Google Pixel スマートフォンの一部モデルで、最新の Android アップデート適用後に GPU パフォーマンスが大きく向上していることが、Reddit などのユーザー報告から明らかになりました。
報告によると、Pixel 7a や Pixel 8 シリーズ、Pixel 9 シリーズなど複数の Pixel デバイスにおいて、Geekbench 6 の GPU ベンチマークスコアが従来よりも高くなっていることが確認されています。特に Vulkan API のテストでは、Pixel 7a で約62%、Pixel 8 で31%、Pixel 9 で約32%のスコア向上など、全体的に大幅なスコア改善が見られます。
この改善は Android 16 ベータ版 による影響だと考えられていましたが、Android Authority によると Android 15 安定版アップデートでも GPU パフォーマンスの向上を確認しており、Android 16 に限ったことではないようです。
ちなみに、筆者の Google Pixel 9 Pro Fold で Geekbench 6 の Vulcan を回したところ、昨年9月のレビュー時点では6,901というスコアでしたが、記事執筆時点では9,182というスコアになり、約28%の向上となりました。また、OpenCL のスコアも6,397から8,398と約27%向上していました。


今回の Pixel スマートフォンにおける GPU 性能向上は、Google が Android のアップデートとともに新しい GPU ドライバーを提供したことが影響していると見られています。Pixel シリーズに搭載されている Tensor チップは Arm Mali GPU を採用していますが、出荷時には最新の GPU ドライバーは搭載されていません。
例えば、Android 15 のアップデート提供時、Tensor G1、G2、G3 を搭載している Pixel デバイス向けの GPU ドライバーは、2024年2月にリリースされたバージョンです。一方、Tensor G4 搭載の Pixel の場合、2023年12月にリリースされたバージョンを使用していました。
Android 15 以降、すべての Tensor 搭載 Pixel の Arm Mali GPU ドライバーのバージョンは次のとおりです。
Android Ver. | Tensor G1 | Tensor G2 | Tensor G3 | Tensor G4 |
---|---|---|---|---|
Android 15 | r48p0 | r48p0 | r48p0 | r47p0 |
Android 15 QPR1 | r49p0 | r49p0 | r49p0 | r49p0 |
Android 15 QPR2 | r51p0 | r51p0 | r51p0 | r51p0 |
Android 16 (Beta 3) | r52p0 | r52p0 | r52p0 | r52p0 |
この表からもわかるように、Google は Pixel Drop アップデートと QPR (四半期ごとのプラットフォームリリース) アップデートに合わせて新しい GPU ドライバーをリリースしているものと思われます。
ベンチマークスコアが必ずしもパフォーマンスの向上を保証するものではありませんが、今回のアップデートにより、グラフィック系処理だけでなく、GPU を活用する機械学習や画像処理といった場面でも、実用的なパフォーマンス向上が期待できます。
Pixel シリーズのユーザーにとっては、今後のアップデートによるさらなる最適化にも期待したいところです。