Google は、Android 版 Chrome において、デスクトップ版で先行して提供されていた「自動ピクチャーインピクチャー(自動 PiP)」機能を導入する準備を進めていることが Chromium Gerrit から確認されました。
これにより、モバイルデバイスでも動画や音声コンテンツを再生中にタブを切り替えた際、メディアが自動的に小さなフローティングウィンドウとして表示され、再生を継続できるようになります。
タブを切り替えても自動でミニプレーヤー化
現在の Android 版 Chrome では、ユーザーが明示的にボタンをタップしなければ PiP モードに移行しません。しかし、今回追加される「自動 PiP」では、タブを切り替えた際にブラウザが自動的にメディアをミニプレーヤー化します。
この仕組みはデスクトップ版 Chrome にすでに存在するもので、Chromium の最新コミットには「Automatic Picture-in-Picture for Android」を有効化するための新しいフラグが追加されていることが確認されています。
[AutoPiP] Add feature flag for Auto PiP on Android to about:flags
Chromium Gerrit
これにより、動画を再生したまま別のタブを開いても再生が途切れず、画面の隅に小型プレーヤーが表示されるようになります。ユーザーは手動操作を必要とせず、ブラウザが自動で処理を行います。
システムレベル PiP との違い
この「自動 PiP」は、Android OS に備わっているシステムレベルの PiP とは異なります。システム PiP はアプリの外でも表示が続くのに対し、Chrome の自動 PiP はあくまでブラウザ内での動作に限定されます。
そのため、他のアプリを開くと再生は止まりますが、同一アプリ内で複数タブを切り替えるような場面では非常に便利に機能します。
サイト単位での許可設定にも対応か
デスクトップ版では、サイトごとに自動 PiP の許可・ブロック・一時的な許可を選択できる仕組みが導入されています。モバイル版 Chrome でも同様の設定が実装される見込みで、ユーザーは好みに応じて動作を細かく制御できるようになると考えられます。
今後の展開
この機能はまだ正式リリース前であり、開発段階の機能となっています。ただし、デスクトップ版で同様の機能がすでに提供されていることや、過去の例から考えると、テスト段階を経て数週間以内に Chrome Beta または安定版への展開が始まる可能性があります。
モバイル版 Chrome ブラウザでブラウジング中にポッドキャストを聴いたり、動画を参照しながら他のタブで検索したりするユーザーにとって、利便性を大きく高めるアップデートとなりそうです。