Google は I/O 2025 でのプレビューに続き、Android アプリ開発環境である Android Studio に搭載された AI アシスタント Gemini の新機能として「エージェントモード (Agent Mode)」をリリースしたことを発表しました。
この機能は、最新の Android Studio Narwhal Feature Drop Canary 版で全てのユーザーが利用可能となり、開発者はこれまで以上に複雑なタスクを自然言語で Gemini に指示できるようになります。
Gemini の「エージェントモード」とは？
エージェントモードは、単なるコードの提案にとどまらず、開発者が自然言語で指示した複雑な目標に対して、Gemini が自ら実行計画を立て、プロジェクト内の複数ファイルにまたがる変更や IDE ツールを駆使してタスクを遂行する、より自律的な AI 機能です。
これにより、開発者は定型的で時間のかかる作業を AI に任せ、より創造的で価値の高い仕事に集中できるようになります。
指示できるタスクの例
エージェントモードで実行できるタスクの例として、以下のようなものが挙げられています。
- 単体テストを生成する
- プロジェクト全体でハードコードされている文字列を抽出し、strings.xml に移行する
- アプリにダークモードのサポートを追加する
- プロジェクトをビルドし、エラーがあれば修正する
- 添付されたスクリーンショットを基に、Material 3 を使用して新しい画面を実装する
開発者によるコントロール
Gemini はタスクを簡単なステップに分解した実行計画を提示し、各ステップで必要な IDE ツールも示します。開発者は、Gemini が提案するコード変更などを各ステップで確認し、「承認」または「拒否」を選択できます。これにより、AI の強力な支援を受けつつも、最終的なコントロールは開発者が維持できます。
また、より迅速にアイデアを試したい場合などのために、変更を自動で承認する「Auto-Approve」オプションも用意されています。
Gemini 2.5 Pro で機能をさらに強化
エージェントモードは、ユーザーが自身の Gemini API キーを設定することで、100 万トークンのコンテキストウィンドウを持つ Gemini 2.5 Pro を利用できるようになります。
より大きなコンテキストウィンドウを利用することで、一度により多くの指示やコード、添付ファイルを Gemini に渡すことができ、特に複雑なタスクや長期間にわたるタスクにおいて、より高品質な応答が期待できます。
API キーは Google AI Studio から取得でき、Android Studio の設定画面 (File > Settings > Tools > Gemini) から入力します。
なお、Gemini Code Assist ライセンスを持つビジネスアカウントは、自動的に Gemini 2.5 Pro と拡張コンテキストウィンドウにアクセスできるため、API キーの入力オプションは表示されません。
外部ツールとの連携 (Model Context Protocol)
エージェントモードは、Model Context Protocol (MCP) を介して外部ツールと連携する機能も備えています。これにより、例えば GitHub と連携して Android Studio から直接プルリクエストを作成するなど、Gemini の能力を拡張できます。
今回の初期リリースでは stdio トランスポートがサポートされており、今後のリリースで MCP の全機能がサポートされる予定です。
まとめ
今回登場したエージェントモードは、AI が単なるコーディング支援ツールから、開発プロセス全体を理解し自律的にタスクをこなす「エージェント」へと進化する大きな一歩と言えます。開発者は面倒な作業から解放され、より創造的で価値の高い作業に集中できるようになることが期待されます。
まだ Canary 版での実験的なリリースではありますが、今後の Android アプリ開発を大きく変える可能性があるため、非常に楽しみな機能です。
