Google は 2025 年 10 月 10 日 (現地時間)、長期サポートチャンネル (Long-term Support Candidate: LTC) を利用しているほとんどの ChromeOS デバイスに対し、新たなマイナーアップデートの展開を開始しました。
このアップデートは主にセキュリティ修正を含んでおり、バージョンは 138.0.7204.293 (プラットフォームバージョン: 16295.78.0) へと更新されます。
LTC チャンネルに設定しているデバイスは、この新しいバージョンにアップデートされますが、管理者の設定によっては一部デバイスが対象外となる場合があります。
セキュリティ修正の内容
今回のアップデートで修正された主なセキュリティ脆弱性は次のとおりです。いずれも深刻度は「High」と評価されています。
- CVE-2025-10201: Mojo における不適切な実装
- CVE-2025-10501: WebRTC における解放済みメモリの使用 (Use after free)
- CVE-2025-10585: V8 における型の混同 (Type Confusion)
- CVE-2025-8576: 拡張機能 (Extensions) における解放済みメモリの使用 (Use after free)
「解放済みメモリの使用」や「型の混同」といった脆弱性は、悪用されるとプログラムの予期せぬ動作や、悪意のあるコードの実行につながる可能性があります。今回の修正により、システムのセキュリティがさらに強化されます。
この他にも、CVE-2025-21700、 CVE-2025-21702、 CVE-2025-21971 など、複数の脆弱性が修正されています。
ChromeOS の LTC と LTS とは
ChromeOS では、アップデートの頻度と安定性に応じて複数のチャンネルが提供されています。その中でも、特に企業や教育機関での利用を想定したものが LTC と LTS です。
- LTS (Long-term Support): 安定性を最優先するチャンネルです。約 6 ヶ月ごとに機能のアップデートが行われ、その間はセキュリティ修正を中心としたマイナーアップデートが提供されます。
- LTC (Long-term Support Candidate): LTS チャンネルでリリースされるバージョンの候補版です。LTS へのメジャーアップデートが行われる約 3 ヶ月前にリリースされ、システム管理者が事前に新しいバージョンでの動作検証やテストを行うことを目的としています。
つまり、今回の LTC-138 へのアップデートは、将来 LTS チャンネルが LTS-138 へ更新されるための準備段階と位置づけられます。
まとめ
今回のアップデートは、複数の脆弱性に対処する重要なセキュリティ更新です。LTC チャンネルを利用している管理者は、今後の LTS へのスムーズな移行に備え、アップデートを適用し、管理下のデバイスでの動作を確認することが推奨されます。
アップデートは、今後数日から数週間かけてすべての対象デバイスで利用可能になる見込みです。
LTC-138 のより詳細なリリースノートについては、公式情報をご確認ください。
なお、現在一般ユーザー向けの安定版 (Stable) チャンネルでは、バージョン 140 が最新となっています。次回のメジャーアップデートは 2025 年 10 月 14 日に予定されています。
出典: Chrome Releases