Google とメルセデス・ベンツは、Google の AI モデル「Gemini」を統合した新しい車載アシスタントのデモンストレーション動画を公開しました。
この技術は、2025 年末までに米国で発売される予定の新型メルセデス・ベンツ CLA に初めて搭載される見込みです。
Gemini を統合した MBUX バーチャルアシスタント
2025 年 1 月に発表された Google Cloud とメルセデス・ベンツのパートナーシップに基づき、車載インフォテインメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)」のバーチャルアシスタントに Gemini が統合されます。
公開されたデモ動画では、メルセデスのソフトウェア最高責任者である Magnus Östberg 氏と、Google Cloud の自動車部門責任者である Steve Basra 氏が、Gemini を搭載した新型 CLA に試乗する様子が紹介されました。
より自然で文脈を理解した対話を実現
デモでは、従来の Google アシスタントとは一線を画す、Gemini による自然で文脈を理解した対話能力が示されました。

ドライバーがコンソールに触れることなく、以下のような一連の操作が音声だけでスムーズに行われています。
- 特定の住所へのナビゲーションを開始
- 続けて「近くのコーヒーショップは?」と尋ねると、候補リストを表示し、特定の店舗を推奨
- さらに「そのカフェにペストリーはある?」と質問すると、Google マップから情報を引き出し即座に回答
また、別の場面では、イタリアンレストランの検索から「良いワインリストがあるか」という質問に対し、アシスタントが直接レストランに電話をかけることを提案するなど、複雑なタスクも自然な会話で処理できることが示されました。
新型メルセデス・ベンツ CLA から搭載開始
Google によると、この Gemini を統合したアシスタントは、新型メルセデス・ベンツ CLA に初めて搭載される生産車技術となり、米国での発売は 2025 年末までを予定しています。
Android Auto への展開は?
Google は 2025 年 5 月に Gemini を Android Auto および「Google built-in(Google 搭載車)」に導入することを発表しています。
当時、Android Auto 対応車両へは「今後数ヶ月以内」に、Google built-in 搭載車へは「年内」に展開されるとしていました。しかし、現時点で具体的なロールアウトは開始されていません。
Android Auto のアプリ内では「Google アシスタント」への言及が削除され始めている兆候が見られますが、正式な提供時期は依然として不明です。
今回発表されたメルセデス・ベンツ CLA への搭載後に、Android Auto への展開が進む可能性があります。
まとめ
Google とメルセデス・ベンツの取り組みは、車載 AI の新たな方向性を示すものです。Gemini によって車が単なる移動手段ではなく「会話できるパートナー」となる未来が近づいています。
まずはメルセデス・ベンツの新型車からとなりますが、将来的にはAndroid Autoを通じて、より多くの車種でこの新しい技術が利用できるようになるのか、今後の動向が注目されます。