Google は、Google スプレッドシートの Gemini 機能をアップデートし、これまでの静的な画像ではなく、完全に編集可能なグラフを生成できるようになったことを発表しました。このアップデートにより、生成されたグラフは元のデータと連動し、データが変更されると自動で再描画されるようになります。
編集可能なグラフの生成が可能に
これまで Google スプレッドシートの Gemini では、データに基づいたグラフを生成できましたが、それらはスプレッドシート上に静的な画像として挿入されるだけでした。
今回のアップデートにより、Gemini は完全に編集可能なグラフを生成できるようになります。サイドパネルの Gemini に「x 軸を日付、y 軸を合計にしたグラフを作成して」のようなプロンプトを入力すると、Gemini がグラフを生成します。

挿入されたグラフは新しいシート(タブ)に表示され、タイトルや色など、様々なグラフ要素を後から自由に編集できます。
具体的な利用シーン
この新機能は、様々な場面でデータ分析の効率を大幅に向上させます。
- マーケティング担当者: 「市場別のキャンペーンパフォーマンスを示す棒グラフを作成」と依頼し、視覚的なレポートを素早く作成できます。
- スモールビジネスのオーナー: 「今年の各月の年間プロジェクトの折れ線グラフを作成」と依頼し、キャッシュフローを管理できます。
- 財務アナリスト: 「過去 1 年間の在庫量の内訳を示す円グラフを作成」と依頼し、在庫トレンドを調査できます。
利用上の注意点
この機能を利用する上で、いくつか注意すべき点があります。
- 生成されたグラフは、元々分析していたデータではなく、新しく作成されたシート(タブ)内のデータに紐付けられます。グラフのデータを変更したい場合は、この新しいタブで行う必要があります。
- 最適な結果を得るためには、データを一貫した形式に整え、明確なヘッダーを設定し、欠損値がない状態にすることが推奨されます。
- Gemini にデータ分析を依頼する際は、リクエストを正確に理解させるために、できるだけ具体的なプロンプトを使用してください。
- 100 万セルを超えるような複雑な分析では、Gemini のパフォーマンスが安定しない可能性があります。
- 一部のグラフタイプでは、引き続き画像としてグラフが生成される場合があります。画像として生成されたグラフは編集できず、データが変更されても自動更新されません。
展開ペースと対象ユーザー
この機能は即時リリースおよび計画的リリースドメインで 2025 年 6 月 9 日から 3 日以内に展開されます。利用可能な Google Workspace プランは以下のとおりです。
- Business Standard and Plus
- Enterprise Standard and Plus
- Gemini Education または Gemini Education Premium アドオン
- Google AI Pro and Ultra
- 以前に Gemini Business または Gemini Enterprise アドオンを購入したユーザー
管理者がユーザーのスマート機能とパーソナライゼーションをオンしていれば、エンドユーザーはスプレッドシートの Gemini サイドパネルから利用することができます。
まとめ
これまで Gemini が生成するグラフはただの画像だったので、正直なところ使い勝手が良いとは言えませんでした。今回のアップデートでようやく編集可能なグラフが作れるようになり、しかもデータと連動して更新されるということで、実用性が格段に上がったと言えます。
簡単なプロンプトでたたき台となるグラフを作成し、そこから手動で微調整していく、といった使い方が基本になりそうです。データ分析やレポート作成の初動にかかる時間を大幅に短縮してくれる、非常に嬉しいアップデートです。小規模なデータセットで、スプレッドシートにデータを落としている場合にはかなり便利ですね。