Gemini API に新しい「File Search Tool」が登場。RAG を完全自動化し、開発をより手軽に

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Google は、Gemini API に新しい機能「File Search Tool」を追加しました。これは、RAG(検索拡張生成:Retrieval-Augmented Generation)を完全に自動化し、アップロードしたファイルから直接情報を検索・活用できる開発者向けの統合ツールです。

従来は手動で構築する必要のあったデータ取得・ベクトル検索・文脈挿入といった処理を、Gemini API が一括して処理できるようになりました。

目次

RAG 構築を自動化し、Gemini で完結

File Search Tool は、ファイルのアップロードからベクトル化、文脈の抽出、回答生成までを自動で行う仕組みを備えています。Gemini API の generateContent エンドポイントに統合されており、既存の開発環境からシームレスに利用できます。

Google によると、PDF・DOCX・TXT・JSON など幅広い形式のファイルに対応し、開発者は自社データをそのまま Gemini に「グラウンディング(根拠づけ)」させることが可能です。生成された回答には、自動的に出典情報(引用元)が付与されるため、透明性の高い出力を実現します。

開発規模を問わない、シンプルで低コストな料金体系

File Search Tool の特徴のひとつが、明快な料金体系です。これにより、プロジェクトの規模を問わず導入しやすくなっています。

ファイルの保存やクエリ時の埋め込み生成は無料で、初回インデックス作成時のみトークン単位で課金されます(例:1 ミリオントークンあたり 0.15 ドル、モデルは gemini-embedding-001)。

埋め込みもチャンク分割も不要。Gemini が自動処理

Google は File Search Tool を「RAG のための完全マネージドソリューション」と位置付けています。

開発者はベクトルデータベースの管理や、ドキュメントを適切なサイズに分割する「チャンク設計」といった複雑な設定を行う必要がなく、Gemini が自動的に最適化します。

Gemini はクエリに応じてファイルを意味的に分析し、必要な情報を最適な形で抽出。検索クエリの意味や文脈を理解して、該当情報を高速に応答へ反映します。

特に注目すべきは、Gemini Embedding モデルによる高精度なベクトル検索と、動的なコンテキスト注入機能です。これにより、企業内ドキュメント検索や FAQ ボット、ナレッジアシスタントなど、信頼性の高い生成 AI ソリューションを容易に構築できます。

実際の利用事例 : ゲーム生成プラットフォーム「Beam」

早期アクセス参加企業の一つ、Phaser Studio の「Beam」では File Search Tool を利用して AI ゲーム生成を効率化しています。

同社は 3,000 以上のテンプレートや設計資料を扱う複数のコーパスを検索対象とし、1 日数千件のクエリを高速処理。従来は数時間かかっていた資料横断が、2 秒以内で完了するようになったといいます。

まとめ

今回の File Search Tool の登場により、Google の Gemini API は「生成モデル+検索」の両軸をワンストップで提供できる環境へと進化しました。

開発者は複雑なインフラ構築を行わずに、自社の知識やドキュメントを直接 AI に活用させることが可能となり、AI アプリケーション開発の裾野を大きく広げることになると考えられます。特に中小企業や教育機関において、社内文書や FAQ を活用した AI 検索ボットの構築が容易になり、実務レベルでの応用が期待できます。

出典: Google

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著者情報

HelenTech を運営している 尾村 真英 です。これまでに 50 台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動し、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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