Google は、開発者向けツール「Gemini CLI」に新しい拡張機能「Jules」を追加しました。
この拡張により、AI を活用した開発やコード保守を行うエンジニアは、コード修正やバグ対応などのタスクをバックグラウンドで自動実行できるようになり、作業効率を大きく向上させることが期待できます。
Gemini CLI に「Jules」拡張が登場
Gemini CLI は、Google が提供する AI コーディング支援ツールで、ターミナル上で自然言語による開発支援を行うものです。
今回追加された「Jules」拡張は、ターミナル作業中にバックグラウンドで処理を進める自動実行エージェントとして動作します。
開発者はメインの作業を Gemini CLI で進めながら、別タスクを Jules に任せることが可能です。Jules は仮想マシン (VM) 環境でコードを複製し、依存関係のインストールやファイルの変更を自動で行います。
オフロード可能なタスク例
Jules 拡張は、日常的なコードメンテナンスやデバッグ作業を自動化することを目的としており、次のような処理をオフロードできます。
- 非同期タスクの実行:Gemini CLI から直接、Jules にタスクを割り当てて独立して実行。
- バグ修正のバックグラウンド処理:複数の不具合修正を Jules に任せながら、他の作業を継続可能。
- 新しいブランチへの変更反映:GitHub 上の課題対応後、変更を自動で新ブランチにコミット。
これにより、複数タスクを並行して進める柔軟なワークフローが実現します。
インストールと利用方法
利用には Gemini CLI v0.4.0 以降 が必要です。
また、事前に Jules アカウントを作成し、GitHub リポジトリを Jules コンソールから接続しておく必要があります。
インストールは以下のコマンドで行います。
gemini extensions install https://github.com/gemini-cli-extensions/jules --auto-update
--auto-update を付けることで、リリース時に自動更新されます。
タスクの実行は、ターミナルで /jules コマンドを使って指定します。
/jules Convert commonJS modules to ES modules
進行状況を確認する場合は、次のように問い合わせが可能です。
/jules what is the status of my last task?
なお、この拡張は macOS、Linux、Windows 環境のいずれでも動作し、Gemini CLI の既存プロジェクトとの互換性も確保されています。もちろん、Chromebook 上でも動作します。
Jules 拡張の応用:複数タスクの並列処理と他拡張との連携に対応
さらに Google は Jules 拡張を用いた開発ワークフローの拡張例を紹介し、複数タスクを並列で実行したり、他の Gemini CLI 拡張と連携して動作させたりできることを明らかにしました。これにより、開発者はより柔軟で効率的な自動化を実現できます。
複数の GitHub Issue を同時に処理
Jules 拡張では、GitHub API を利用してオープン中の Issue を一覧化し、それぞれを独立した環境で並列処理できます。各タスクは独立した仮想環境内で実行され、修正結果は個別のブランチとして自動生成されます。
これにより、複数の修正作業を同時に進めながら、メインの開発を中断せずに対応できるようになりました。
他の Gemini CLI 拡張との連携
Jules は、ほかの拡張(Security や Observability など)と組み合わせることで、より高度な自動化ワークフローを構築できます。
たとえば、Security 拡張で生成した脆弱性レポートをもとに、Jules が修正コードを作成し、別ブランチにコミットが可能です。また、Observability 拡張と連携することで、クラッシュログの解析からバグ修正、単体テストの追加までを自動で実行します。
これらの処理はすべてバックグラウンドで行われ、開発者が他の作業を続けている間に完了します。
GitHub リポジトリで提供開始
Jules 拡張はすでに GitHub 上で公開されており、開発者はすぐに導入可能です。
Google は今後も Gemini CLI の拡張機能を通じて、AI と開発者の協働をさらに推進するとしています。


