VPN サービス NordVPN は、巧妙化する詐欺電話への対策として、Android ユーザー向けに新たな警告ツール「Scam Call Protection」の提供を米国で開始しました。
この機能は、Google や Samsung が提供する既存の機能とは異なるアプローチを採用しており、プライバシーを重視した設計が特長です。
NordVPN の新機能「Scam Call Protection」とは?
「Scam Call Protection」は、NordVPN が提供する Android アプリの新機能で、不審な電話がかかってきた際にユーザーに警告を発します。この機能の主な特長は以下の通りです。
- メタデータによる分析: 通話内容を実際に聞いたり保存したりすることなく、発信者番号などのメタデータのみを分析して詐欺の可能性を検知します
- 事前の警告: 電話に出る前に、着信画面に警告メッセージが表示され、ユーザーに注意を促します
- オンデバイスでの処理: 検出プロセスはすべてデバイス上で行われ、プライバシー保護が徹底されています
- VPN接続は不要: VPN に接続しているかどうかに関わらず、バックグラウンドで常に機能します
この機能は、NordVPN の Premium プランに含まれており、「Threat Protection」タブから有効にすることで利用できます。
Google や Samsung の機能との違い
スマートフォンには、すでに詐欺電話対策機能が組み込まれている場合があります。
例えば、Google の Pixel シリーズには、AI が通話内容を分析し、会話の途中で詐欺の疑いを警告する機能があります。また、Samsung のスマートフォンには、「Smart Call」というシステムが搭載されており、スパム電話を識別してブロックすることが可能です。
これに対し、NordVPN の「Scam Call Protection」は、以下のような違いがあります。
- 音声データを処理しない: Google の機能とは異なり、通話の音声データには一切アクセスしません。メタデータのみで判断するため、プライバシー面での安心感が高いと言えます
- 幅広い Android デバイスに対応: Samsung のように特定のメーカーのデバイスに限定されず、NordVPN アプリが動作するすべての Android デバイスで利用できます
なぜ詐欺電話対策が必要なのか?
米国の場合、米国連邦捜査局 (FBI) のインターネット犯罪苦情センター (IC3) の統計によると、2024 年の詐欺電話による被害額は前年比で 33% 増加し、総額 166 億ドルに達するなど、その脅威は世界的に深刻化しています。
詐欺師は巧妙な手口でユーザーを騙そうとしますが、事前に警告が表示されることで、ユーザーは冷静に対応でき、ソーシャルエンジニアリングやフィッシングといった攻撃から身を守りやすくなります。
今後の展開
NordVPN は、今後この機能をさらに強化する計画を発表しています。将来的なアップデートとして、以下の機能追加が予定されています。
- 発信者IDの表示: 未知の番号からの着信時に、企業名などを表示します。
- カテゴリ分類: 金融機関や医療機関など、着信のカテゴリをより詳細に分類します。
- ユーザーによる報告機能: ユーザーが不審な番号を報告できるようにし、データベースの精度向上に貢献します。
また、将来的には iPhone への対応や、米国以外の国へのサービス展開も計画されています。
まとめ
「Scam Call Protection」単体で NordVPN の Premium プランに加入する決め手にはならないかもしれませんが、すでにプランを利用しているユーザーにとっては、追加費用なしでセキュリティを強化できる機能追加となります。
ただ、現時点では米国国内に限られているため、日本のユーザーが利用できるようになるまでは、まだしばらくかかるかもしれません。詳しい内容については、以下の NordVPN 公式ブログ(英語)をご覧ください。
NordVPN は手頃な価格で ChromeOS との連携(Android アプリとして)も行われており、Chrome 拡張機能もあるなど、Chromebook で使うにはちょうど良い VPN のため、おすすめです。筆者も愛用しています。