Google は、Web ブラウザ Chrome の Canary 版において、新しいセキュリティ機能「Automatic JavaScript Optimizer Control」のテストを実施していることが報じられました。
この機能は、ユーザーが初めて訪れる、または信頼関係のない Web サイトでの安全性を高めることを目的としています。
新しいセキュリティ設定「Automatic JavaScript Optimizer Control」
今回テストされている新機能は、Chrome の設定メニューで「Automatically disable JavaScript optimizers on unfamiliar sites(未知のサイトで JavaScript の最適化を自動的に無効にする)」として表示されます。
この設定を有効にすると、ユーザーが初めてアクセスする Web サイトで、ページの読み込み速度を最適化するための機能(JavaScript の最適化)が自動的に無効化されます。
これにより、この仕組みを悪用して不正コードを実行する悪意あるスクリプトを防ぎ、セキュリティを強化します。
一方、日常的に利用している信頼済みのサイトでは、この制御は適用されず、従来どおり高速で快適な動作が維持されます。
速度とセキュリティのバランスを取る新しいアプローチ
Chrome に搭載されている V8 エンジンは、Web サイトの動作を高速化し、ボタンや動画などをスムーズに動かす重要なコンポーネントです。その一部である JavaScript オプティマイザは、コード実行を効率化します。
従来の Chrome では、ユーザーは以下の 2 つの選択肢から選ぶしかありませんでした。
- サイトで JavaScript の最適化を使用できます: サイト表示は高速だが、悪意あるスクリプトのリスクが残る
- サイトで JavaScript の最適化の使用を許可しない: セキュリティは高まるが、サイトの表示が遅くなる・一部機能が動作しない可能性がある

この設定は、ユーザーが手動でサイトごとに「許可」または「許可しない」を追加することで動作をカスタマイズできますが、管理の手間が発生します。
今回の新設定は、このトレードオフを解消する「第 3 の選択肢」です。未知のサイトでは自動的に安全性を優先し、既知のサイトでは速度を維持することで、パフォーマンスとセキュリティの両立を実現します。
設定の場所と利用方法
この機能は現在、開発者向けの Chrome Canary 版で利用可能です。
設定メニューの [プライバシーとセキュリティ] > [セキュリティ] > [JavaScript の最適化とセキュリティ] から有効にできます。

この設定は任意であり、ユーザー自身が利用するかどうかを選択可能です。未知のサイトを閲覧する際のセキュリティを手軽に強化したいユーザーにとって、有効なオプションとなることが期待されます。
なお、筆者の環境(Chrome Canary 143.0.7466.0 / macOS)では、現時点で同設定を確認できませんでした。機能は一部ユーザーへの段階的展開中である可能性があります。
なお、Google はこのほかにも、凍結タブのメモリをクリアしない新挙動や、AI アクションチップ、新しい検索ボックスなど、複数の機能を Chrome で並行してテストしています。
出典: Windows Report