4月1日に日本国内で発表された「DELL New Chromebook 3400 for Education」は、国内でリリースされた14インチのChromebookとしてはASUSの「Chromebook C423」に次ぐ2機種目となります。
教育機関向けにリリースされた「3400」とすでに一般販売もされている「C423」では立ち位置的に少々異なる機種ではありますが、現状限りある14インチChromebookの選択肢ではありますし、スペックにも違いが出ていますので、この機会にあれこれ比較してみようと思います。
ただ今回は、立ち位置が異なる機種なので勝敗のようなことは考えず、それぞれの良いところ悪いところを見つつ、向いている使い方などを考えていこうと思ってます。
スペックの比較
ASUSの「C423」は、現時点では1機種のみとなっていますが、DELLの「3400」は構成によって3機種存在しています。
ただ、うち1機種についてはHDとフルHDの違いだけのため、ここでは「C423」と「3400(HD/FHD)」、「3400 最上位」の3つを便宜上分けています。
ASUS C423 | DELL 3400 |
DELL 3400 最上位 |
|
ディスプレイ | 14インチ 1,920×1,080 ノングレア |
14インチ 1,366×768 / 1,920×1,080 ノングレア |
14インチ 1,920×1,080 ノングレア |
CPU | Celeron N3350 | Celeron N4000 | Celeron N4100 |
RAM | 4GB | 4GB | 8GB |
内部ストレージ | 32GB eMMC | 32GB eMMC | 64GB eMMC |
外部ストレージ | microSD | microSD | microSD |
ポート | USB Type-C(3.1)×2 USB-A(3.0)×2 イヤホンジャック |
USB Type-C×2 USB-A(3.1)×2 イヤホンジャック |
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バッテリー | 最大10時間 | 最大12時間 | |
その他 | – | MIL-STD規格準拠 防滴キーボード |
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サイズ | 幅322.6×奥行228 ×厚み16.1mm |
幅339.6×奥行236.9 ×厚み22.8mm |
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重さ | 1.25kg | 1.56kg | |
価格(税別) | 42,800円 | HD:52,980円 FHD:54,980円 |
64,980円 |
それぞれのスペックをざっくりとまとめてみました。
ざっと見た感じ、単純なスペックでは「DELL 3400」シリーズの方が上回っているように思います。
しかし持ち運ぶとなると、サイズ感と重さがネックになるので、「ASUS C423」の方がよりアクティブに使える端末のように思います。
では個人的にスペックで気になるところをチェックしていきます。
ディスプレイとサイズ
どちらも14インチベースですが、「DELL 3400」はHDとフルHDを選択することができます。
しかし価格差を考えると、個人的にはフルHDモデルが主流になると思われます。
3モデルとも非タッチの非光沢(ノングレア)タイプであることが共通しています。
「ASUS C423」の方が上左右のベゼルが狭く、実寸どおりでコンパクトになっている印象があります。対して「DELL 3400」は、堅牢性を重視している影響か、やや厚みがありどっしりとした印象ですね。
同じ14インチですが、「ASUS C423」の方が幅・奥行とも1cmほど小さくなっていて、さらに300g軽くなっていることから、持ち運ぶことを重視した法人や学生向けChromebookであると言えそうです。
「DELL 3400」も持ち運べないことはない重さですが、1.5kgを超えるとやっぱりしんどい(体験談)ので、どちらかといえば置いておくタイプであると言えます。
例えば、普段は教員室で使って、授業のときの移動で持ち歩くくらいであれば問題ないので、どちらかというと教員向けの機種かと思います。
CPU周りの比較
ここではベンチマークによるCPU性能の比較をしてみたいと思います。
「ASUS C423」は、Celeron N3350というエントリークラスのCPUを採用していますが、「DELL 3400」はN4000、N4100というChromebookで言えばミドルクラスのCPUとなっています。
CPUの基本情報は下記のようなもの。
ベースクロック | 最大クロック | コア数 | GeekBench シングル | Geekbench マルチ | PASSMARK | Cinebench R15 | Octane | |
N3350 | 1.1GHz | 2.4GHz | 2 | 1389 | 2328 | 1105 | 85 | 10600 |
N4000 | 1.1GHz | 2.6GHz | 2 | 1858 | 3137 | 1462 | 138 | 11000 |
N4100 | 1.1GHz | 2.4GHz | 4 | 1732 | 4872 | 2310 | 176 | 11522 |
毎度のことながら、GeekbenchとPASSMARK、Cinebenchをグラフにしてみました。
Octaneは参考程度なのでここでは比較していません。
単純性で見れば、N3350からN4000、N4100と順に性能があがっていきますので、「DELL 3400」の最上位モデルがここでは最もハイスペックと言えそうです。
ただChromebookは他のOSとは異なり、エントリークラスでも十分使えるというのがメリットですので、より余裕を持った作業をするなら「DELL 3400」の最上位が良く、導入コストを下げたいのであれば「3400」のHDもしくはフルHD、リモートコントロールや持ち運びを考えれば「C423」でも問題はないと思います。
ただ、「DELL 3400」の最上位モデルのみ8GBRAMとかなり余裕がありますので、並行して作業することが多い場合や読み込みデータ量が多い場合には、最上位を検討する方がより良いと思います。
教育機関で考えれば、学生数が多いとか複雑な作業をするとかかと思うので、中高大の教員向けかもしれません。
やっぱり「ASUS C423」は、軽さを生かして外で作業したいビジネスマンや学生向け、もちろん一般ユーザーもですね。あとはリモートコントロールを使うから画面が大きくかつ軽いのが良い、という人にも良いと思います。
インターフェース
実はここも設置数は共通しています。
それぞれUSB Type-Cが2つ、USB-Aも2つ、イヤホンジャック、microSDスロットとなっています。
ただ「DELL 3400」は、USB-Aポートが3.1になっていることとセキュリティスロットがあるのが違いです。
ここではどちらも差はないので、使い勝手にそこまで差はなさそうな感じですね。
USB Type-Cだけだと、まだ実務上で影響が出る場合が多々あると思いますので、アダプタなしで2つ使えるのは良いことだと思います。
堅牢性
「DELL 3400」は、MIL-STD規格の超えるテストを実施していることをウリとしていて、10,000回の自由落下マイクロドロップや30インチ上から鉄板への落下に耐えるようテストされていることから、とにかく堅牢性がウリとなっています。
さらに防滴や不正開封防止機能を備えたキーボードとなっているので、不特定多数が触るような環境であったり、落下や水濡れの可能性がある環境での使用に適しています。
対して「ASUS C423」にはこのような機能をウリにしているわけではないため、使うシーンによる違いが決定的に出るポイントかと思います。
その他諸々
バッテリーなどはどちらも公称10時間はありますし、外で使うにしても屋内の移動時に持ち運ぶにしても必要十分かと思います。
キー配列などはChromebookである以上、そこまで配列に違いは出てこないので気にする必要はあまりなさそうですね。あるとすれば、日本語配列かUS配列かくらいになりそうです。
価格についても「ASUS C423」がかなり安価に思えますが、「DELL 3400」とスペック的な差があることも事実ですし、一般向け価格と法人向け価格の違いというのもあるので一概には比較できません。
ただ個人的には、よほど気合入れた作業をしないかぎり「ASUS C423」のスペックで十分だと思っています。
まとめ
ということで、これまでスペックを比較してみて、ざっくりと使うシーンを考えてみます。
外でも作業するなら「ASUS C423」
14インチにも関わらず軽量コンパクトなモデルなので、いつも持ち歩く必要があるビジネスマンや学生にはもってこいの1台だと思います。
リモートで作業するにも十分だと思いますし、価格も考えればChromebookとしては一般向けとしてバランスの取れた機種だと思います。
法人向けとしてリリースされたものの、使いやすさを考えると一般はもちろん学生でも良いですし、学校内での利用にも十分かと思います。
ただ堅牢性が気になるところなので、学校でも使うとすればある程度落ち着いて扱える高校や大学向きと言えそうです。
基本は置きで作業なら「DELL 3400」
「DELL 3400」の場合は、性能面では「C423」を上回っていますし、堅牢性能もあるので持ち運びたいところもありますが、正直重さがネックだと思います。
ただ持ち運ぶことができないわけではないため、建物内の移動であったりする程度なら問題ないかな。バッテリー駆動時間も1日中持ちますし。
今回のDELLのシリーズは教育機関向けですのでそのイメージで言えば、教育現場での移動教室で持ち歩いたりするには問題ないですし、堅牢性を考慮すれば実験室などでの活用が向いていそうです。
年齢が下がるにつれて、1.56kgという重さがより問題になるかと思いますので、その場合は「DELL 3100」など別の機種を考える必要があります
しかし教員であればさほど影響はないと思いますので、教育現場で考えれば学生というより教員に向いた機種かと思います。
14インチならではの良さ
そんなわけで大した比較でもありませんでしたが、「ASUS C423」と「DELL 3400」という14インチChromebookのスペックなどを比較してみました。
どちらも一長一短ですが、使われる場所の想定が異なっているため、どちらかが決定的に良いというものではありません。
むしろ、これまで11インチが主流だったChromebookに14インチのフルHDモデルが新たに選択肢として加わったということが何よりも重要だと思います。
11インチじゃ小さいし解像度もHDだし、キーボードちっちゃいし…などと思っていた方も少なくないんじゃないでしょうか。
そういった方々も含め、14インチのChromebook(できれば軽めで)というのは少なからず需要があると思います。
なぜか国内展開のChromebookイコール11インチみたいな印象を受けてしまうので、ここで14インチを投入したDELLはなかなかやってくれたなと思うところ。
おそらく今後、国内でも14インチのChromebookが増えてくると勝手に想像していますが、現状では今回紹介した「ASUS C423」と「DELL 3400」だけですので、ご自身の使うシーンや使い方を考えて、よりよい機種を選択する参考になれば幸いです。
参考までに各製品へのリンクを貼っておきます。
- ASUS Chromebook C423NA(C423NA-EB0039)
- 【Dell】Chromebook 3400 ベーシックモデル、HD構成
- 【Dell】Chromebook 3400 ベーシックモデル、フルHD構成
- 【Dell】Chromebook 3400 ベーシックモデル、フルHD構成、大容量メモリー