Google が 2025 年 12 月に展開した Android 16 QPR2 アップデートについて、Android Authority がアップデート適用前後のベンチマークを比較した結果、CPU・GPU・システム全体のスコアがいずれもわずかに向上し、体感の応答性にも好影響があることが示されました。
筆者も Pixel 10 Pro を使用していますが、Android 16 QPR2 にアップデート以降は体感としても動作は安定したと感じます。
CPU とシステムパフォーマンスは安定した向上に
Android Authority は、2025 年 11 月のパッチを適用した端末と、最新の Android 16 QPR2 を適用した端末を同条件でテストしています。
その結果、CPU ベンチマーク(GeekBench 6)では、シングルコアが約 2%、マルチコアが平均で約 5% 向上しており、小幅ではあるものの確かに改善が見られたとしています。
一方、システム全体の挙動を見る PCMark Work 3.0 では、スコアが約 19.6% と大幅に向上してことを確認しています。
Android Authority はこれを「性能向上」というよりは、Android 16 に残っていたパフォーマンス上の問題が解消され、Tensor G5 がより安定してピーク性能を維持できるようになった結果と分析しています。実際、スコアは Pixel 10 Pro の発売初期とほぼ同等のレベルに戻っています。
また、今回の改善は Pixel 10 シリーズに限らず、Pixel 8a など旧モデルでも確認されています。Reddit ユーザーからは、Pixel 8a の 3DMark Wild Life Stress Test が 7,255 から 8,007 に向上しているなどの報告があります。
GPU 性能もわずかに向上、ただしドライバ更新はなし
GPU 性能を測定する 3DMark では、Wild Life が約 5%、Wild Life Extreme が約 7% 向上し、平均すると 6% 前後の改善が見られています。
高負荷時のスロットリングや温度上昇についても問題は確認されておらず、持続的なパフォーマンスが改善したことで、ゲームやエミュレーター利用時のカクつきが減る可能性があると報告されています。
一方で、Pixel 10 が搭載する PowerVR GPU ドライバは、今回の QPR2 アップデートでも「DXT-48-1536」から更新されていません。
発売当初から指摘されてきたゲーム性能の不足やアニメーションのカクつきにつながる根本的な問題が解決されたわけではなく、GPU ドライバそのものには手が加えられていない状況です。
また、Pixel 10 の Geekbench GPU(OpenCL)スコアが 3,063 から 4,061 へ大幅に向上したという報告もあります。一方で Vulkan スコアはほぼ変化がなく、改善が OpenCL パスに限られている可能性があります。
なお、一部ユーザーから OpenGL API での大幅な向上が報告されているものの、Android Authority は未検証であり、今回の記事は Vulkan ベースでのテストとなっています。
改善の中心は「新しいガベージコレクション」の可能性
Android Police によれば、今回のパフォーマンス向上は GPU ドライバの更新ではなく、Android 16 QPR2 で導入された新しいメモリ管理方式「Generational Concurrent Mark-Compact(GC)」の影響である可能性が高いと見られます。
この GC によってメモリ管理の効率が上がり、CPU 負荷が低減され、UI の引っ掛かりが減ったと推測されています。
また、この改善は Pixel 10 に限らずすべての Pixel に適用されるため、旧モデルでもスコアが向上したという説明の裏付けにもなります。
ゲーム性能の根本改善には至らず
ベンチマーク結果とユーザー報告を総合すると、アプリの読み込みがスムーズになるなど、Pixel 10 シリーズの動作がより軽快になったという印象が強いようです。
ただし、ゲーム性能そのものは依然として競合の Snapdragon 8 Elite Gen 5 などに比べて大きく遅れており、実ゲームのフレームレートが劇的に改善したわけではありません。
そのため、今回のアップデートはあくまで「動作の安定化」と「持続性能の改善」が中心と言えます。
また、今回の改善の一部は QPR2 以前の段階的なアップデート(11月パッチなど)でも既に導入されていた可能性があり、QPR2 の配信によってより多くのユーザーに広がったと考えられます。
まとめ
Android 16 QPR2 は、Pixel 10シリーズに対して大規模な性能向上をもたらすアップデートではありませんが、CPU・GPU・システム動作のいずれにおいても安定した改善が確認されています。
特に新しいガベージコレクションの導入により、UI の滑らかさや応答性が向上した可能性が高いと考えられます。
Pixel 10 だけでなく Pixel 8a など旧モデルでもスコア向上が見られており、OS レベルの最適化によって多くの Pixel ユーザーが恩恵を受けるアップデートとなっています。
なお、筆者も Pixel 10 Pro を使っていますが、Android 16 QPR2 になってからの印象として、パフォーマンスに劇的な変化は感じないものの、以前よりも動作は安定していると感じます。


