Google は 2025 年 7 月 2 日(米国時間)、Google Workspace の主要アプリケーションにおいて、Gemini サイドパネルからカスタム AI エキスパート機能「Gem」を直接利用できるようになったことを発表しました。
これにより、ユーザーはアプリケーションを切り替えることなく、特定のタスクに特化した AI を活用できるようになります。
サイドパネルの Gemini から Gem が直接利用可能に
これまで Gemini アプリ内でのみ利用可能だった「Gem」が、Google ドキュメント、スライド、スプレッドシート、ドライブ、Gmail のサイドパネルに統合されました。
「Gem」は、ユーザーが事前に設定している情報に基づき、特定の目標やタスク、ワークフローの実行を支援するためにカスタマイズされた AI エキスパートです。
例えば、文章作成をサポートする「ライティングエディタ」や、プログラミングを支援する「コーディングパートナー」など、プリセットの Gem を利用したり、ユーザー自身が独自の Gem を作成したりすることができます。
今回のアップデートにより、これらの Gems を使い慣れた Workspace アプリケーション上でシームレスに呼び出し、作業効率を向上させることが可能になります。

Gem を活用するメリットと使用例
Gemini サイドパネルに Gem が統合された最大のメリットは、繰り返しのプロンプト入力を最小限に抑え、より効率的に Gemini の能力を引き出せる点です。アプリケーション間を移動する手間がなくなるため、作業を中断することなく集中できます。
Google は、具体的な使用例として以下のようなシナリオを挙げています。
- コピーライティングの効率化: 事前にターゲットオーディエンスの情報を読み込ませたコピーライティング Gem を使い、オーディエンスに最適化された投稿やコンテンツを迅速に作成する。
- セールス活動の支援: 特定の企業、見込み顧客、業界情報に基づいてセールス用の Gem を作成し、商談の準備や提案作成に活用する。
- 業務に特化したアシスタント: 自身の職務に合わせてカスタマイズした「アシスタント Gem」に、関連性の高い情報の要約や、社内コミュニケーション用のコンテンツ作成を任せる。
- コンテンツの品質向上: 経営幹部などの特定のペルソナになりきってコンテンツをレビューする Gem を活用し、より説得力のあるメッセージを作成するためのプレッシャーテストを行う。
Gem の作成と利用方法
サイドパネルから Gem を利用するには、各 Workspace アプリ(ドキュメント、スプレッドシートなど)の右上にある「Gemini に相談」アイコン(星のようなアイコン)をクリックします。
既存の Gem だけでニーズを満たせない場合や、特定のタスクに合わせてさらにカスタマイズしたい場合は、gemini.google.com/gems/create から独自の Gem を作成できます。作成したカスタム Gem も、既製の Gem と同様に Workspace アプリのサイドパネルに表示されます。
さらに、サイドパネルの Gem は、@メンションによるファイルやユーザーの指定、Google ドライブ内のファイルやフォルダへのアクセスなど、多くの Workspace 固有の機能と連携して動作します。
展開と対象ユーザー
この機能は 2025 年 7 月 2 日以降、即時リリースおよび計画的リリースドメインのユーザーを対象に、段階的な展開が開始されています。機能がすべてのユーザーに表示されるまでには、15 日以上かかる可能性があります。
利用対象は、Workspace アプリのサイドパネルで Gemini にアクセスでき、かつ Gemini アプリで Gems を利用できる Google Workspace ユーザーです。なお、管理者向けの特別な設定項目はありません。
まとめ
これまでは Gemini の Web サイトと Workspace アプリを行き来する必要がありましたが、今回のアップデートでは作業の流れを止めることなく、よりスムーズに AI の支援を受けらるようになります。
特に、定型的なレポート作成や特定のペルソナに合わせた文章作成など、繰り返し発生するタスクの自動化と品質向上に大きく貢献することが期待されます。