Google、企業向け AI プラットフォーム「Gemini Enterprise」を発表

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Google は、同社キャンパスで開催されたイベント「Gemini at Work」において、職場向けの新しい AI 統合プラットフォーム「Gemini Enterprise」を発表しました。

このプラットフォームは、企業のあらゆるワークフローに Google AI の能力を導入し、業務効率と生産性を大幅に向上させることを目的としています。

Sundar Pichai CEO は、Google Cloud が年間収益 500 億ドル規模に達し、その成長の多くが AI によって牽引されていると述べました。Gemini Enterprise は、その次の章を開く重要なサービスと位置づけられています。

目次

Gemini Enterprise とは?

Gemini Enterprise は、単なるチャットボットを超えた包括的な企業向け AI プラットフォームです。

企業のデータ、ツール、人材を安全な環境で統合し、Google の最新モデル Gemini 2.5 Pro を基盤として、社内のドキュメントやデータ、アプリケーションと直接対話できます。

Google はこれを「職場の AI 活用のための新しいフロントドア」と表現しており、各従業員が自分の業務や文脈に基づいて AI を活用できるように設計されています。

ノーコードで AI エージェントを構築・連携

Gemini Enterprise には、「Workbench」と呼ばれるノーコードツールが用意されています。

専門的な知識がなくても、社内のプロセスを自動化する AI エージェントを構築・展開することが可能で、これまで手作業で行っていたデータ整理や報告書作成などを AI が自動化します。

さらに、プレビュー版として「Data Science Agent」も提供され、データの整形やモデル開発、パターン抽出を自動で行うなど、データサイエンス業務を効率化します。

企業ができることと主な活用例

Gemini Enterprise は、Google 製およびサードパーティ製エージェントを組み合わせて、企業全体の業務を最適化できます。

主な機能

  • 社内情報とのチャット:ドキュメントやデータに基づき、正確な回答を即時生成。
  • Google 製エージェント:「Deep Research」「Data Insights」などを搭載。
  • サードパーティ連携:Box、Slack、S&P Global などに対応し、Microsoft 365、Salesforce、SAP など外部サービスともシームレスに連携。

部門別の活用例

  • マーケティング部門:市場トレンドを自動分析し、生成モデルでキャンペーン素材を作成。
  • エンジニアリング部門:Gemini CLI を通じてコード生成やテスト支援を実施。
  • サポート部門:複数チャネルを横断する顧客応答エージェントを構築。

実際の導入事例

  • HCA Healthcare:看護師の業務引き継ぎを Gemini で自動化し、年間数百万時間の業務削減を見込む。
  • Best Buy:AI 導入後、顧客自身による配送日時の再設定が 200% 増加し、価格照合やリサイクル関連の問い合わせ解決率も 30% 向上。

Google 自身も、社内のコード生成、マーケティング、オペレーションなどに Gemini を活用しており、「新規コードの約半数が AI により生成されている」としています。

Google のフルスタック AI アプローチ

Gemini Enterprise は、Google の AI 開発における「フルスタックアプローチ」の最新事例です。このアプローチは、以下の4つの要素で構成されています。

  1. AI インフラ: Google Search や YouTube を支える信頼性の高いインフラ。Nvidia 製の GPU や自社開発の TPU (Tensor Processing Units) を含みます。
  2. 研究: Google Research と Google DeepMind による最先端の研究。AlphaFold などの画期的な成果を生み出しています。
  3. モデル: Gemini 2.5 Pro を筆頭に、Veo や Imagen などの高性能な生成 AI モデル群。
  4. 製品とプラットフォーム: Google Workspace や AI Overviews in Search など、多くのユーザーに AI 機能を提供しています。

プランと価格

Gemini Enterprise は、企業の規模に応じて複数のエディションが提供されます。

エディション対象年間プラン価格提供状況
Gemini Enterprise Standard / Plus大企業月額 $30 / シートから提供中
Gemini Business中小企業・スタートアップ・部門向け月額 $21 / シートから数週間以内に提供予定

これにより、大企業から中小規模の組織まで、自社のニーズに合わせて AI を導入できるようになります。

まとめ

Gemini Enterprise は、Google が持つ AI 技術とインフラを統合し、企業が業務全体に AI を導入するための包括的な基盤です。

ノーコードでのエージェント構築や強力な外部連携機能を備え、あらゆる業種・規模の組織において AI 活用を加速させるものとなります。

Pichai 氏は「Gemini Enterprise は、AI の力をすべての従業員とワークフローに届ける新しい入り口だ」とコメントしています。

出典: Google, Gemini Enterprise, Google Cloud Japan

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著者情報

HelenTech の運営をしている 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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