Google スプレッドシート の AI 機能である Gemini サイドパネルがアップデートされ、同じシートタブ内にある複数のテーブルにまたがるデータを分析できるようになりました。
これにより、異なるデータソースを横断した質問や分析が可能になり、より柔軟で高度なデータ活用が可能になります。
複数テーブル分析機能とは
これまでの Google スプレッドシートの Gemini サイドパネルでは、基本的に 1 つのテーブル内のデータを対象としていました。今回のアップデートにより、1 つのシートタブ内に存在する複数のテーブルを同時に認識し、それらのデータを関連付けて分析することが可能になります。
ユーザーは分析対象とするテーブルを選択または選択解除して Gemini の焦点を絞ったり、テーブル内の特定の範囲を選択してクエリの入力データとして使用したりできます。これにより、以下のようなメリットが生まれます。
- データソースの統合: 別々のテーブルに存在する関連データを手動で結合する手間なく、統合的に分析できます。
- 分析の精度向上: 複数のデータソースを考慮することで、より包括的で正確な分析結果を得られます。
- 複雑なクエリの実現: 従来は困難だった、複数のテーブルにまたがる複雑な計算や比較が容易になります。
複数テーブル分析でできること
今回のアップデートにより、Google スプレッドシートの Gemini を使って以下のような操作が可能になります。
複数テーブルを参照する複雑な数式の生成
複数のテーブルを参照し、計算を実行する複雑な数式を一度に生成できます。
- XLOOKUP 関数の活用: あるテーブルの値を別のテーブルから検索して利用する XLOOKUP 関数などを Gemini に作成させることができます。
- データの集計: 複数のテーブルにあるデータを集計し、単一のサマリー計算を行う数式を生成できます。

複数テーブルのデータを統合した分析とチャート作成
複数のテーブルに散らばるデータを Gemini に分析させ、インサイトを発見したり、データを可視化するチャートを作成したりできます。
- 総合的なデータ把握: 異なるテーブルにある販売データを組み合わせてトップパフォーマーを特定したり、別々のテーブルにある売上実績データを比較する単一のチャートを作成したりすることで、データの全体像を把握できます。
複数テーブルに対する一括データ編集
単一のリクエストで、複数のテーブルに一度に変更を適用できます。
- 書式設定の統一: スプレッドシート内のすべてのテーブルに一貫した条件付き書式を適用できます。
- ピボットテーブルの作成: 複数のテーブルのデータを要約する単一のピボットテーブルを作成できます。
選択範囲を指定した分析
テーブル内の特定のセル範囲を選択し、その範囲に焦点を当てて Gemini に分析させることができます。
- 特定データの要約: 選択したデータの要約を依頼できます。
- 外れ値の検出: 選択した範囲内の外れ値を検出できます。
- 選択データに基づく数式生成: ハイライトしたデータに基づいて数式を生成できます。
展開スケジュールと対象プラン
この機能は、即時リリースおよび計画的リリースドメインの両方で、2025 年 10 月 20 日より最大 15 日かけて段階的に展開されます。
利用可能な Google Workspace およびアドオンは次のとおりです。
- Business Standard および Plus
- Enterprise Standard および Plus
- Gemini Education または Gemini Education Premium アドオン
- AI Pro および Ultra
- Gemini Business / Enterprise
なお、管理者がスマート機能とパーソナライズ設定をオンにしている限り、ユーザーは特別な設定なく利用することができます。
まとめ
Google スプレッドシートの Gemini サイドパネルにおける複数テーブル分析機能は、データ分析の可能性を大きく広げるアップデートです。これまで手作業で行っていた複数のデータソースの統合や比較が AI によって効率化され、より迅速かつ正確なインサイト獲得につながります。
データエンジニアの作業範囲ではない簡単なデータ分析や、営業・マーケティングなど主要業務の補助として分析を行うユーザーにとっては、業務効率の改善が期待できる非常に嬉しいアップデートとなりました。対象プランを利用している方は、ぜひこの新機能を活用してみてください。