Google は 2025 年 10 月 15 日 (米国時間)、Chromebook などのサポートされる ChromeOS デバイスおよび ChromeOS Flex デバイスに向けて、ChromeOS 141 安定版 (Stable) のメジャーアップデートをリリースしました。このアップデートは今後数日かけて、順次展開される予定です。
今回のアップデートにより、Chrome ブラウザのバージョンは 141.0.7390.115、プラットフォームのバージョンは 16404.45.0 へと更新されます。
現時点での公式リリースノートでは、主にセキュリティ修正に関する内容のみが記載されていますが、事前に公開された管理者向けリリースノートから、ユーザーに影響のある新機能も判明しています。
なお、記事執筆時点では、Kompanio Ultra を搭載する Lenovo と Acer の Chromebook Plus モデル、一部の教育市場向け Chromebook には今回のアップデートはまだ展開されておらず、一つ前のバージョン 140.0.7339.242 のままとなっています。
ChromeOS 141 のセキュリティアップデート
今回のアップデートでは、ChromeOS 本体と内蔵されている Chrome ブラウザの両方で、複数の脆弱性が修正されています。深刻度の高い問題も含まれているため、早めのアップデート適用が推奨されます。
ChromeOS のセキュリティ修正
ChromeOS に関する脆弱性として、サードパーティコンポーネントで発見された以下の内容が修正されました。
- CVE-2025-54957 (High): 悪意のあるメディアファイルを介して、サービス拒否 (DoS) を引き起こす可能性のあった整数のオーバーフロー。
この他にも、Android 関連のセキュリティ修正が含まれています。
Chrome ブラウザのセキュリティ修正
ChromeOS に内蔵されている Chrome ブラウザにおいても、以下の複数の脆弱性が修正されています。
- CVE-2025-11460 (High): ストレージにおける解放済みメモリの使用 (Use after free)。
- CVE-2025-11756 (High): セーフブラウジングにおける解放済みメモリの使用。
- CVE-2025-11206 (High): ビデオ処理におけるヒープバッファオーバーフロー。
- CVE-2025-11205 (High): WebGPU におけるヒープバッファオーバーフロー。
- CVE-2025-11458 (High): 同期機能におけるヒープバッファオーバーフロー。
- CVE-2025-11210 (Medium): タブにおけるサイドチャネル情報漏洩。
- CVE-2025-11215 (Medium): V8 (JavaScript エンジン) における Off-by-one エラー。
- CVE-2025-11207 (Medium): ストレージにおけるサイドチャネル情報漏洩。
- CVE-2025-11208 (Medium): メディア機能における不適切な実装。
- CVE-2025-11219 (Low): V8 (JavaScript エンジン) における解放済みメモリの使用。
ChromeOS 141 の新機能と変更点
管理者向けに公開されているリリースノートから、ユーザーに関連する主な変更点を抜粋して紹介します。これらの機能は、デバイスによって展開されるタイミングが異なる場合があります。
バッテリー充電管理機能の設定 UI が追加
バッテリーの寿命を延ばすための新しい充電管理機能が、ユーザー設定画面に追加されました。 これまで一部のデバイスやフラグ設定で利用できましたが、より多くのユーザーが簡単に設定できるようになります。
この機能は [設定] > [デバイス] > [電源] にある「充電の最適化」から、以下の 2 つのモードを選択できます。
- 充電の上限: バッテリーの最大充電量を 80% に制限し、バッテリーの劣化を抑えます。
- アダプティブ充電: デバイスの使用状況を学習し、ユーザーが必要とするタイミングまでに 100% の充電が完了するよう、充電速度を自動で調整します。

なお、ポリシーが設定されていない場合、デフォルトでアダプティブ充電が有効になります。
記事執筆時点では、筆者の管理する複数台の Chromebook で機能の展開を確認できませんでした。しかし、すでにフラグで有効にしている場合、前回英語で表示されていた設定箇所がすべて日本語表記となっており、展開の準備が整っていることは確実なので、デバイスやアカウントによって段階的に展開されているものと思われます。
データリカバリ履歴の透明性が向上
セキュリティ強化の一環として、デバイスのデータリカバリ履歴をユーザーが確認できるようになりました。
すべてのリカバリの試みは、改ざん検知機能を備えた台帳に記録されます。 これにより、万が一不正なアクセスが試みられた場合に、ユーザー自身がその履歴を検出しやすくなります。
発生している問題について
記事執筆時点では、ChromeOS 141 へのアップデートに関連する、ユーザーに影響を与える大きな問題は報告されていないようです。今後、問題などが発生した場合には改めてお知らせします。
もし、アップデート後に一般的なトラブルシューティングでも解決できない問題に遭遇したときには、以下の手順で Google にフィードバックを送信してください。
- ChromeOS の [設定] > [ChromeOS について] > [フィードバックを送信]
まとめ
今回の ChromeOS 141 へのアップデートは、複数のセキュリティ問題への対処が中心となっていますが、ユーザーが直接利用できるバッテリー管理機能の追加といった実用的な改善も含まれています。
特に複数の深刻度の高い脆弱性が修正されているため、すべてのユーザーにとって重要なアップデートです。アップデートが利用可能になり次第、適用することをおすすめします。
ただし、まだ新機能の展開を確認できていないため、確認でき次第、記事を更新する予定です。
アップデートはすべてのデバイスに同時に配信されるわけではなく、数日かけて順次展開されるため、まだ通知が届いていない場合でもしばらくお待ちください。管理されているデバイスの場合は、管理者がアップデートを制限していることもあります。
お使いの Chromebook でアップデートを確認するには、 [設定] > [ChromeOS について] > [アップデートを確認] に進んでください。
- 関連記事:
- 前回のメジャーアップデート: ChromeOS 140 安定版がリリース。Chromebook の複数の深刻な脆弱性を修正
出典: Chrome Releases, Chrome Enterprise and Education release notes