先週、Google はユーザー自身のスマートフォン上で、Hugging Face で公開されている様々な AI モデルをダウンロードして実行できる「Google AI Edge Galler」というアプリをリリースしました。
このアプリは現在 Android 向けに提供されており、iOS 版も近日中に公開予定です。ただし、Google AI Edge Gallery は、「実験的なアルファ版」として位置付けられており、GitHub からこちらの手順でダウンロードできます。
AI Edge Gallery でできること
Google AI Edge Gallery を利用することで、ユーザーは画像生成、質疑応答、コード作成・編集などを行う互換性のある AI モデルを見つけ、ダウンロードし、実行することができます。これらのモデルがインターネット接続なしのオフライン環境で動作し、対応スマートフォンのプロセッサを活用する点が大きな特長です。

アプリのホーム画面には、「Ask Image」や「AI Chat」といった AI タスクや機能へのショートカットが表示されます。特定の機能をタップすると、Google の「Gemma 3n」のような、そのタスクに適したモデルのリストが表示されます。


また、AI Edge Gallery には「プロンプトラボ」と呼ばれる機能も搭載されており、テキストの要約や書き換えといった「シングルターン」タスクをモデルを使って実行できます。プロンプトラボには、いくつかのタスクテンプレートと、モデルの挙動を微調整するための設定項目が用意されています。
ローカル実行のメリットと注意点
クラウド上で動作する AI モデルは、ローカルで動作するものよりも高機能・高性能な場合が多いですが、例えば、個人情報や機密データをリモートのデータセンターに送信することへの不安や、Wi-Fi やモバイルデータ通信が利用できない環境でもモデルを利用したいという場合もあります。そういったときに、AI Edge Gallery のようなローカル実行環境を選択するメリットがあります。
ただし、パフォーマンスについては、より強力なハードウェアを搭載した最新のデバイスではモデルの実行速度が速くなることが期待されますが、モデルのサイズも重要な要素となります。Google によれば、サイズの大きなモデルは、画像に関する質問への回答といったタスクを完了するのに、小さなモデルよりも時間を要するとしています。
まとめ
今回登場した「AI Edge Gallery」は、AI モデルをより手軽に、かつプライバシーを意識しながら活用できる可能性を秘めた実験的な取り組みとなります。特に、オフライン環境での利用や、機密性の高い情報を扱う際にローカルで AI を実行したいというケースには選択肢として検討する価値はあるかもしれません。
ただし、現状では Google Play ストアで公開されているわけではなく、ユーザーが GitHub から APK をダウンロードして手動でインストールする必要があります。一般ユーザーは利用開始までのハードルが少し高いのが難点です。
また、現時点ではアルファ版のため、インストール方法だけでなく、パフォーマンスや対応モデルについては今後の発展に期待したいところです。
なお、Google は、開発者コミュニティのメンバーに対し、Google AI Edge Gallery の使用感に関するフィードバックを求めています。このアプリは Apache 2.0 ライセンスの下で提供されており、商用・非商用を問わず、ほとんどの状況で制限なく利用できます。