欧州の一部地域で、Google Pixel 6a の所有者に対して「この端末は危険なので使用を中止してください(Do not use)」という警告メールが販売店から送られる問題が発生しています。
例えば、Amazon や EE(英国の携帯キャリア)など複数の販売店が同様の通知を自動送信しており、ユーザーの間で混乱が広がっています。これは日本で起きている事象ではありませんが、海外での扱いが大きく変化した背景には、11 月に英国規制当局が発表した安全性レポートが関係しています。
欧州で警告メールが急増した理由
今回のメール送付は、英国の製品安全基準局(OPSS)が 2025 年 11 月 14 日に公開した「製品安全レポート(No. 2509-0317)」に基づくものです。
レポートでは Pixel 6a にバッテリー過熱の懸念があるとされており、販売店は規制順守のためユーザーへの注意喚起を開始しました。
しかし、販売店が送っている通知は「リコール(回収)」や「使用禁止」という強い表現が用いられている一方、OPSS ではこの問題をリコールではなく「修正プログラム(Modification programme)」として扱っているため、ここが混乱の発端になっています。

バッテリー過熱問題の概要
OPSS のレポートによると、対象となる Pixel 6a に関する情報は次のようなものです。
- 製造期間:2022 年 1 月 〜 2023 年 8 月
- 販売期間:2024 年 3 月ごろまで(流通在庫が残っていた可能性あり)
- リスク:通常使用中に過熱し、火災のリスクがある
- リスクレベル:中(Medium)
Pixel 6a は比較的長く販売されていたモデルで、対象製造期間には日本で販売された端末も含まれます。ただし、本件は欧州の規制下で発生している通知であり、日本では同様の警告メールが送られているわけではありません。
Google はすでにファームウェアで修正対応
Google は 2025 年 7 月より、Pixel 6a の過熱リスクに対するファームウェアアップデートを順次配信しています。物理的なバッテリー交換ではなく、ソフトウェア側の制御による対応です。
このアップデートでは、バッテリーサイクルが 400 回を超えると充電速度や最大容量を制限し、過熱の可能性が高い場合にはパフォーマンスを抑えるといった挙動の変更が行われています。
これにより、Google 側としては「修正プログラムが適用済み」と扱われるため、販売店からリコール通知を受けたユーザーが Google サポートでシリアル番号を確認すると『対象外』と表示されるという状況が発生し、さらに混乱を招いています。
日本ユーザーが知っておくべきこと
今回の事象はあくまで欧州規制当局の判断に基づく通知であり、日本国内で同様のリコール通知が出ているわけではありません。ただし、対象製造期間が日本で販売された端末にも重なるため、以下の点は確認しておくことが推奨されます。
- Pixel 6a が最新のアップデートを受け取っているか
- Google の安全確認ページ(g.co/pixel/6abattery)でステータスを確認
- 充電速度が遅くなる、最大容量が伸びない場合はアップデートの影響による可能性あり
特に長期間 Pixel 6a を使用している場合は、バッテリーサイクル数が増えて制御が働くことがあり、性能低下につながっている可能性があります。
まとめ
Pixel 6a のバッテリー過熱に関する欧州での警告メールは、「リコール」ではなく、規制当局が求める安全性基準に基づく注意喚起を販売店が強い言葉で送ったことが原因で発生した混乱です。
Google はすでにファームウェアでリスク軽減措置を行っており、実際の扱いは「修正プログラム」となっています。
日本では現時点で同様の通知は出ていませんが、該当期間の Pixel 6a を使用している場合は、最新のアップデート適用状況を確認しておくと安心です。
出典: PiunikaWeb, GOV.UK


