Qualcomm は 2025 年 8 月21 日、スマートウォッチ向けの新しいチップセット「Snapdragon W5 Gen 2」および「W5+ Gen 2」を発表しました。このチップは Google の新しい「Pixel Watch 4」にも搭載されます。
前世代の発表から約 3 年ぶりとなる今回のアップデートでは、主に接続性が強化されており、特に衛星通信への対応が大きな特徴です。
主な新機能: 衛星通信と GPS 精度の向上
今回のアップデートにおける最大の進化点は、接続機能の強化です。

衛星通信機能の追加
Snapdragon W5 Gen 2 は、NB-NTN (Narrowband Non-Terrestrial Network) をサポートし、スマートウォッチ単体での衛星通信を可能にします。
これにより、携帯電話の電波が届かない山間部や遠隔地でも、衛星を介してメッセージの送受信が行えるようになります。
この機能は、まず Skylo のサービスから利用可能になる予定で、スマートフォンが手元にない状況で怪我をした場合など、緊急サービスへの連絡手段としての活用が想定されています。
GPS 測位精度の向上
「Location Machine Learning 3.0」と呼ばれる技術の採用により、GPS の測位精度が最大で50%向上しました。
これにより、高層ビルが密集する都市部や深い渓谷など、これまでGPS信号が届きにくかった環境でも、より正確な位置情報の取得が期待できます。
パフォーマンスと電力効率
一方で、処理性能に関する大きな変更はありませんでした。

Snapdragon W5 Gen 2 は前世代と同じ4nmプロセスで製造され、CPUコアも同じ「4x A53」構成を維持しています。そのため、パフォーマンスの向上は見込まれません。スマートウォッチ向けのチップは、スマートフォン向けに比べてアップグレードの頻度が緩やかになる傾向があります。
しかし、モデム (RF Front End) コンポーネントが約 20% 小型化され、消費電力も削減されています。ウェアラブルデバイスにおける部品の小型化と省電力化は、バッテリー駆動時間やデバイス設計の自由度に貢献する重要な改善点です。
Google Pixel Watch 4 への搭載
Google の新しい「Pixel Watch 4」は、この Snapdragon W5 Gen 2 を搭載する最初のスマートウォッチの一つです。
Google は「+」モデルではない標準の W5 Gen 2 を採用し、それに独自のカスタムソリューションを追加しています。
Google のウェアラブル担当プロダクトマネジメント シニアディレクター、Sandeep Waraich 氏は次のように述べています。
Snapdragon W5 Gen 2 が新しい Google Pixel Watch 4 に搭載され、高性能で楽しい体験、そして人命を救う可能性のある機能を提供できることを嬉しく思います。
スマートウォッチにとって、パフォーマンス、効率、接続性はどのような環境でもシームレスに機能する必要がある重要な要素であり、この新しいプラットフォームは Wear OS 6 と組み合わせることで、そのすべてを実現します。
緊急衛星通信を市場で初めて搭載したスマートウォッチとなることは、私たちの安全機能スイートにおける大きな飛躍です。
パフォーマンスの向上は見送られたものの、衛星通信への対応はスマートウォッチの安全機能を新たなレベルに引き上げるものであり、GPS精度の向上と合わせてユーザーにとって大きなメリットとなりそうです。
なお、実際に Pixel Watch 4 では、バッテリー容量の増加や OS の最適化をあわせて、前世代 Pixel Watch 3 からバッテリー駆動時間は大きく向上しています。
- 41mm モデル: 常時表示オンで最大 30 時間、バッテリーセーバーモードで最大 48 時間
- 45mm モデル: 常時表示オンで最大 40 時間、バッテリーセーバーモードで最大 72 時間
前世代はどちらのサイズも AOD オンで最大 24 時間とされていました。
出典: Qualcomm