Google は、Windows 版 Chrome におけるオーディオ録音品質を大幅に改善するアップデートを開発中です。
これにより、ブラウザ経由でも従来より高精細で歪みの少ない音声を記録できるようになることが期待されます。
現在の Chrome における録音の課題
現行の Windows 版 Chrome は、標準的な 16bit フォーマットで録音を行っています。
これは一般的な用途では十分ですが、最新のヘッドフォンやマイクなど多くのオーディオデバイスは、より高品質な録音をサポートしており、Chrome はその性能を十分に活かしきれていませんでした。
高音質録音サポートのメリット
Google が進めているのは、より豊かな音のディテールと広いダイナミックレンジを実現する高音質オーディオフォーマットへの対応です。
これにより、音質の劣化を抑えつつ、クリアで自然な録音が可能になります。大音量時の歪みも低減し、より安定した録音環境を提供します。
この改善は、オンラインで音楽を制作するミュージシャンや、Web ベースの録音ツールを利用するポッドキャスター、YouTuber、ナレーターなど、ブラウザを通じて音声を扱うユーザーにとって特にメリットがあります。録音品質が向上することで、Web 上での制作環境がスタジオアプリに近づくことになります。
一方で、動画視聴や音楽再生が中心のユーザーにとっては、体感できる変化は限定的とみられます。
開発状況と今後の見通し
Chromium Gerrit のコミットによると、この変更では Windows の音声処理を担当する「WASAPI (Windows Audio Session API / Windows 標準の音声処理システム)」を利用し、これまで固定されていた 16bit 録音を、Windows Audio Engine が提供する最適なフォーマット(最大で 32bit float)に自動的に切り替えるよう改良しています。
この変更は現在、試験的なフラグ kWasapiInputUseDeviceSampleFormat という設定で有効化されており、今後の Chrome Dev / Canary など開発版チャンネルを通じて段階的にテストされる見込みです。
なお、この改善は Windows Audio Engine に依存しているため、現時点では Windows 環境のみが対象であり、macOS や ChromeOS、Linux には適用されません。
まとめ
Windows 版 Chrome の高音質オーディオ録音サポートは、Web ブラウザを通じたオーディオ制作や配信の品質を大きく向上させる可能性があります。特にクリエイティブな用途で Chrome を利用するユーザーにとって、メリットのある改善となります。
現時点では Windows 限定の対応で展開もされていませんが、今後 ChromeOS や他プラットフォームにも拡張されていくことに期待です。


