ASUS Chromebook CM30 Detachable (CM3001) をレビュー。4G-LTE対応でさらに使いやすくなった名機

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今回の記事では、ASUS JAPAN が昨年末に国内投入し販売を開始した Chromebook タブレットの新モデル 「ASUS Chromebook CM30 Detachable (CM3001)」の実機レビューをお届けします。なお、今回のレビューは実機の貸出を受けています。

この Chromebook CM30 Detachable は、2021年に発売された Chromebook Detachable CM3 の実質的な後継機種で、前世代と同じように本体収納式スタイラスペン、着脱式キーボード、キックスタンド付きカバーがセットになった10.5インチ タブレットタイプの Chromebook です。

新しくなった Chromebook CM30 Detachable CM3001 は、アルミニウム合金製の本体で米国軍規格の MIL-STD 810H に準拠した堅牢性を備えていること、MediaTek Kompanio 520 プロセッサを搭載したことで前世代よりも性能が大きく向上していること、Wi-Fi 6をサポートしたり、フロントカメラが5MPと高画素になったこがポイントです。

そして今回のモデルは 4G-LTE ネットワークに対応しているため、Wi-Fiがない場所でも持ち運んでどこでも作業できるようになったことが大きな変更点です。

目次

スペック

スペックは次のとおりです。

ディスプレイ10.5インチ
1,920×1,200
グレア
CPUKompanio 520
RAM4GB
内部ストレージ64GB eMMC
外部ストレージ
アウトカメラ5MP AF
Webカメラ5MP
ポートUSB-C(3.2 Gen1) ×1
3.5mm コンボジャック
ネットワーク4G-LTE
Wi-Fi 6
Bluetooth 5.2
対応バンド[4G-LTE]
B1/B3/B8/B18/B19/B26/B28
B39/B41/B42

[3G/WCDMA]
B1/B6/B8/B19
バッテリー駆動時間約12時間
その他本体収納式USIペン
着脱式キーボード
キックスタンド付きカバー
サイズ[本体のみ]
259.5×169.2×8.95mm

[全部セット]
259.5×178.6×17.1mm
重さ[本体のみ]
614g

[全部セット]
993g

実際に ASUS Chromebook CM30 Detachable を使用してみての印象や使用感を紹介していきます。ちなみに筆者は2016年(実際は2015年後半)から Chromebook と Google Workspace (G Suite) を個人・業務の両方で利用し続けていますので、国内ではそれなりに使っているユーザーです。

CM3001 のポイント

本体

本体はフォグシルバーと呼ばれるカラーで、アルミニウム合金を使用していて MIL スペックに準拠しているためしっかりとした作りになっています。MIL スペックに準拠したというのが前世代からの大きな進化で、多少雑に扱ってもすぐ動かなくなるということはありません。

横持ちにしたときに右上側面には本体収納式 USI スタイラスペン、左側面に SIM カードスロット、電源ボタン、音量ボタン、3.5mm オーディオジャック、USB-C ポートがあります。下にはキーボードと接続するためのコネクタがあります。

本体収納式スタイラスペンは、前世代の最初から引き抜くタイプではなく、一度押し込むと頭の部分が飛び出すプッシュ式に変更されました。これは ASUS Chromebook CM14 Flip などと同じです。

このおかげで取り出すときに少し楽になっています。また、収納時も左右の向きを気にする必要がなくなったので、ペンの取り回しはかなり改善されたと思います。

スタイラスペン

本体収納式スタイラスペンはUSI 方式を採用しているためスムーズで筆圧検知にも対応しています。筆者は手書きで Android アプリの Squid や Noteshelf、Web アプリでは FigJam を使うことが多いですが、どれも問題なく使うことができます。昨年実装された Google ドライブの PDF 書き込みでも問題ありません。

ただし、Web アプリよりも Android アプリを使うほうが読み込みや筆記時の反応もスムーズで、パームリジェクションなども安定しています。これは CM30 に限った話ではなく ChromeOS デバイスで共通することです。

ちなみに Web アプリしかない FigJam に関しては、広範囲のマインドマップやチャートなどを開いたり編集すると描画(読み込み)にかなり時間がかかるため、性能的にも厳しい可能性があります。Androidアプリ版が出れば解決すると思いますが、こればかりは Figma 次第なので仕方ないですね。FigJam に限らず、Webアプリを使った手書きをする場合には注意してください。

ディスプレイ

ディスプレイは前世代と同じ10.5インチ 1,920×1,200 解像度の広視野角、グレア液晶を搭載しています。ベゼルの幅なども大きく変わっておらず、最近のタブレットとして見ると少し野暮ったいかもしれません。

ただ、この厚みのおかげでタブレットとして使うときにも手のひらが画面に干渉しにくいというメリットがあります。

10.5インチという小さい画面ですが、ネイティブ解像度で使えば1920×1200まで作業領域を広げることができます。

デフォルトの解像度だと1つのウィンドウで作業することに向きますが、調べ物をしながらドキュメントにまとめたり比較するとった作業をするユーザーでも表示倍率を変えることで作業領域を広げられるため便利です。ただ、文字など全体的に小さくなるのは仕方ないですね。

Web カメラとリアカメラ

ASUS Chromebook CM30 Detachable は Web カメラ(フロントカメラ)とリアカメラのどちらも5MPセンサを採用しています。とくにフロントカメラは1080pの映像を届けることができるため、これまでの Chromebook のなかでも明るく、はっきりとした映像になります。

リアカメラは5MPでオートフォーカスをサポートしていますが、ズームや広角などの細かい操作はできません。あくまでオマケのようなものですが、CM3001 だけでホワイトボードや紙の書類を撮影して直接ドライブに取り込んだり共有することができるため、学校や職場などでスマートフォンとは違う Google アカウントを使っている場合には便利です。

着脱式キーボード

キーボードは日本語配列で、コンパクトなデバイスなためにやや小さめのキーですが文字入力でそこまで不便な配置にはなっていません。しかし Backspace と¥記号のキーが幅なく隣接した最近の ASUS のキースタイルを採用しているため、文字消去時などで若干ミスすることがあります。

一方でエンターの幅を少しでも取ろうという工夫があり、前世代のモデルよりも入力しやすくなっています。キーに関しては好みや慣れの問題があるかと思いますが、キーボードは全体的にもう少しフレンドリーな感じになってくれると嬉しいですね。

着脱式キーボードは前世代とは異なり傾斜のつくタイプではなく、ペタッと机などでフラットになるタイプに変更されています。ここは好みだと思いますが、今回のやや反発が強めに感じる打鍵感だとフラットにして正解な印象でした。

トラックパッドは横長の長方形タイプで、上下は少し狭いかもしれませんが反応もスムーズで実用上特に問題はありません。サイズ的には iPad Pro の Magic Keyboard フォリオのトラックパッドとほぼ同じでした。

キックスタンド付きカバー

キックスタンド付きカバーも前世代から変更されており、前世代ではユニークなポイントだったタテ・ヨコの両方で使えるタイプではなくヨコ向きだけの一般的なタブレットカバーになりました。といっても、タブレットにするか着脱式キーボードを装着して使うことが多い場合は大きな問題はないと思います。

なお、前世代ではキックスタンドを開いても90度まででしたが、新しい CM30 では170度まで開くようになりました。地味な改善ですが、スタイラスペンで手書きをするときにちょうど傾斜ができて書きやすい角度まで調整できるようになったので便利です。

ちなみにカバーとキーボードの素材が前世代のファブリックから樹脂製に変更されています。前世代は長く使っていると折り曲がる部分や縁側からほつれが出てきましたが、CM30 ではそういった問題はなくなります。

カバーで少し気になった点としては、持ち運びなどでキーボードを閉じたときに本体とマグネットでくっつくのでパカパカしづらいんですが、マグネットが少し弱いのか滑りやすい素材になったせいか、キーボード部分がズレてディスプレイ部分が露出しやすくなっています。

バッグなどにそのまま入れて持ち運ぶときなどは、他のものと干渉して傷がつかないようにするなど少し注意が必要です。ただし、この問題はCM30固有ではなく同じタイプのキーボードカバーを採用した Chromebook タブレットも同様です。

使用感

実際に ASUS Chromebook CM30 Detachable (CM3001) を数日間使ってみましたが、全体的に前世代を大きく上回る仕上がりで、性能を含めて使い勝手は改善されていると感じます。

まずは性能という点をわかりやすくするため、実機で測定したベンチマークスコアを紹介します。いずれも実用上の快適さを示すものではありませんが、少なくとも数字の上では前世代を大きく上回わっっています。

また、以前同じ Kompanio 520 を搭載した ASUS Chromebook CM14 Flip をレビューしていますが、その時のスコアなども参考にすれば Snapdragon 7 Gen 2 や Intel Celeron N4020 などと同等もしくややや上回るスコアもあります。つまり、前世代や1〜2年前のエントリークラスの Chromebook よりも普段使いや仕事で使うにも実用的な性能になっています。

これまでのエントリークラス Chromebook では、例えば Google Meet をしながらスライドやドキュメントを共有すると読み込みに時間がかかったり挙動がカクついたりということがありましたが、Kompanio 520 を搭載する Chromebook CM30 Detachable はスムーズに動作します。

もちろん、ハイスペックモデルに比べれば読み込み時間は長く、タブを大量に開きながら複数の作業を並行するには厳しいですが、Google Meet で会議に参加してスライドを共有したりドキュメントで議事録を作成するくらいであれば快適に使うことができるようになりました。

全体として、Chrome ブラウザで作業する事自体が昨年以前のエントリークラス Chromebook に比べれて快適になっています。とは言え、4GBRAMということもあり、一気にタブを開いたり(タブグループで保存したタブを10個同時に)、重たいタブを5個以上開いて作業するときにはカクつきますので注意してください。

バッテリー駆動時間に関しては、ディスプレイの明るさを50%にして Wi-Fi 接続、タブを7個程度開き、Google ドキュメントで資料作成を行ったところ1時間あたり13%前後の消費でした。公称値には届きませんが、LTE接続した場合も同じような消費だったので、筆者の使い方で平均すると7時間前後はバッテリー駆動で使えることが期待できます。

これであれば1日持ち出しても安心ですし、高出力なモバイルバッテリーであれば充電することもできるため、バッテリーに関してはそこまで不安はありません。

惜しいところ

一方、使用していて気になった(惜しい)点は以下の3つがあります。

  1. USB-Cポートが1つだけ
  2. 指紋センサがほしい
  3. 8GBRAMモデルがあってもよかった

1つめに関しては前世代と同様ですが、充電も USB-C ポートを兼ねるため充電しながら周辺機器を接続したい場合にはハブが必要となります。筆者の場合、Web 会議に参加するときにヘッドセットの USB-C レシーバーを使うため、ハブがない場合にはこれを使うと充電しながら会議への参加ができません。とは言え、ハブを買えば解決するので大きな問題ではありませんが、もう1つ USB-C ポートがあれば便利だったと思います。

ちなみに筆者は前回レビューしている StarTech のT字型 USB-C ハブを利用しており、モバイルバッテリーで充電しつつ CM3001 を使って出先で会議に参加してみました。

2つ目に関してはエントリークラスの Chromebook では仕方ないかもしれませんが、指紋センサがあればもっと便利になるはずです。現状ではログインのときにも毎回パスワードやPINを入力する必要があり、スマートフォンハブを利用していればスマホのロック解除でログインできるものの、それを毎回するというのが若干手間です。とくにタブレットとして利用したいときにはログインが非常に面倒なので、指紋センサがあることで、タブレットとしてもより使いやすくなることが期待できます。

3つ目は特殊かもしれませんが、筆者のように基本的に Wi-Fi があるところで使用する場合、会議に参加するときのコンパニオンデバイスやちょっとしたときのサブデバイスとして使いたい場合には、4GBRAMで4G-LTEより動作に少しゆとりのある 8GBRAM モデルがあっても良かったと思っています。

持ち運びに最適

ASUS Chromebook CM30 Detachable (CM3001) は前世代と同じくコンパクトサイズで、さらに4G-LTEをサポートしたことで外出時など持ち出す用のデバイスとしてより使いやすくなりました。

Wi-Fiのない場所で空き時間に使うときやテザリングがうまくいかないときなどに、デバイスを起動しただけでスムーズにモバイルネットワークに繋がるのは大きなメリットです。バッテリー駆動時間の長さも魅力です。

ログインの手間はありますが、タブレットとして使うこともできるためキーボードを使わないときや移動中、場所を確保できないときなどにも使いやすいこともメリットですね。GeForce NOW や Xbox Cloud Gaming などのクラウドゲーミングサービスでゲームをプレイするにもちょうど良いです。

10.5インチというサイズなので腰を据えた作業だと辛いですが、移動中や出先で使う場合には手頃なサイズ感に十分な性能を備えていました。

まとめ

前世代よりも大きく性能が向上し、4G-LTEに対応したことでどこにでも持ち運べるという強みが加わり、普段使いからビジネス、学校でもさらに使いやすくなったモデルが ASUS Chromebook CM30 Detachable (CM3001)です。

とは言え、エントリークラスの性能であるため、サブデバイスとして自宅や出先で軽めの作業やプレゼン、タブレット代わりの1台としておすすめです。そこまでハードに使うわけじゃないということであればメインとしても十分ですし、堅牢性を備えたことで子ども用の端末としてもオススメできます。

ASUS Chromebook CM30 Detachable の4G-LTE 対応モデルは au Online Shop でのみ販売されており、販売価格は69,800円となっています。回線契約は別申込となりますので、詳細については au Online Shop をご確認ください。

ブログの補足としてレビュー動画を YouTube に公開しました。

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Product Marketing Manager

Professional ChromeOS Administrator 取得者。これまでに40台以上の Chromebook を試し、業務でも Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行う。本業はアクセス解析や広告運用、ときにPMM。プロフィールはこちら

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