Google は、昨年 Workspace 顧客向けに発表した AI 搭載の動画作成ツール「Google Vids」を、無料の個人 Google アカウントを持つすべてのユーザーに展開を開始しました。
これにより、特別なソフトウェアなしで、ブラウザ上で手軽に動画を作成・編集できるようになります。有料版で利用できる高度な生成 AI 機能もアップデートされています。
Google Vids が無料ユーザーに展開
これまで Google Workspace の有料プランでのみ利用可能だった「Google Vids」が、無料の個人アカウントを持つユーザーにも提供されることになりました。
Google Vids は、Google スライドのような直感的なインターフェースを持つブラウザベースの動画作成ツールです。共同編集にも対応しており、チームでの動画制作にも活用できます。
無料版の Google Vids には、docs.google.com/videos からアクセスできます。
無料版で利用できる主な機能
無料アカウントのユーザーは、Google Vids の基本的な動画エディタを利用できます。主な機能は以下の通りです。
- 豊富なテンプレート: ハウツーやドキュメンタリー、お祝いなど、100 種類以上のテンプレートを利用できます。
- 多様な作成方法: 既存の Google スライドを変換したり、手持ちの動画クリップをアップロードしたり、Web カメラで自分自身を録画して動画を作成できます。
- 編集機能: 作成中の動画に画像、ストックメディア、音声、オブジェクトなどを追加でき、トランジション(場面転換)のカスタマイズも可能です。
- 共有とダウンロード: 完成した動画は、リンクで簡単に共有できるほか、MP4 ファイルとしてダウンロードすることもできます。
有料版の AI 機能も強化
有料の Google Workspace プランや Google AI Pro または Ultra プラン加入者は、Gemini を活用したさらに高度な機能を利用できます。今回、以下の新機能が追加または一般提供が開始されました。
- Image-to-Video 機能: アップロードした製品写真やストックフォトなどから、テキストプロンプトを使って音声付きの短い動画クリップを生成できます (詳細はこちら)。
- AI アバター: 作成したスクリプトを AI アバターが読み上げる機能が一般提供されました。Google DeepMind のモデルによる正確なリップシンクが特徴で、トレーニング動画やデモ動画の作成に役立ちます(詳細はこちら)。
- 自動文字起こしトリム: 録画した動画から、「えーっと」などのフィラーワードや不要な間を自動で削除し、編集作業を効率化します(詳細はこちら)。
今後のアップデート
Google は、Vids のさらなる機能強化も予定しています。
- 来月 (2025年9月) に提供予定:
- ノイズキャンセリング機能
- 来四半期に提供予定:
- ポートレート (縦長)、ランドスケープ (横長)、スクエア (正方形) といった多様な動画フォーマットへの対応
まとめ
Google Vids の無料提供は、Canva や Microsoft Clipchamp といったブラウザベースの動画編集ツールへの対抗策と見られます。
ユーザーにとっては、Google ドライブやスライドなど、普段使っているツールと連携しやすい形で、手軽に動画を作成できる新しい選択肢が増えたことになります。
基本的な動画編集は無料版で十分に行えますが、最新の生成 AI を活用した効率的な動画制作は有料版の強みとなっており、うまく差別化が図られています。簡単なプレゼンテーション動画や短いチュートリアル動画を作りたいユーザーにとって、試してみる価値のあるツールと言えます。