Google が開発中の新しいシステム機能「Theme Manager」により、Android にワンクリックでテーマを適用できる「テーマパック」機能が導入される可能性が明らかになりました。
これにより、Pixel スマートフォンの外観や UI 設定を、これまで以上に簡単に変更できるようになる見込みです。
テーマ機能の進化と課題
Google は 2021 年の Android 12 で、UI を大幅に刷新する「Material You (Material Design 3)」を導入しました。その中心となるのが、壁紙の色を自動的に抽出してシステム全体の配色を変化させる「ダイナミックカラー」です。

Material You のテーマ生成プロセスは次の 3 段階で構成されています。
- 色の抽出:壁紙から主要な色を「シードカラー」として特定し、5 種類のトーンパレットを生成。
- 色の適用:生成されたパレットをもとに、UI の各要素の色を置き換える。
- 設定の保存:ユーザーが選択したテーマ設定(壁紙ソースやカラースタイルなど)を保存する。
ただし、現行のテーマ設定は THEME_CUSTOMIZATION_OVERLAY_PACKAGES
という単一の JSON テキストに保存されており、変更のたびにこのブロック全体を読み書きする必要があります。
この方式は破損や競合に弱く、テーマが壊れたり、SystemUI がクラッシュするリスクがありました。
新システム「Theme Manager」が登場
これらの課題を解決するため、Google はテーマ処理の仕組みを根本から再設計しました。新しい Theme Manager API は、テーマ変更を中央で管理する「ゲートキーパー」として機能します。
アプリは構造化されたデータを Theme Manager に渡すだけで、同マネージャーが検証・保存・適用を自動的に行う仕組みです。
また、従来の広範な権限 WRITE_SECURE_SETTINGS
に代わり、プラットフォーム署名を持つアプリのみが利用できる UPDATE_THEME_SETTINGS
権限が採用され、安全性も強化されます。
この Theme Manager により、テーマ変更の安定性と拡張性が大幅に向上します。
Pixel 向け「テーマパック」実現へ
Theme Manager は、今後登場する Pixel 向けテーマパックの中核を担う存在です。
Google の新しい「壁紙とスタイル」アプリでは、すでに「テーマ (Themes)」という項目が発見されており、ここからテーマパックを適用できるようになると見られています。
この新しい仕組みでは、ThemeSettingsPreset
クラスを使い、壁紙やシステムカラー、アクセントカラーなどを一括して定義できます。

最終的には、フォントやウィジェット構成なども含む包括的なカスタマイズパックとして提供される可能性があります。
今後の展開
Theme Manager API は現時点では一般公開されていませんが、Google が次のメジャーアップデート「Android 17」を待たずに、Android 16 QPR2 でテーマパックを導入する可能性もあります。
Pixel スマートフォンの外観や UI 設定をより簡単に変更できる日が間もなく提供されることが期待されます。
出典 : Android Authority