Google、将来の ChromeOS は「Android 上での ChromeOS エクスペリエンス」になると明言

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昨年、Google は ChromeOS が将来的に Android を基盤として構築されると発表していましたが、この度、その具体的な方向性について、より明確な情報が示されました。

これは Android エコシステム部門のプレジデントである Sameer Samat 氏が、先日のインタビュー記事で「ChromeOS と Android を単一のプラットフォームに統合する」という発言が大きな関心を集めたことを受け、追加で明らかにしたものです。

目次

Google による方針の再確認

Android エコシステム部門のプレジデントである Sameer Samat 氏は、ソーシャルメディアへの投稿で、この方針について改めて次のように説明しました。

このトピックに多くの関心が集まっていることを嬉しく思います! 2024 年のブログ投稿で発表した内容を改めてお伝えすると、私たちはパフォーマンスの向上、開発サイクルの高速化、そしてノート PC とスマートフォンの連携強化を実現するため、Android の基盤技術の上に ChromeOS のエクスペリエンスを構築しています。

この発言の要点は、「Android の基盤技術」と、ユーザーが直接触れる「ChromeOS のエクスペリエンス(使い心地や操作感)」を分けて考えている点です。つまり、OS の基礎は Android の技術に置き換わりますが、ユーザーが慣れ親しんだ ChromeOS の画面(インターフェース)や操作性は維持される、ということを強く示唆しています。

極端に言えば、Android OS 上で ChromeOS (の機能と見た目)が使える、という理解で良いと思います。ある意味では、Samsung DeX や新しい Android のデスクトップモードのようなものかもしれません。

2024 年の発表とその背景

昨年の発表では、 Google は ChromeOS の基盤を Android の Linux カーネルやフレームワークといった技術要素に移行していくことを明らかにしました。この変更により、様々な変更や Google AI の機能をより速く、より大規模に展開できるとしています。

この移行の目的は、AI イノベーションの加速、エンジニアリングの簡素化、そして Chromebook とスマートフォンやアクセサリとの連携強化にあると説明されていました。しかし、その時点ではエンドユーザーにとっての具体的な体験がどうなるかについては、以下のように述べるにとどまっていました。

同時に、私たちは ChromeOS ユーザー、企業、学校に愛されている比類のないセキュリティ、一貫したルック&フィール、そして広範な管理機能を引き続き提供していきます。

この「一貫したルック&フィール」という約束は、ユーザーエクスペリエンスとしての ChromeOS が維持されることを示唆していましたが、今回の Samat 氏の発言によってその方向性がより明確になりました。

ユーザーへの影響

Chromebook は現在、教育市場や法人市場で大きな成功を収めています。そのため、学校や企業が慣れ親しんだ「ChromeOS」というブランドと使い慣れた操作性を Google が無くしてしまうのは賢明ではありません。今回の発表は、既存のユーザーが安心できる形で、OS の内部構造を最新かつモダンにし、より良い製品を提供しようという Google の意図の表れと考えられます。

この動きは、ChromeOS との統合に向けて Android 側にも影響を与えています。例えば、大画面デバイス向けに様々な機能の追加や改善が加えられはじめており、新しいデスクトップモードやデスクトップウィンドウ(Desktop windowing) 機能、外部ディスプレイ管理機能の改善などに取り組まれています。

今後、Android が独自に提供するデスクトップ体験と、Android 基盤の上で進化する ChromeOS のデスクトップ体験がどのように共存していくのかが気になるところですが、少なくとも ChromeOS としての機能や操作性、インターフェースは残ると思われます。

まとめ

今回は Sameer Samat 氏が自身の発言の補足をする形で、ChromeOS が Android と統合されたとしても引き続き既存の ChromeOS と大きく変わらない使用感になることを示唆しています。

  • ユーザーから見た ChromeOS は変わらない: これまで通りの見た目や操作性、セキュリティ、管理機能が提供される
  • OS の内部(基盤)は Android の技術に移行: パフォーマンス向上や AI 機能の迅速な導入を目指す
  • 移行は時間をかけて: これらの技術的な改善はすでに始まっており、一般ユーザー向けに提供されるまでにはまだ時間がかかるものの、準備が整った際にはシームレスな移行が提供される予定

そのため、「ChromeOS が終わる」のではなく、「Android と統合することで、より良い ChromeOS へと進化」することが期待できます。これにより、ユーザーは使い慣れた ChromeOS の利点を受けつつ、Android プラットフォームが持つ開発速度やエコシステムの恩恵を受けられるようになるはずです。

出典: X (@ssamat), Chromium Blog

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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