Qualcomm は MWC 2026 にて、次世代のスマートフォン向けモデム「Snapdragon X105 5G Modem-RF System」を発表しました。
前モデルの X85 から X95 をスキップして X105 と名付けられ、GPP Release 19 に対応、衛星経由での 5G 通信、AI を活用した通信の自動最適化など、接続機能の大幅なアップデートが含まれています。
衛星通信の強化と代替ネットワークの確保
Snapdragon X105 の主要なアップデートとして、衛星経由で 5G 通信を行う「NR-NTN (New Radio Non-Terrestrial Network)」のサポートが挙げられます。
従来のスマートフォン向け衛星通信は SOS などの短いテキスト送信に限られていましたが、X105 では動画や音声通話、データ通信も可能になります。山間部などのモバイル通信が届かない場所でも通信を維持できるため、実用性が向上しています。
また、衛星通信の電波も届かないエレベーターや地下駐車場などの環境向けに、「NB-IoT」ネットワークを代替回線(フェイルオーバー)として利用する機能も追加されました。音声通話には対応しませんが、RCS などのメッセージアプリを通じたテキスト送受信は維持されるため、圏外での連絡手段として機能します。
通信速度については、ダウンロード速度が最大 14.8Gbps(Sub-6 環境では最大 13.2Gbps)、アップロード速度が最大 4.2Gbps となっています。

消費電力の削減と AI による通信最適化
モデムの小型化と省電力化も進んでおり、業界初となる 6nm プロセス製造の RF トランシーバーを採用しています。前世代と比較して消費電力を最大 30% 削減し、基板上の占有面積を 15% 縮小しました。
位置情報の測位には、クアッドバンド(L1、L2、L5、L6)対応の GNSS エンジンを搭載しています。これにより位置精度が向上し、測位にかかる消費電力も最大 25% 削減されています。
さらに、第 5 世代 AI プロセッサによる「Agentic AI」が導入されました。ユーザーがゲームや動画通話、SNS などを利用する際、データトラフィックの種類を自動で判別し最適化を行います。Qualcomm はデバイスメーカー向けに API も提供しており、これらを活用することでアプリの遅延低減やバッテリー消費の改善が期待できます。
2026年後半に搭載デバイスが登場予定
Snapdragon X105 モデムは現在サンプル出荷中で、今年(2026 年)の後半には同モデムを搭載した商用デバイスが登場する予定です。順当であれば、次期フラッグシップチップセットの「Snapdragon 8 Elite Gen 6」に採用されると予想されます。
Pixel シリーズは Google Tensor と他社製モデムを組み合わせていますが、Qualcomm の新モデムが市場に投入されることで、今後の Android デバイス全体において衛星通信機能の標準化や省電力化が進むきっかけになりそうです。


