韓国のパンテックコーポレーションと、Google の日本法人の間で続いていた、無線通信に関する特許侵害をめぐる紛争について、ようやく和解に至ったことが明らかになりました。
東京地裁の勧告に基づく今回の合意により、「Pixel 9」などの販売を差し止めるよう求めていた申し立てがすべて取り下げられることになります。
今回の和解における大きな柱は、Googleがパンテックの保有する「標準必須特許(SEP)」の使用料を、全世界で販売されるスマートフォン端末について支払うことが決定した点です。
対象となるのは、4G および 5G 規格に準拠するために不可欠な技術で、これにより日本国内だけでなくドイツなど海外で進行中だった計 15 件の法的紛争もすべて解決に向かうことになります。
そもそも、なぜ「Pixel 9」の差し止め申し立てが起きたのか
この紛争が大きな注目を集めていた理由は、単なる金銭的な争いにとどまらず、当時の最新モデルである「Pixel 9」の販売差し止めという、ユーザーへの影響が非常に大きい仮処分が申し立てられていたためです。
そもそも「標準必須特許(SEP)」とは、通信規格を守るために「誰もが使わざるを得ない」技術のことを指します。通常は公平な料金を払えば誰でも使えるというルール(FRAND条件)があるため、裁判所が販売差し止めを認めるハードルは極めて高いとされてきました。
しかし、今年 6 月の東京地裁判決では、旧モデルの「Pixel 7」に対して日本初となる差し止めが認められました。
当時はすでに製造終了モデルだったため大きな混乱はありませんでしたが、パンテック側がこれを受け、現行の Pixel 9 に対しても同様の申し立てを行いました。
Googleが示した「ライセンス交渉」への姿勢
今回の合意に至るプロセスでは、Google が特許権者とどのように誠実に交渉を進めるかが焦点となりました。
これまでの日本の裁判では、特許を使う側に有利な傾向がありましたが、今回は裁判所が提示した合理的な使用料を双方が受け入れたことで、世界規模での解決に繋がっています。
Google は今回の合意について、「知的財産を尊重し、建設的なライセンス協議を行うという当社の姿勢を明確に示すもの」とコメントしています。
まとめ
今回の和解により、Google Pixel シリーズを巡る法的な問題が一つ解消されました。
当時のフラッグシップモデルまで販売停止の危機にさらされた今回の騒動ですが、最終的には健全な合意に至ったようです。
ただ、ユーザーとして気になるのは、こうしたライセンスコストの増加が将来的にデバイスの販売価格にどう影響するかという点です。
特許への正当な支払いは技術発展に不可欠なものですが、円安などの影響も受けている昨今の価格設定において、これ以上の負担増にならないことを願います。
出典: 日本経済新聞


