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Google Chrome 144 の管理者向けリリースノートが公開。AI 機能のマルチタブ対応や Windows の改ざん保護など

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Google は 2026 年 1 月 9 日(米国時間)、企業および教育機関の管理者向けに Chrome 144 のリリースノートを公開しました。

今回のアップデートでは、AI モードとレンズにおけるマルチタブ機能の展開、Windows 版 Chrome における設定改ざん保護の強化、プライバシーサンドボックス API の廃止プロセスの開始など、多岐にわたる変更が含まれています。また、Chrome Enterprise Core および Premium にも重要な機能追加が行われています。

この記事では、公開されたリリースノートに基づき、Chrome 144 で導入される主な変更点と、将来のアップデート予定について解説します。

目次

Chrome ブラウザの主な変更点

AI モードとレンズの機能強化

Chrome 144 から、AI モードと Google レンズ機能に「マルチタブ コンテキスト」機能が順次展開されます。

これにより、ユーザーは開いている 1 つまたは複数のタブの内容を共有することを選択でき、質問、比較、要約、情報の検索をより効率的に行えるようになります。管理者は SearchContentSharingSettings ポリシー(値 1 でオフ)または GenAiDefaultSettings ポリシー(値 2 でオフ)を使用してこれらの機能を制御できます。

なお、Chrome 147 では LensOverlaySettingsLensDesktopNTPSearchEnabledLensRegionSearchEnabled ポリシーが廃止される予定であり、管理者は SearchContentSharingSettings を使用してこれらを制御する必要があります。

プライバシー サンドボックス API の廃止と削除

Google はサードパーティ Cookie のアプローチ維持に伴い、以下のプライバシーサンドボックス関連 API の廃止(Deprecation)および削除(Removal)スケジュールを発表しました。

  • 対象 API: トピック、保護された視聴者、共有ストレージ、アトリビューション レポート、プライベート集約、関連ウェブサイト、ストレージアクセス要求
  • スケジュール:
    • Chrome 144: 廃止プロセス開始(機能は継続)
    • Chrome 150: API および関連ポリシーの削除

廃止後も API は存在し続け、ほとんどのユーザーに影響はありませんが、サーバーサイドの統合に依存している一部の機能には影響が出る可能性があります。

Windows ユーザー向けの設定改ざん保護

エンタープライズ環境の Windows 版 Chrome において、「暗号化された設定の改ざん保護」が適用されます。

以前はローミングプロファイルとの互換性の問題で除外されていましたが、新しい暗号化システムの実装により解決されました。 

これにより、マルウェア等が検索エンジンなどの重要設定を外部から変更しようとしても、Chrome が検知して自動的にリセットし、検索ハイジャックなどを防ぎます。

同期設定における「保存されたタブグループ」の扱い変更

デスクトップと ChromeOS の動作をモバイルと統一するため、SyncTypesListDisabled ポリシーにおける「保存されたタブグループ」の個別設定が廃止されます。 今後は「タブ」または「保存されたタブグループ」のいずれかを無効にすると、両方のデータタイプが無効化されます。

新しいタブページの簡素化

「新しいタブページ (NTP)」の見た目をすっきりさせ、ユーザーの制御を強化するための変更が行われます。

「モジュールを閉じる」ボタンが削除されるほか、ポリシーで管理されていないモジュールは、長期間アクティブでない場合に自動的に削除されるようになります。

その他の技術的なアップデート

  • Happy Eyeballs V3 の導入: IPv6/IPv4 やプロトコル(H3/H2/H1)の接続試行を効率化し、接続速度を向上させます。
  • Direct Sockets API のマルチキャスト対応: Isolated Web Apps (IWA) がローカルネットワーク上のデバイスとマルチキャスト通信を行えるようになります。
  • CSS ページ内検索ハイライトの疑似クラス: ページ内検索のハイライトスタイルを CSS でカスタマイズ可能になります。
  • Service WorkerAutoPreload ブラウザモード: Service Worker の起動プロセスが最適化されます。これに伴い、この機能を制御していた ServiceWorkerAutoPreloadEnabled ポリシーは削除されます。
  • chrome://inspect を使用したリモートデバッグサーバーの起動: chrome://inspect ページから直接リモートデバッグサーバーを起動できるようになります(以前は CLI 引数が必要でした)。管理者は既存の RemoteDebuggingAllowed ポリシーでこの機能を制御できます。

新しく追加・変更されたポリシー一覧

Chrome 144 では、以下のポリシーが新たに追加されました。これには新機能の制御だけでなく、既存機能の構成用ポリシーも含まれます。

ポリシー名説明
DataControlsRulesモバイルを含むデータ制御ルール(クリップボード制限など)を設定します。
ShowHomeButtonツールバーのホームボタンを構成します。
SilentPrintingEnabledサイレント印刷(ダイアログなし印刷)を有効にします。
ProxyOverrideRulesプロキシの上書きルールを構成します。
SearchContentSharingSettingsページ内容を検索プロバイダー(AI/Lens等)と共有するかを制御します。
GeolocationBlockedForUrls特定サイトの地理位置情報アクセスをブロックします。
BookmarkBarEnabledブックマークバーを有効にします。
UserSecurityAuthenticatedReporting管理されていないデバイスでのユーザーセキュリティイベント報告にユーザー名を含めるかを制御します。
PreciseGeolocationAllowedForUrls特定サイトに正確な地理位置情報アクセスを許可します。
HomepageIsNewTabPage新しいタブページをホームページとして使用します。
StaticStorageQuotaEnabledサイトの静的ストレージクォータを有効にします。
UserSecuritySignalsReporting管理されていないデバイスでのセキュリティシグナルの報告を制御します。

Chrome Enterprise Core の変更点

Chrome Enterprise Core には、管理者の負担を軽減し、統制を強化するための以下の機能が追加されます。

新しい拡張機能インストールモード

管理コンソールの「アプリと拡張機能」設定に、以下の柔軟なインストールオプションが追加されます。

  • ブロックして Chrome からアンインストール
  • 強制インストール
  • 強制インストール(無効化を許可)
  • 強制インストール + ブラウザツールバーに固定

管理コンソールの動的な推奨事項

管理コンソールの概要ページに「動的な推奨事項(Dynamic recommendations)」リストが登場します。

組織の設定状況に基づき、次にすべきアクションや重要な変更のアラートが動的に表示されます(Chrome 143 で Trusted Tester 向けに先行公開済み)。

実験的な暗号化コンプライアンスポリシー

TLS 1.3 における暗号化アルゴリズムの優先順位を制御する実験的なポリシー PreferSlowKEXAlgorithmsPreferSlowCiphers が追加されます。これは特定のコンプライアンス(CNSA2など)要件を持つ組織向けで、設定すると通信速度が低下する可能性があります。

Chrome Enterprise Premium の変更点

モバイルでのコピー&ペースト保護ルール

データの持ち出しを防ぐため、クリップボードのデータ制御がモバイルにも拡張されます。管理者は DataControlsRules ポリシーを使用し、Android (Chrome 140以降) および iOS (Chrome 144以降) で、組織データを含むコピペを制限できます。

ローカルポリシー改ざんへの対策(BYOD)

BYOD デバイスなどで、企業ポリシーがローカル設定によって上書きされていないかを検出する機能が強化されます。

UserSecuritySignalsReporting ポリシーを通じて競合シグナルが報告され、Context-Aware Access (CAA) と連携して、ポリシー違反があるデバイスからのアクセスをブロックすることが可能になります(Chrome 144〜146にかけて段階的に展開)。

強制的なクラウドへのダウンロード

DLP ルールの一環として、機密ファイルのダウンロード先をローカルディスクではなく、企業の Google ドライブへ強制的にリダイレクト(アップロード)させるアクションが設定可能になります。これにより、管理外のローカル領域へのデータ残留を防ぎます。

プロキシ上書きルール

PAC ファイル全体を編集することなく、特定のルーティングルールを追加・変更できる ProxyOverrideRules および EnableProxyOverrideRulesForAllUsers ポリシーが導入されます。特定の SaaS だけ異なるゲートウェイを経由させる等の運用が容易になります。

今後の主な変更予定

リリースノートでは、将来のバージョンで予定されている多数の変更についても詳述されています。

Chrome ブラウザの今後の変更

  • 管理者アカウントへの 2 段階認証 (2SV) の強制: すべての管理者アカウントで 2SV が必須となります。Chrome 137 から段階的に適用され、Chrome 145 で完全に義務化されます。
  • Chrome 145 のリリーススケジュールの変更: Early Stable チャンネルのリリースが予定より 1 週間早まります(例: 2026 年 1 月 28 日)。
  • macOS の古い仮想カメラのサポート終了: Chrome 145 以降、DAL プラグインベースの古い仮想カメラのサポートが削除されます。
  • 非マルウェア違反による強制インストール拡張機能の無効化: Chrome 145 で ExtensionForceInstallWithNonMalwareViolationEnabled ポリシーが削除され、ポリシー違反のある拡張機能は強制インストールされていても無効化されるようになります。
  • iOS 版 Chrome への Safari データインポート: ユーザーが Safari からエクスポートしたデータを Chrome にインポートできるようになります。
  • Origin API の導入: Origin の概念をカプセル化し、比較やシリアライズを容易にする Origin オブジェクトが導入される予定です。
  • Android でのオンデバイス詐欺検出: ページの視覚的特徴に基づき詐欺を検出する機能が追加されます。SafeBrowsingProtectionLevel ポリシーで制御可能です。
  • デフォルトでの User-Agent 文字列の削減: Chrome 145 で UserAgentReduction ポリシーが削除され、User-Agent 文字列の削減が強制されます。
  • Google Cloud Print ポリシーの削除: サービス終了に伴い、CloudPrintProxyEnabled ポリシーが削除されます。
  • LayoutShift API での CssPixels の使用: レイアウトシフトの属性データが物理ピクセルではなく CSS ピクセルで報告されるようになります。
  • バンドルされたセキュリティ設定: ユーザーが「保護強化機能」か「標準保護機能」かを選択できる設定が追加されます。既存のエンタープライズポリシーが優先されます。
  • ローカルネットワークアクセス制限: 公開 Web サイトからローカルネットワークへのリクエスト制限について、Chrome 146 では WebSocket および WebTransport 接続にも対象が拡大されます。また、Chrome 152 では一時的なオプトアウトポリシー LocalNetworkAccessRestrictionsTemporaryOptOut が削除される予定です。
  • サードパーティストレージパーティショニングポリシーの削除: Chrome 146 で関連するポリシーが削除されます。
  • 「保護されていない通信」警告の更新: デスクトップ版での変更(Chrome 141で導入済み)に続き、Chrome 146 では Android でも同様の警告デザイン(インタースティシャルの代わりに警告バブルを使用)が導入される予定です。
  • TLS 向けの X25519Kyber768 鍵カプセル化: ポスト量子暗号への移行に伴い、一時的な無効化ポリシー PostQuantumKeyAgreementEnabled が Chrome 146 で削除されます。
  • 非 file:// URL ホストでのスペース禁止: URL 仕様への準拠のため、ホスト部分にスペースを含む URL が許可されなくなります。
  • Windows の UI オートメーションアクセシビリティフレームワーク: Chrome 147 で UiAutomationProviderEnabled ポリシーが削除され、新しいプロバイダーへ完全移行します。
  • Controlled Frame での WebRequest.SecurityInfo: アプリがサーバー証明書のフィンガープリントを取得し、手動で検証できるようになります。
  • Origin-Bound Cookie (デフォルト): Cookie が設定されたオリジンにバインドされるようになります。一時的な無効化ポリシーは Chrome 150 で削除されます。
  • SafeBrowsing API v4 から v5 への移行: v4 API の呼び出しが v5 に移行します。URL 許可リストの更新が必要になる場合があります。
  • Isolated Web Apps (IWA): エンタープライズ管理下の ChromeOS デバイスに加え、Windows でも IWA のサポートが追加されます。
  • macOS 12 のサポート終了: Chrome 151 以降、macOS 12 はサポート対象外となります。
  • XSLT の廃止と削除: XSLT v1.0 のサポートが段階的に廃止され、Chrome 164 で完全に削除されます。
  • WebRTC における DTLS のポスト量子暗号: PQC を WebRTC で有効にする機能が展開されます。一時的なオプトアウトポリシーは Chrome 152 で削除されます。

Chrome Enterprise Premium の今後の変更

  • DLP スキャンのファイルサイズサポート拡大: DLP およびマルウェアスキャンにおいて、50 MB を超えるファイルや暗号化されたファイルのスキャンが可能になります。Evidence Locker には最大 2 GB のファイルを送信できるようになります。

まとめ

Chrome 144 は、AI 機能の本格展開と同時に、セキュリティ基盤の大幅な刷新が含まれる重要なアップデートです。

特にプライバシーサンドボックス API や XSLT の廃止スケジュール、macOS のサポート変更などは、長期的なシステム運用に影響を与えるため、管理者はロードマップを確認し、早めの検証と対応準備を進めることを強く推奨します。

なお、Chrome 144 安定版のリリースは 2026 年 1 月 13 日、ChromeOS 144 安定版のリリースは 2026 年 1 月 27 日が予定されています。

出典: Chrome Enterprise and Education Release notes

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尾村 真英
Technical Writer
HelenTech を運営している 尾村 真英 です。これまでに 50 台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動し、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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