAM / 256GB ストレージ : 149,800 円
  • 16GB RAM / 512GB ストレージ : 169,800 円

Zenfone 12 Ultra は 149,800 円からとなっており、昨今のハイエンドスマートフォンの価格帯を考えると理解できる範囲ではありますが、やはり高価です。

特に、ゲーミングモデルである ROG Phone 9 (16GB/256GB モデル) が 159,800 円であることを考慮すると、悩ましい選択になります。

ただ、ROG Phone 9 には、より強力な冷却システムや 2 つの USB-C ポートなど、ゲームに特化した魅力的な機能を備えていますが、望遠カメラは搭載されていません(Pro モデルは搭載されている)。

上位モデルの ROG Phone 9 Pro であれば望遠カメラも搭載しますが、価格は 189,800 円からと、さらに高額になります。

ジンバルカメラやおサイフケータイ、ワイヤレス充電など細かな機能は両モデルとも搭載しているため、Zenfone 12 Ultra のメリットとしては、ベースモデルであれば ROG Phone 9 よりも少し手頃で高性能、多彩な AI 機能、望遠カメラ、日常使いしやすいデザインとなります。

まとめ

「ASUS Zenfone 12 Ultra」は、Zenfone 11 Ultra のコンセプトを継承し、性能は ROG Phone に匹敵するレベルでありながら、デザインはより落ち着いており、日常でも扱いやすい1台に仕上がっています。

パフォーマンス、高精細なディスプレイ、強力な手ブレ補正カメラ、十分なバッテリー、そして多彩な AI 機能は魅力的ですが、価格設定はゲーミングモデルの ROG Phone 9 とほぼ変わりません。

そのため、純粋なゲームパフォーマンスを求めるなら ROG Phone 9、ズーム写真撮影と動画撮影がメインで日常でのバランスを重視するなら Zenfone 12 Ultra が、それぞれ有力な候補となります。

結論として、最新の ASUS の AI 機能を使い倒したい、望遠カメラやアクションカムでの写真・動画撮影をしたい、普段使いもできて高性能なスマートフォンが欲しい、という方には Zenfone 12 Ultra は検討する価値はあります。

一方で、ゲームプレイ目的やパフォーマンスを最優先にしたい場合は ROG Phone 9 の方が合っていると思います。購入を検討する際は、自身の利用シーン、予算、そして両モデルの機能差をよく比較検討することをおすすめします。

ASUS
¥149,800 (2025/05/28 12:10時点 | Amazon調べ)

この記事をシェア

著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

目次