今年の6月、GoogleとParallelsが提携してChrome Enterprise向けに仮想化によってWindowsアプリを動作させるサポートを発表していますが、ついにこのサポートを利用することが可能となりました。
Parallels for Chromebook Enterpiseは、macOSのバージョンと同じく仮想マシン内でWindowsアプリを実行することができ、クラウドではなくローカルで実行され常時ネット接続を必要としない点がポイントです。
またGoogleによれば、Parallelsと協力してChrome OS上のWindows用サンドボックスを作成し、システムとWindows環境が切り離されていることで安全性を伝えています。
Parallelsによると、Chrome OS向けでもシームレスなマウスサポートや共有クリップボード、フォルダ、プリンタ、Chromeでウェブリンクを開くオプションなど2つのOSの連携を高めたり、ウィンドウサイズの変更でVMの解像度が変更される動的な解像度変更も含まれています。
システム要件とテスト済み機種
なお現時点でParallels for Chromebook Enterpriseを利用できるシステム要件は以下のようなものです。
- Intel Core i5 / i7 プロセッサー
- 16GB以上のRAM
- 128GB SSD以上
- Chrome OS 85以降
- Windows 10ライセンスを持っていること
このような条件になっていますが、ローカルで仮想化したWindowsを起動させる環境上、それなりにスペックが必要であることは仕方のない部分ですね。
続いて公式にテスト済みとされている機種は以下のとおりです。
- HP:
- HP Elite c1030 Chromebook Enterprise (recommended)
- HP Pro c640 Chromebook Enterprise
- Google:
- Google Pixelbook
- Google Pixelbook Go
- Acer:
- Acer Chromebook Spin 713 (CP713-2W)
- Acer Chromebook Spin 13 (CP713-1WN)
- Dell:
- Dell Latitude 5300 2-in-1 Chromebook Enterprise
- Dell Latitude 5400 Chromebook Enterprise
- Lenovo:
- Lenovo Yoga C630 Chromebook
- ASUS:
- ASUS Chromebook Flip C436FA
このうち、日本国内でも一般でリリースされているモデルはDELLとAcerの2つですが、結局のところEnterpriseアカウントでないと利用できない点は注意してください。
ParallelsによるWindowsアプリのサポートによって、とくにMicrosoftオフィスに依存している人たちには特にメリットがありそうです。
基本的にChromebookでは、WordやExcel、PowerPointは機能を制限されたバージョンしか利用できませんが、仮想化でフル機能のWindowsアプリを利用できることになります。もちろんそれ以外にも、例えば基幹業務システムなどでWindowsアプリを必要としているエンタープライズユーザーであっても、Chromebookを選択肢に含むことは難しくなくなりそうです。
なお、Parallels Desktop for Chromebook Enterpriseは、1ユーザーあたり年間69.99ドル必要で、Windows 10ライセンスも必要になります。
公式サイトでは詳細情報と、最大5ユーザーによる1ヶ月の無料トライアルを利用できるようになっていますので、エンタープライズアカウントのユーザーはチェックしてみてください。詳細はこちらのページで確認できます。
一般ユーザー向けにはいつ来るんだろうか…。いや、そもそも来ることあるのかな…。