GSMA は、RCS (Rich Communication Services) の新しいバージョンとなる「Universal Profile 3.1」のリリースを発表しました。このアップデートにより、高品質な音声メッセージの送受信が可能になるほか、ネットワークが不安定な場所での接続信頼性が向上します。
高品質な音声メッセージの送受信に対応
「Universal Profile 3.1」では、新たに xHE-AAC オーディオコーデックのエンコード (符号化) がサポートされました。以前のバージョンでもこのコーデックのデコード (復号) には対応していましたが、今回のアップデートでエンコードにも対応したことにより、高品質な音声メッセージやオーディオクリップを受信するだけでなく、送信することも可能になります。
これにより、ユーザーはよりクリアで自然な音声メッセージをやり取りできるようになります。
ネットワーク接続がより安定的に
GSMA によると、これまでの RCS クライアントは、RCS ネットワークへの常時接続が必要でした。しかし、新しいバージョンではこの常時接続が不要になり、ネットワーク側はメッセージをクライアントに送信する必要がある場合にプッシュ通知を送る仕組みになります。
これにより、クライアントは Wi-Fi に切り替わるなど接続環境が変化するたびにネットワークを更新する必要がなくなります。結果として、WhatsApp や Telegram のようなインスタントメッセージングアプリと同様に、ネットワークの変化に強く、よりシームレスで信頼性が高まるとしています。特に、電波の届きにくいエリアでの利便性向上が期待されます。
普及が進む RCS と今後の展開
このリリースは、GSMA が「Universal Profile 3.0」を発表してから数ヶ月後のものです。Universal Profile 3.0 では、iPhone と Android 間のチャットにおけるエンドツーエンド暗号化 (E2EE) などが導入されました。
RCS は近年、急速に普及が進んでいます。特に Apple が iOS 18 で RCS をサポートしたことにより、Google によると RCS のメッセージ数は 1 日に 10 億件に達したと報告されています。
Google メッセージ自体も、RCS を持つ連絡先のラベル表示、「削除して全員に適用」オプション、通知のスヌーズ、自分宛にメッセージを送信する機能など、様々な改善を続けています。現在もいくつかの新機能の開発に取り組まれていることも報告されています。
まとめ
今回の「Universal Profile 3.1」は、特に音声メッセージを利用するユーザーや、ネットワーク環境が不安定になりがちな場所でスマートフォンを使うことが多いユーザーにとってメリットのあるアップデートとなります。
とはいえ、日本では LINE に押されて Google メッセージが広く普及しているとは言えないので、こういった機能が展開されていっても使う相手が限られてしまうのが、とても残念です。iOS での RCS 対応もまだ KDDI のみとなっているので、普及にはまだ課題が残されています。
出典: Android Authority, GSMA