ChromeOS 141 で複数の Crostini コンテナを管理する実験的 UI が削除

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ChromeOS 141 で複数の Crostini コンテナを管理する実験的 UI が削除

今回、ChromeOS バージョン 141.0.7390.115 へのメジャーアップデートにより、Chromebook から複数の Linux (Crostini) コンテナを作成・管理するための実験的なユーザーインターフェース (UI) が削除されていることが報告されました。

この UI は ChromeOS 97 からフラグ (#crostini-multi-container) を通じて提供されていましたが、バージョン 140 でフラグが廃止され、今回のアップデートで UI が利用できなくなりました。

この変更は、4 年近くこの実験的機能を利用してきたユーザーにとって影響がある可能性があります。

目次

変更の詳細

この実験的な UI は、標準の「ターミナル」コンテナ以外に、追加の Linux コンテナを作成し、管理することを可能にするものでした。

アクセスするには、ChromeOS の [設定] アプリを開き、[ChromeOS について] > [Linux 開発環境] > [他のコンテナの管理] へ移動する必要がありますが、ChromeOS 141 ではこの設定ページ自体が削除されました。

Chromebook の Crostini における「他のコンテナの管理」ページのスクリーンショット
ChromeOS における「他のコンテナの管理」ページ

ただし、すでに作成済みの複数のコンテナが動作しなくなるわけではありません。

実際に、Linux ターミナルを起動した際のホーム画面には作成済みのコンテナが表示されます。そのため、設定ページが削除されただけで、機能自体が完全に停止したわけではありません。

複数のコンテナが表示された Chromebook の Linux ターミナルのホーム画面
複数のコンテナが表示された Linux ターミナルのホーム画面

なお、ChromeOS 141 にアップデートされている Chromebook での一時的な対応として、#temporary-unexpire-flags-m140 というフラグを使用することで、削除された UI を一時的に復活させることが可能です。

実際に HelenTech でも ChromeOS 141 でフラグを試してみたところ、問題なくページが動作することを確認しました。

ChromeOS 141 で設定可能な emporary-unexpire-flags-m140 フラグのスクリーンショット
ChromeOS 141 で表示される temporary-unexpire-flags-m140 フラグ

しかし、これはあくまで一時的な措置であり、将来のバージョンで完全に利用できなくなる可能性があるため注意が必要です。

または、削除された UI の代替として、Crosh (ChromeOS Shell) を利用して複数の Crostini コンテナを管理する方法があります。以下、その手順を参考まで

コマンドラインによる管理方法(Crosh)

  1. Crosh を起動: Chromebook で Ctrl + Alt + T キーを同時に押して Crosh を開きます。
  2. vmc コマンドを実行: Crosh 内で以下のコマンドを実行して仮想マシンとコンテナを管理します。
    • 仮想マシンの起動
      • vmc start termina
    • コンテナの一覧表示
      • lxc list
    • コンテナの作成 (例: Ubuntu)
      • lxc launch ubuntu:
    • コンテナに移動
      • lxc exec <コンテナ名> bash
    • コンテナを起動
      • lxc start <コンテナ名>
    • コンテナをシャットダウン
      • lxc stop <コンテナ名>

いずれも記事執筆時点での方法となります。

新技術「Baguette」への移行か?

今回の UI 削除の背景には、「Baguette」と呼ばれる新しい技術 (#crostini-containerless) への移行準備があるのではないか、という推測があります。

ChromeOS 141 の crostini-containerless フラグのスクリーンショット
crostini-containerless フラグ

ChromeOS (Crostini) における複数コンテナ機能は、仮想マシン内のコンテナを管理する LXD というメカニズムを利用していますが、Baguette は、その LXD コンテナを使用せずに Linux 環境を提供する実験的な試みです。

これは標準的なコンテナ管理システム (LXD) を廃止し、ChromeOS が直接 Linux 環境を管理するか、より軽量なメカニズムを利用することで、効率の向上を目指していると考えられます。

なお、#crostini-multi-container フラグのコメントには、「Baguette のローンチ時には multi-container は実現不可能になるため、unexpire しないでください」との記述があり、Baguette と既存の複数コンテナ管理機能は互換性がない可能性が示唆されています。これが、今回の UI 削除の理由である可能性があります。

ユーザーへの影響と推奨事項

これまで複数の Crostini コンテナを UI で管理していたユーザーは、今回の変更によりコンテナの切り替えや管理が以前より不便になる可能性があります。

管理 UI / ページが削除されただけで機能的な影響はありませんが、予期せぬ問題が発生した場合に備え、既存の Crostini コンテナを確実にバックアップすることをおすすめします。また、大切なデータを失わないためにも、定期的なバックアップを強く推奨します。

まとめ

ChromeOS 141 のアップデートにより、複数の Crostini コンテナを管理するための実験的な UI は削除されました。既存のコンテナは引き続き利用可能ですが、専用の管理 UI は利用できなくなっています。

この機能を利用していたユーザーは、コンテナの管理方法を見直すとともに、データの損失を防ぐためにコンテナのバックアップを必ず行うようにしてください。

出典: Reddit

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著者情報

HelenTech の運営をしている 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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