今回の記事では Amazfit が9月初めに海外で発表し、日本でも27日から事前予約を開始しているアウトドアスマートウォッチの新モデル「AMAZFIT T-REX 3」の実機レビューをお届けします。なお、レビューにあたり実機の提供を受けています。
Amazfit からは低価格なものからランナー向け、アウトドア向けスマートウォッチなどラインナップも豊富で、今回レビューする Amazfit T-Rex 3 は堅牢性と耐久性を重視するアウトドアスマートウォッチとなります。とは言え、私はアウトドア派ではなくハードな使い方をすることはほぼないため、今回のレビューではこれまでと同様に日常使用をベースにして、Amazfit T-Rex 3 の使い勝手がどうかをお伝えしていきます。
仕様
まずは大まかな Amazfit T-Rex 3 の仕様です。
ディスプレイ | 1.5インチ AMOLED 480×480 322ppi 最大2,000nits Gorilla Glass |
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サイズ | 48.5×48.5×13.75mm |
重さ | 68.3g |
ネットワーク | Wi-Fi 2.4GHz Bluetooth 5.2, BLE 円偏波デュアルバンド・6衛星測位 |
本体素材 | ステンレススチールベゼル ポリマーミドルフレーム |
防水性能 | 10ATM |
堅牢性 | MIL-STD 810H 9項目クリア |
バッテリー | 500mAh |
その他 | マイク搭載 リニアモーター グローブモード オフラインマップ Zepp Flow 音楽ローカル再生 |
過去の T-Rex 2 や T-Rex Ultra からスクリーンの大型化、明るさ向上、コーティング変更、搭載センサ類のアップグレード、バッテリー駆動時間の改善、AI 機能搭載などが含まれています。
デザイン
Amazfit T-Rex 3 は、1.5インチ 480×480 AMOELD ディスプレイを搭載し、明るさが最大2,000nits となったおかげで、前世代よりもスクリーンが大きく明るくなったおかけで、直射日光下や照明下でもディスプレイがさらに見やすくなりました。
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ディスプレイは Gorilla Glass によるディスプレイコーティングが施され、ステンレススチールのベゼル、本体は米国軍規格 MIL-STD-810G の9項目に準拠した堅牢性、45m のフリーダイビングにも対応する 10ATM 防水などを備えており、アウトドアやスポーツでも安心して使うことができます。
堅牢性重視でこの見た目ですが、実際に装着すると非常に軽く、長時間着けていても手首への負担はあまり大きくないことがメリットです。重さは約68g(実測)でした。また、バンドの素材がリキッドシリコンに変更されたことで、アレルギー持ちで敏感肌の私でも着けていて荒れるといったことはほぼなくなりました(都度、取り外して手入れはします)。
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バンドの穴も細かく設置されているため、ちょうど良いフィット感にするのも手軽ですので、激しい動きのスポーツなどでも安心です。
ディスプレイが大きくなっていることで、タッチによる操作もしやすくなっています。また厚み2mm未満の手袋を装着したままでもタッチ操作ができるグローブモードが搭載されたため、寒い時期や地域、ウィンタースポーツでも手袋を外すことなくタッチ操作ができるようになりました。
また、側面にある4つのボタンを使っても操作することができるため、状況や環境に応じて操作方法を切り替えることができる点も魅力です。水場や水中などタッチ操作が難しいシーンではボタン操作ができると便利です。
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なお、今回から充電器が充電ベースとケーブルが一体型のタイプではなく、USB-C ケーブルで接続することで使える独立したタイプとなりました。
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充電ベース本体もかなりコンパクトで持ち運びしやすく、これによりスマートフォンなどの USB-C ケーブルをそのまま充電に流用できるため荷物も増えずに済みます。ただ、USB-Cケーブルは同梱されていないのでユーザーが自前で用意する必要があります。
機能とパフォーマンス
健康測定・アクティビティに関連した機能でも過去の T-Rex モデルからアップグレードされており、Amazfit T-Rex 3 では新世代PPG生体センサーに加えて皮膚温度センサーが搭載されました。
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また、AI を統合した Zepp OS 4.0 と組み合わせることで、血中酸素レベル、ストレスレベルを高精度で24時間モニタリング、運動時の心拍や日々の健康状態をリアルタイムで正確に検出、精神的・身体的回復の指標となるレディネススコアを表示することができます。さらに睡眠モニタリングでも段階、呼吸の質、心拍変動、昼寝の測定が可能です。
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健康測定機能に関しては基本的な測定をカバーできているため、特に不満はありません。それぞれの測定結果は T-Rex 3 とアプリの両方から確認できますが、過去に遡ることができたり見やすさという点では、ちゃんと見るのではあればアプリがおすすめです。また、アプリから測定する項目や頻度などを設定することができることも Amazfit スマートウォッチのメリットの1つです。
スポーツやアクティビティでは、最近の Amazfit スマートウォッチで採用されている円偏波のデュアルバンド6衛星測位システムが搭載されました。これにより位置情報をさらに正確に測定できるようになり、3種類のオフラインマップも利用できるようになりました。
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オフラインマップにはランニングやウォーキングなどで使用する道路や基本地形が表示された「ベースマップ」、スキー場のコースを表示する「スキーマップ」、登山やトレイルランニングなどで使用する等高線が表示された「コンターマップ」が含まれます。 なお、オフラインマップは Zepp アプリから Google マップのオフラインマップを追加することができるようになったため、かなり便利です。
今回、こういった高度な機能は実際に使っておらず、あえてウォーキングなど日常生活で Amazfit T-Rex 3 を使っています。アウトドアやスポーツユーザー向けの機種ということもあり、GPSの精度なども含めて十分な性能を備えていますが極端なデバイスではないため、日常生活でも使いやすいスマートウォッチに仕上がっています。
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また、170種類以上のスポーツモードが備わっているため、これをうまく活用することでリアルタイムのパフォーマンスやVo2Max、回復の時間、トレーニングの効果、トレーニングの負荷に関する情報などをチェックすることができます。もちろん、AIを活用した Zepp コーチを使うこともできるため、ユーザーに合わせた運動・トレーニング計画や休息などのプランを組み立ててくれることができます。
ちなみに T-Rex 3 にはスピーカーが搭載されていないので、距離やペースが音声読み上げではなくビープ音(昔の時計にあったような機械音)のような通知音で教えてくれます。そのため、声で読み上げて通知が必要なユーザーには Amazfit Balance やランナー向けの Amazfit Cheetah などを選ぶほうが良いかもしれません。
一方、マイクが搭載されたことで OpenAI の GPT-4o を統合した「Zepp Flow」を音声入力で使うことができます。これを使うことでスマートウォッチの設定を変更したり、通知や天気を確認したり、アラームやタイマーの設定といった操作を音声で指示することができます。Google アシスタントが使えないことは残念ですが、ウォッチのアラームなどはこれで操作できるようになるため便利でした。
バッテリー駆動時間に関しては、常時表示オフ、通知は1日20〜30件ほど、30〜45分のウォーキング(GPSあり)、22時〜翌7時までおやすみモード、健康測定関連はデフォルトのまますべて有効にした状態で、1日あたり5〜7%の消費となりました。運動をしない日は5%以下のときもあるため、公称値の通常使用どおりの駆動時間が期待できます。
その他のポイント
アプリは初期の頃から様々なアップデートを経て、いまではだいぶ使いやすくなっています。各種設定はもちろん、健康測定の結果なども見やすく、文字盤の選択肢もかなり増えています。以前よりもウォッチフェイスの自由度が上がったことは良い傾向です。
ただ、文字盤に関しては無料だけでなく有料のものが含まれるようになりましたが、相変わらず無料と有料のフィルターなどがないため、文字盤を探すのにかなり苦労します。これがもう少し改善されればより使いやすくなります。
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アプリと設定では気になった点では、Amazfit シリーズは個人用と仕事用プロファイルの区別をつけることができず、個人用アカウントのアプリのみで通知を受けることができます。そのため、仕事用プロファイルが導入されている Android スマートウォッチでは、仕事用のアプリの通知を受け取ることができません。これが設定できるようになるとさらに便利になるはずです。
あとは今回の Amazfit T-Rex には決済機能が搭載されておらず、NFC や Suica を使うことができません。とは言え、もともと Amazfit のスマートウォッチは国内で電子マネー決済含めて導入していないのであまり大きな影響はありません。むしろ将来的に搭載を期待したいですね。
まとめ
今回は Amazfit のアウトドアスマートウォッチの新モデル「Amazfit T-Rex 3」をレビューしてきましたが、日常使いでも十分使いやすく、バランスの取れた堅牢性重視のモデルと言えます。
日常的にスポーツやアウトドアな環境にいる人だけでなく、週末だけ活動するといった場合でも普段から使いやすいスマートウォッチです。GPSや堅牢性を含めたアウトドアでの性能を重視しながら、39,900円と手頃な価格設定になっているのも魅力的なので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。