Google は 2025 年 11 月 13 日(現地時間)、Visual Studio Code(VS Code)向けの「Google Colab」公式拡張機能をリリースしました。
これにより、ローカルの Notebook(.ipynb)を VS Code で編集しつつ、Colab の GPU / TPU を備えた高性能ランタイムで直接実行できるようになります。
VS Code の使いやすさと Colab の強力な計算リソースを組み合わせられる、待望のアップデートです。
コミュニティの強い要望が実現
今回の公式拡張は、近年の大きな2つのトレンドに応える形で生まれたものです。
VS Code は、高速・軽量・拡張性の高さから、世界でもっとも利用されているコードエディタの一つとして地位を確立しています。
もう一方の Colab は、数百万人の学生・研究者・開発者が利用する Notebook ベースの AI/ML 開発環境で、GPU・TPU への簡単なアクセスや共同編集機能が高く評価されています。
これまで VS Code と Colab は別々の環境として存在し、両者を橋渡しするには非公式の拡張や個別設定が必要でした。
しかし、Google は次のような需要が強まっていたと説明しています。
- VS Code のカスタマイズ性と開発効率の高さを活かしたい
- Notebook 実行は Colab の GPU/TPU に任せたい
- Git リポジトリで Notebook を使いたい
- 大規模プロジェクトで VS Code + Colab の統合がしたい
今回、こうした要望に応えて Google 公式の VS Code 拡張が提供されることになりました。
メリット
新しい「Colab VS Code 拡張機能」は、VS Code と Colab のメリットをそのまま組み合わせています。
- VS Code ユーザーのメリット
- 使い慣れた VS Code で作業可能
- ローカルの Notebook を Colab のランタイムで実行
- Pro / Pro+ の高性能 GPU・TPU に接続できる
- Colab ユーザーのメリット
- Notebook を Git リポジトリの一部として運用しやすい
- VS Code の豊富な IDE 機能(補完・Lint・拡張機能)が使える
- Notebook 中心の AI/ML ワークフローがさらに強化
インストールと使い方
- 拡張機能をインストール
- VS Code 左側の「拡張機能」を開く
- 「Google Colab」を検索
- 「Colab」公式拡張をインストール
- 必要に応じて「Jupyter」拡張も追加
- Colab ランタイムに接続
.ipynbを VS Code で開く- セルを実行 or 右上の「カーネルの選択」をクリック
- 一覧から「Colab」を選択
- サーバーを選択して Google アカウントでログイン
これでローカル Notebook が Colab ランタイムで動作します。なお、VS Code 派生エディタ向けに Open VSX でも公開されています。

Chromebook ユーザーにも大きなメリット
今回の VS Code 拡張機能の提供は、Chromebook ユーザーにとってもいくつかのメリットがあります。
- 実行環境は Colab GPU/TPU するため、Chromebook の性能に依存しない
- VS Code Web 版や Linux 版と組み合わせられる
- AI/ML の学習や検証に最適
- 企業・教育現場での Notebook 活用の幅が大きく広がる
軽量な Chromebook でも Colab のハイエンド GPU を利用できることから、とくに Linux(Crostini)で VS Code と Jupyter Notebook を日常的に使っているユーザーには大きな恩恵があります。
今後の展開について
Google は今回のリリースを「出発点」としており、今後はさらに VS Code 連携を強化する方針を示しています。
例えば、Colab の追加機能の段階的な展開、Notebook 実行や可視化機能の最適化、複雑なプロジェクト構成を想定した改善などが予定されています。
また、Google は GitHub や X でフィードバックを受け付けています。
まとめ
Google Colab の公式 VS Code 拡張機能により、ローカル開発環境とクラウドの高性能リソースが直結する、新しい Notebook ワークフローが実現しました。
VS Code の使いやすさと Colab の計算能力の両方を活かすことができるため、AI/ML の学習者から研究者、実務の開発者まで幅広い層にとって、日々のワークフローをより快適にするアップデートとなりそうです。
なお、筆者の Chromebook (Linux / Crostini) 環境でも、VS Code 経由で Colab の拡張機能が利用できることを確認しています。


