Google は、Android アプリのパフォーマンス監視ツール「Android vitals」において、新しい品質メトリクス 「Excessive partial wake locks(過度の部分的な wake lock)」 を正式に導入しました。
この指標は、アプリがバックグラウンドで端末を過剰にスリープ解除していないかを可視化するもので、2026 年 3 月 1 日以降、基準を満たさないアプリには Google Play ストア上で警告が表示される可能性があります。
この仕組みは、2025 年 4 月にベータ版として発表された Android Vitals の新機能を正式展開したもので、開発者がアプリの電力消費をより正確に把握・改善できるようにすることを目的としています。
Samsung との共同開発による新アルゴリズム
「wake lock(ウェイクロック)」とは、アプリが端末のスリープを防ぎ、画面オフ時でもバックグラウンド処理を継続できるようにする仕組みを指します。
Google は 2024 年から Samsung と共同でこの指標を開発しており、両社の実利用データをもとにバッテリー消費検出の精度を高めてきました。
正式導入された指標では、1 日(24 時間)の中で、ユーザーが明示的に操作していない状態で wake lock を累計 2 時間以上保持したセッション を「過剰」と定義します。
なお、音楽再生やユーザーが操作によって行うデータ転送など、一部の動作は対象外とされています。
5%を超えると「品質基準未達」に。Play ストア掲載にも影響
Google によると、直近 28 日間のユーザーセッションのうち 5% 以上が過剰と判定された場合、アプリは「技術的品質基準(bad behavior threshold)」を満たさないと判断されます。
この場合、アプリはおすすめやランキングなどから除外されるほか、Play ストア上で次のような警告が表示される場合があります。
このアプリはバックグラウンド動作が多く、予想より多くのバッテリーを使用する可能性があります
この警告は 2026 年 3 月以降、順次導入される予定です。なお、表示されるテキストとデザインは変更される場合があります。

Android vitals 上での確認と改善ツールも提供
開発者は Android vitals の「過剰な部分ウェイクロック(Excessive partial wake locks)」ページで、アプリごとの wake lock 状況を確認できます。

P90・P99 などの統計値をもとにタグ名や発生時間を特定でき、原因箇所のデバッグや修正が容易になります。
Google は「開発者が事前に問題を把握して修正できるよう、ストアでの影響が始まる前に正式発表を行った」と説明しています。
Core technical quality metrics に新たな項目を追加
「過剰な部分ウェイクロック」は、Google Play 上での可視性に関係する主要技術指標 「Core technical quality metrics」 のひとつとして追加されました。
これにより、以下の 4 項目が Play ストアの品質基準として扱われます。
- クラッシュ率(User-perceived crash rate)
- ANR(応答なし)率(User-perceived ANR rate)
- バッテリー過剰使用(Excessive battery usage)
- 過剰な部分ウェイクロック(Excessive partial wake locks)[新規追加]
ちなみに Core technical quality metrics は、Google Play 上での露出やおすすめ表示に影響する技術的品質基準の総称です。
まとめ
Google は今回の変更について、「技術的品質を重視するアプリがより発見されやすくなる」と説明しています。
今後は動作安定性だけでなく、バックグラウンド処理や電力効率の最適化 も Play ストア上の重要な評価指標となる見込みです。
またユーザーにとっても、バッテリーを過剰に消費するアプリを事前に判別しやすくなることで、アプリ選びの安全性と快適性が向上すると期待されます。
出典: Android Developers Blog, Android Developers (過度の部分的な wake lock)


