Chrome で uBlock Origin が無効に? Manifest V2 廃止の影響と一時的な対処法

当サイトは Google Adsense、Amazon アソシエイト等 アフィリエイト広告を利用して収益を得ています.

Google Chrome で人気の広告ブロック拡張機能 「uBlock Origin」 が、一部のユーザー環境で突然無効になる問題が報告されています。しかし、これは不具合ではなく、Google が進める拡張機能の仕様変更に伴うものです。

この記事では、問題が発生している背景と、一時的に uBlock Origin を再び有効化する対処法について解説します。

目次

拡張機能の仕様変更「Manifest V3」への移行

この問題の根本的な原因は、Google が Chrome 拡張機能の基盤技術を「Manifest V2 (MV2)」から、より新しい「Manifest V3 (MV3)」へと移行していることにあります。

Google は、MV3 がセキュリティを向上させるとしていますが、一方で uBlock Origin のような高機能な広告ブロッカーが依存してきた特定の機能を制限しています。これにより、拡張機能の開発者からは、Google の広告収益を守るための変更ではないかとの声も上がっています。

この変更を受け、uBlock Origin の開発チームは、MV2 に依存する現行バージョンのサポートを終了する意向を示していました。そして今回、Chrome のバージョン 138 以降で、MV2 ベースの拡張機能が段階的に無効化されています。

この動きについては以前から予告されており、例えば「Chrome 138 の Enterprise および Education 向けリリースノート」では以下のようなタイムラインが示されていました。

2025 年 6 月までに拡張機能を Manifest V3 に移行(Chrome 139 でポリシー削除) 拡張機能は Manifest V3 を活用するように更新する必要があります。これにより、ユーザーのプライバシーが向上し、拡張機能のセキュリティも強化されます。2024 年 6 月から、Chrome はブラウザで実行されている Manifest V2 拡張機能を段階的に無効化します。ExtensionManifestV2Availability エンタープライズポリシーは、移行に先立って組織で Manifest V3 をテストするために使用でき、Chrome 139 でこのポリシーは削除されます。

【一時的な対処法】Chrome のフラグ設定を変更する手順

この問題は、Chrome の実験的な機能 (フラグ) を変更することで、一時的に回避できる場合があります。ただし、この方法はあくまで暫定的なものであり、将来的に利用できなくなる可能性が高い点にご注意ください。

Reddit ユーザーuBlock Origin のチームなどによって共有されている手順は以下の通りです。

  1. Chrome のアドレスバーに chrome://flags と入力して開きます。
  2. 検索ボックスで temporary-unexpire-flags-m137 を探し、設定を Enabled (有効) に変更します。
  3. ブラウザを再起動します。
  4. 再度 chrome://flags を開き、以下の 3 つの項目を探して Disabled (無効) に設定します。
  5. extension-manifest-v2-deprecation-warning
  6. extension-manifest-v2-deprecation-disabled
  7. extension-manifest-v2-deprecation-unsupported
  8. 次に、allow-legacy-mv2-extensions を探し、設定を Enabled (有効) に変更します。
  9. 再度ブラウザを再起動すると、uBlock Origin が再び有効になるはずです。

Chrome 139 をお使いの場合は、手順 2 で unexpire m138 を有効にする必要があるとの報告もあります。しかし、バージョン 140 以降では、これらのフラグ自体が削除されている可能性があり、コマンドラインによる微調整も一時的な延命措置に過ぎないとされています。

長期的な解決策と他の選択肢

前述のフラグを使った方法は、あくまで一時しのぎです。uBlock Origin の全機能を今後も安定して利用したい場合、最も確実な解決策は他のブラウザへの移行です。

Firefox: 有力な代替ブラウザ

Mozilla が開発する Firefox は、引き続き Manifest V2 をサポートすることを表明しており、uBlock Origin のような強力な広告ブロック機能を維持できます。ブックマークや履歴、パスワードなどのデータは Chrome から簡単にインポートできるため、移行のハードルは比較的低くなっています。

uBlock Origin Lite (uBO Lite)

Chrome を使い続けたいユーザー向けには、Manifest V3 に対応した「uBO Lite」が提供されています。これは基本的な広告をブロックできますが、MV3 の制限により、特定の要素を細かく指定して非表示にする「要素ピッカー」などの高度な機能は利用できません。

まとめ

とは言うものの、例えば YouTube などでは Google が広告ブロッカーを使用しているユーザーへの対策を厳しくしており、動作に問題が発生するケースなども以前から報じられています。

そのため、今回の回避策や他のブラウザへの移行だけでなく、そもそも広告ブロッカーの使用自体が Google 次第となります。

いずれにしても、今回報告されている Chrome で uBlock Origin が無効になる問題は、Google による Manifest V2 の廃止が原因です。chrome://flags の設定変更で一時的に回避できる可能性はありますが、これは永続的な解決策ではありません。

uBlock Origin の全機能を今後も活用したい場合は、Manifest V2 のサポートを継続する Firefox などの代替ブラウザへの移行が、現時点では最も現実的な選択肢となります。

出典: Tech-Issues Today

この記事をシェア

著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

\Google ニュースで配信中!/

Google ニュース リンクバナー

目次