Android Auto、Gemini 搭載や動画・ブラウザアプリ対応など新機能が発表

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Android Auto の Google マップを表示しているディスプレイオーディオの写真

Google は 2025 年 5 月 20 日(米国時間)に開催された Google I/O 2025 において、Android Auto および Android Automotive OS の機能強化に関する複数の発表を行いました。これには Gemini の統合や新しいアプリカテゴリの導入など、ユーザー、メーカー、開発者のそれぞれに向けた重要なアップデートが含まれています。

現在、Android Auto はほぼ全ての新車でサポートされ、約 2 億 5000 万台の対応車両が存在します。また、Google built-in を搭載した Android Automotive OS 車も50以上のモデルが登場しており、Play ストアでは 300 以上の最適化されたアプリが利用可能です。

目次

Gemini の統合 : Gemini for Cars

今回の発表で特に注目されるのが、Google の 「Gemini」が Android Auto など車載システムへの導入です。 これは Google がアシスタントから Gemini への完全移行を進める一環であり、以前から開発されていることが示唆され、実際に取り組んでいることも公式から明らかにされていましたが、ついに正式発表となりました。

Gemini は、自然な音声会話とシームレスなマルチタスクを実現し、ドライバーがより多くのことを簡単に行えるよう支援します。 例えば、充電ステーションを簡単に見つけたり、メールから直接場所情報を読み取ってナビゲーションを開始したりといったことが、自然な会話を通じて可能になります。

Android Auto / Android Automotive OS への Gemini 統合は、今後数ヶ月以内に展開が開始される予定です。

Android Auto の変更点

Android Auto に関しても多くのアップデートが発表されています。主な変更点は次のとおりです。

  • 動画アプリ対応 (Android 16 以降): Android 16 を搭載したスマートフォンを利用し、対応車種において駐車中に動画アプリが利用可能になります
  • 天気アプリの正式提供: れまでベータ版だった天気アプリアテゴリが正式版となりました
  • Car App Library 1.8 alpha の新テンプレート: Android Auto 向けに、新たに「SectionedItemTemplate」と「MediaPlaybackTemplate」の2つのテンプレートが利用可能になりました。これらは特にテンプレート化されたメディアアプリの構築に適しており、レイアウトやブラウジング構造のカスタマイズ性が向上します。
  • ベータ版で提供開始される新カテゴリ:
    • メディアアプリ (Car App Library 使用): よりリッチで完全な体験を提供できるメディアアプリを構築可能になります
    • コミュニケーションアプリ (CallsManager Jetpack API 使用): 通話履歴全体、今後の会議リスト、リッチな通話中ビューなどの機能開発が簡素化されます
    • ゲーム (駐車中、Android 15 以上): Android 15 以降を搭載したスマートフォンで、駐車中にゲームが楽しめるようになります。「Angry Birds 2」や「Candy Crush Soda Saga」などの人気タイトルが既に利用可能です

これらのうち、後半 2 つの変更は開発者向けとなります。

Android Automotive OS (Google built-in) の変更点

Google built-in を搭載した Android Automotive OS にもいくつかの変更が行われています。

  • ゲームカテゴリのベータ版提供: アダプティブゲームを車載向けに配信可能になります。 Google Play Games Services (v2) も利用可能になり、シームレスなログインフローやクロスデバイスでのセーブデータ同期などが実現します
  • Car Ready Mobile Apps Program の拡張: Android Automotive OS 搭載車 (Android 14 以降) 向けに、Car Ready Mobile Apps Program の次のフェーズとして、数千のアダプティブモバイルアプリへの対応を自動車メーカーと協力して進めています
  • 運転中のビデオアプリ音声再生: 自動車メーカーと協力し、運転中にビデオアプリの音声のみを再生する機能を開発中です
  • 開発者向けツールの強化:
    • Pixel Tablet でのテスト: Android Automotive OS アプリのテスト用物理デバイスとして、Pixel Tablet が一般提供開始されました。 このデバイスは Android Auto レシーバーとしても機能するため、両プラットフォームのテストが1台で行えます
    • Firebase Test Lab: Android Automotive OS デバイスがデバイスカタログに追加され、実車ハードウェアでのテストが可能になります(早期アクセスパートナー募集中)
    • Play Console のリリース前レポート: Android Automotive OS 向けのリリース前レポートが近日提供予定で、アプリ品質の確認に役立ちます
  • 柔軟なアプリ配信: 駐車カテゴリのアプリは、モバイル版と同じ APK または App Bundle を使用して、モバイルリリースと並行して Google built-in 搭載車へも配信できるようになりました

開発者向けプログラムとツールの拡充

Google は、開発者がより差別化された車載体験を構築できるよう、以下のプログラムやツールを提供・改善しています。

  • Car app quality tiers: 「Car ready」、「Car optimized」、「Car differentiated」といった品質階層を導入し、高品質な車載アプリ開発を奨励しています。 「Car ready」に準拠することで、ビデオ、ゲーム、ブラウザアプリを最小限の追加作業で Google built-in 搭載車 (駐車時) に提供できます。
  • Car App Templates Design Kit: Figma で公開されたデザインキットにより、テンプレートアプリのデザインが容易になりました。
  • Google Play Services の強化: Passkeys や Credential Manager API によるシームレスなサインイン体験、Quick Share によるスマートフォンから車への簡単なデバイス間共有などが実現します。

まとめ

Google は、今後も継続的に車載 Android プラットフォームへの投資を行い、ドライバーと乗客にとって革新的で魅力的な体験を構築するためのリソースを提供していくとしています。 今年後半には、Android Auto 向け動画アプリのサポート開始 (Android 16搭載スマホと対応車種が必要) など、さらなるアップデートが予定されています。

Google I/O 2025 で発表された Android Auto と Android Automotive OS のアップデートのうち、特に Gemini の統合は、より自然で直感的な操作を実現し、安全性と利便性の向上に役立つことが期待できます。

開発者にとっても、新しいアプリカテゴリの解放やツールの充実は、革新的な車載アプリを開発する絶好の機会となります。

これらの変更は今後数ヶ月以内にリリースされる予定となっていますので、正式にリリースされることに期待です。

出典: Android Developers Blog

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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