先日、Google Tensor G4 に関するベンチマークとサーマルスロットリングに関する情報が出ましたが、Google Tensor チップセットはベンチマークや速度を重視して設計されたものではなく、一般的な Pixel ユースケースを満たすように設計されており、とくに AI を重視しています。これは Pixel 6 シリーズで初めて搭載された第1世代の Tensor チップから変わっておらず、Pixel 9 シリーズで搭載された Tensor G4 であっても同様です。
Tensor G4 を含めてこれまでの Tensor チップセットは、同時期の最新のフラッグシップ Snapdragon チップにベンチマークで負けているなど色々と言われていますが、Google はそこではなく地味な改善に取り組んでいます。
Google によれば Tensor G4 はこれまでで最も高速かつ効率的なチップセットであり、日常的な使用状況を改善するように設計されているため、ウェブの閲覧、YouTube のストリーミング、写真撮影、動画撮影がよりスムーズになり、バッテリーへの負担が減るとしています。
また、Google の Soniya Jobanputra 氏はインタビューで「私たちは速度や性能を追求するわけではありません。既存の特定のベンチマークを上回るように設計しているわけではありません。私たちのユースケースを満たすように設計しているのです」と伝えています。
なお、Pixel 9 シリーズに搭載される Tensor G4 では、例えば複数のタスクを同時に処理することやアプリを開くことなどのパフォーマンスが最適化されていたり、AI を重視しているため Gemini Nano だけでなく将来的なモデルに向けても最適化やメモリ帯域幅の向上なども行われています。また、新しい Exynos 5400 モデムを搭載したことで電力効率の問題の改善と新しい Satellite SOS 機能なども導入しています。
いずれにしても、Google は Tensor チップセットをベンチマークや速度ではなく実用性と AI を重視してパフォーマンスを最適化するべく設計されていることを忘れないでおけば良いでしょう。とは言え、現時点では Samsung の Exynos がベースになっていることに変わりはないため、過度な期待はしないほうが無難かもしれません。