Android の新しいデザイン言語「Material 3 Expressive」では、クイック設定や通知シェードなど、UI の随所に背景をぼかす効果が採用されています。
この効果について、Google は将来的にユーザーが任意で無効化できる新しいカスタマイズ設定を追加する方針を明らかにしました。
この変更は、主にアクセシビリティの向上を目的としており、副次的にバッテリー駆動時間がわずかに改善する可能性もあります。
アクセシビリティ向上のための新設定
この情報は、Android プラットフォームの製品管理およびユーザーエクスペリエンス担当副社長である Mindy Brooks 氏が、Android Authority のポッドキャスト「Android Faithful」のインタビューで明らかにしたものです。
Brooks 氏によると、背景のぼかし効果は、ユーザーの注意を主要な UI 要素に集中させ、背景にある要素による「distractions(注意散漫)」を最小限に抑えるという設計思想に基づいています。
しかし、この効果が一部のユーザーにとっては、かえって読みやすさを損なう可能性があることも認識しており、すべてのユーザーのニーズを満たすものではないと判断しました。
そのため、アクセシビリティを向上させる取り組みの一環として、ユーザーがぼかし効果をオフにできる選択肢を提供するとしています。
実装は「近い将来」を予定
この新しいカスタマイズ設定がいつ提供されるかについて、Brooks 氏は「近い将来(in the near future)」と述べるにとどめ、具体的なリリース時期は明言しませんでした。
Android には、すでに開発者向けオプション内にシステム全体のぼかし効果を無効化するトグルが存在します。しかし、これを一般ユーザー向けの機能として提供するには、十分なテストや UI 上の配置検討、多言語への翻訳など、多くのプロセスが必要となります。
なお、現在の最新ベータ版である Android 16 QPR2 Beta 1 には、この設定はまだ含まれていません。
バッテリー駆動時間へのわずかな貢献も
背景のぼかし効果をオフにすることには、もう一つメリットがあります。それは、バッテリー駆動時間のわずかな改善です。
この効果は GPU による描画処理を必要とするため、完全にゼロコストというわけではありません。実際に、Android に標準で搭載されている「バッテリーセーバー」モードでは、バッテリー消費を抑えるために背景のぼかし効果が無効化されます。
オフにした場合の節電効果は軽微とみられますが、少しでもバッテリー消費を抑えたいユーザーにとっては嬉しい選択肢となりそうです。
まとめ
Google が UI のぼかし効果をオフにできる設定を追加する計画は、Android の強みである「カスタマイズ性」をさらに高めるものです。ユーザーが自身の見やすさや好みに合わせて UI を調整できるだけでなく、アクセシビリティの向上にも繋がります。
正式なリリース時期はまだ不明ですが、今後の Android アップデートで実装されることが期待されます。