Google が発表した新しい Pixel 10 シリーズでは、バッテリーの寿命を延ばすための機能「バッテリーヘルスアシスタント」が標準で有効になり、ユーザーがオフにできない仕様となっていることが判明しました。
この機能はバッテリーの経年劣化を抑制する目的ですが、一方で充電速度や実質的なバッテリー容量を徐々に低下させるものです。
Pixel 10 で必須となる「バッテリーヘルスアシスタント」とは
Android Authority によると、Google は Pixel 10 シリーズにおいて「バッテリーヘルスアシスタント」機能(当初は「バッテリー健全性アシスタント」と呼ばれていた)を無効化できない仕様であることを認めています。この機能は、2024 年に発売された Pixel 9a で初めて導入されたものです。
Google の説明によれば、この機能はバッテリー性能と経年劣化を安定させるため、200 回の充電サイクルから段階的にバッテリーの最大電圧を調整し、1000 回に達するまで調整を続けるとしています。

これにより、ユーザーはバッテリー駆動時間がわずかに減少したり、調整された容量に基づいて充電性能がわずかに変化したりすることに気づく可能性があります。
なぜ問題視されるのか
スマートフォンのバッテリーは時間とともに劣化しますが、この機能は標準的な劣化に加えて、意図的にバッテリーの実質的な容量を低下させるものです。
最大の問題は、ユーザーがこの機能を無効にする選択肢を持たない点です。パフォーマンスを最大限に引き出したいユーザーであっても、ソフトウェアによる制限を受け入れざるを得ません。
競合他社との比較
Samsung や OPPO、OnePlus といった競合他社は、より耐久性の高いバッテリーを搭載することで、バッテリーの健康問題に対応しています。
例えば、Samsung のハイエンドモデルは 2,000 サイクル、OnePlus や OPPO は 1,600 サイクル後も有効容量 80% を維持するとされています。
Google も Pixel 8a 以降のモデルで 1,000 サイクルで 80% を維持すると述べていますが、他社のアプローチと比較すると、ソフトウェアによる制限は根本的な解決策ではないとの見方もできます。
過去のバッテリー問題が背景か
この強制的な機能導入の背景には、過去の Pixel A シリーズで発生した一連のバッテリー問題があると見られています。
2025 年には、Pixel 4a および Pixel 6a の一部モデルに対し、バッテリー寿命と充電速度を大幅に低下させる強制的なアップデートが配信されました。また、Pixel 7a ではバッテリーの膨張問題により、無償のバッテリー交換プログラムが実施されています。
こうした経緯から、Google が長期的なバッテリーの健全性に対して慎重になっているか、あるいは Pixel 10 シリーズのバッテリーにも同様の懸念があったのではないかと推測もされています。
まとめ
Pixel 10 シリーズにおける「バッテリーヘルスアシスタント」機能の必須化は、長期的なバッテリー寿命の維持というメリットがある一方で、ユーザーの選択肢を奪い、実質的なパフォーマンスを低下させるという側面も持ち合わせています。
過去のモデルでのバッテリー問題を考慮すると、Google の慎重な姿勢の表れとも考えられますが、ユーザーに選択肢がないという点は、いかがなものでしょうか。