Google は Gemini Nano AI モデルを用いた様々な AI ツールを Android スマートフォンに導入するべく取り組んでいます。現在では Google Pixel 9 シリーズ以外のスマートフォンでも Gemini Nano をサポートするデバイスが登場しており、いくつかの AI 機能を利用することができます。
Gemini Nano は、クラウドではなくスマートフォン上で直接実行できるよう設計された Google の最小の AI モデルです。主にテキストベースの作業に優れたモデルで、例えばメッセージやチャットの下書き、返信などの提案、リストの作成や提案といったことが行えます。また、最近のリリースでは画像と音声を理解できるマルチモーダルな Gemini Nano も含まれています。
スマートフォン上、つまりデバイス上で Gemini Nano が動作するメリットとしては、処理のために情報が Google のサーバーに送られないということがあります。そのため、プライバシー面だけでなくインターネット接続がない環境でも AI ツールを利用することができます。
Gemini Nano サポート機種
Gemini Nano はハードウェア上でバックグラウンドで動作する必要があるため、ある程度の RAM 容量が必要になります。また、Tensor G4 や Snapdragon 8 Gen 3 など一部のチップセットでは AI モデルを効率的に実行するための NPU も搭載されています。当初、Gemini Nano は Pixel 8 Pro 専用でリリースされましたが、現在は次のような Google デバイス以外の Android スマートフォンがサポートされています。
- Google Pixel 9 シリーズ
- Google Pixel 8 シリーズ
- Google Pixel 8a
- Samsung Galaxy S24 シリーズ
- Samsung Galaxy S24 FE
- Samsung Galaxy Z Fold 6 / Z Flip 6
- Xiaomi 14T シリーズ
- Xioami MIX Flip
- Motorola Edge 50 Ultra
- Motorola Razr 50 Ultra
今後、さらに多くの Android スマートフォンで Gemini Nano のサポートが含まれると予想されます。これは先日、 Android アプリが AI モデルへのアクセスを許可する実験など開発者向けの機能やプレビューが提供されはじめたこと、一部の企業のアプリでオンデバイス AI モデルを組み込むことなどが発表されているためです。
Gemini Nano の機能
現時点では Gemini Nano を活用して使うことのできる AI 機能は次のようなものが挙げられます。ただし、まだ米国・英語のみに限定されている機能がほとんどです。
- Gboard のスマート返信
- Pixel レコーダーアプリによる AI 要約機能
- Google メッセージの AI 返信機能 (Magic Compose)
- Pixel Screenshots : 過去のスクリーンショットから情報を抽出して識別、検索でき、質問することもできる
- TalkBack : ユーザー補助機能のひとつで、音声読み上げ時に画像も認識して、画像に関する詳細な説明を提供できるようになる
- Pixel 天気 AI レポート : Pixel 9 で導入された新しい天気アプリで、AI を利用して今後の天気予報の要約を提供できる
- 通話メモ : Pixel 9 で導入された機能で、通話を録音して要約することができる
機能に関しては現時点で確認できているものや Google が発表しているもののみですが、今後はこれらだけでなく新しい機能やアプリでも Gemini Nano を活用する AI 機能が導入されていくはずです。