Google Pixel 10 シリーズで、通信状況が悪い環境においてバッテリー消費が大きくなる傾向がある可能性が指摘されています。
これは、Android Authority が行った実測テストによるもので、Pixel 10 Pro XL は電波が弱い 4G または 5G 環境で他機種より高い電力消費を示したと報告されています。
弱い 4G エリアで Pixel のバッテリー消費が増加
Android Authority は、Pixel 10 Pro XL・Pixel 9 Pro XL・Galaxy S25 Ultra の 3 機種を比較しました。
その結果、Wi-Fi 接続時はいずれもほぼ同等の電力効率でしたが、通信環境を -104 dBm の 4G+(下り約 4Mbps)に切り替えると、Pixel 10 Pro XL の平均消費電力が 2.5W 超 に達し、Galaxy S25 Ultra の 約 2W を上回ったとしています。

この差は、弱い電波を維持するためモデムが出力を上げることに加え、ソフトウェア電力管理や Tensor G5 への移行に伴う低レベル構成の違いが関係している可能性があると述べられています。
同一モデムでも Pixel 10 側の変動が大きい傾向
Pixel 9 Pro XL と Pixel 10 Pro XL はどちらも Samsung 製 Exynos 5400 モデムを搭載しています。
それにもかかわらず、Pixel 10 Pro XL のほうが電力変動が大きく、動画ストリーミングやファイルダウンロードなど“帯域の重いタスク”で特に差が拡大したと報告されています。
Android Authority は、これが Tensor G5 に関連する電力管理やファームウェア設計の違いに起因している可能性を示唆しています。
一時的な対処としてできること
現時点では Google から修正や改善の予定は示されていませんが、ユーザー側で取れる一時的な対策として、以下が挙げられます。
- 電波の弱い場所での動画ストリーミングやビデオ通話を控える
- 外出前に Wi-Fi 経由で動画や音楽をダウンロードしておく
- バッテリーセーバーを有効にし、ローミング時は特に注意する
なお、Android Authority も「ローミングはバッテリーの天敵」とコメントしており、通信条件が安定しない環境ほど影響が大きいとしています。
バッテリーヘルスアシスタントについて
Pixel 10 シリーズでは、一定の充電サイクル以降に最大電圧や充電速度を段階的に調整する「バッテリーヘルスアシスタント」がデフォルト有効で、ユーザー側で無効化できません。これは長期の劣化安定化を狙う仕様で、体感上の“減りが早い”印象と直結しない点に注意が必要です。
まとめ
今回の検証では、弱い 4G/5G 電波環境で帯域を多く使用するタスクを行うと、Pixel 10 シリーズの消費電力が増えやすい傾向が報告されました。
Wi-Fi 接続時は他機種とほぼ同等でしたが、モバイル回線時に差が拡大し、とくに Pixel 10 Pro XL では電力変動が大きいという結果が示されています。要因についてはまだ確定しておらず、ソフトウェアの電力管理や Tensor G5 移行に伴う低レベル構成、チューニングの違いなど複数の可能性が考えられます。現時点で Google から公式な修正や改善の告知は出ていません。
そのため当面は、電波状況に応じて利用シーンを工夫し、ストリーミングや大容量通信などの重い処理は Wi-Fi 接続時に事前に行うなどの対策を取るほうが安心です。



